会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#240516 Modern and Contemporary Art
日 時: 2024年5月16日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#240307/15:00~
落札総額: 152,065,000円(落札手数料含まず)
落札率: 72.5%
作品数: 229点(落札166点、不落札63点)
5月16日(木)にマレットジャパンで開催された”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#240516のオークションをレポートする。
オンラインだけでの開催となるM-Live Auctionでは、落札予想価格平均15~21万円程度の作品が122点出品された。落札総額は1616万5000円、落札率は66.4%となった。一方、会場で開催されたセール#20240516では、落札予想価格平均87~130万円程度の作品が107点出品され、落札総額は1億3590万円、落札率は79.4%を記録している。いずれのセールもマルチプル作品を多く取りそろえたセールで、2つのセールの落札総額は1億5206万5000円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は72.5%となっている。
近現代のオークションで、最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙を飾ったソニア・ドローネーの作品。LOT.081《フラメンコ・ダンサーのためのエチュード》(25.8×20.5㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格600~800万円のところ、落札予想価格上限の約2.5倍となる2000万円で落札された。抽象絵画の先駆者として活躍した作家の優品に多くの入札が集まった。続いて出品されたLOT.082アルフォンス・ミュシャの《ブルーズ・アダンクール香水商会》(57.6×22.3㎝、リトグラフ)は、活気のある競りで会場を沸かせた。落札予想価格25~35万円のところ、160万円で落札された。希少な作品は高く評価され、落札予想価格上限の4.6倍の伸びをみせた。他にもキース・へリング、マルク・シャガール、パブロ・ピカソなど海外作家による版画作品の好調が目立った。
今回は、草間彌生(くさま・やよい、1929-)の価格動向にスポットを当てる。草間は、水玉模様や網模様などを反復・増殖させて描く独自の世界観と繊細な表現で知られている。日本の現代アートを牽引する世界的に有名な前衛芸術家である。オークションでの取引も活発で、国内外から多くの入札を集めている。
本セールではLOT.060~065まで、マルチプル作品が6点出品され、全ての作品が落札された。中でも代表的な“かぼちゃ”をモチーフとした2点の版画作品は、3号サイズと小品ながら、それぞれ720万円、780万円と落札予想価格上限を上回る高額落札を記録している。
次にLOT.064《やさしさに溢れた万物は私の心を打った》LOT.065《富士山、わたし大好き》をピックアップし、その動向を読む。この2点は、草間彌生とアダチ版画研究所(浮世絵の製作技術を高度に継承した職人をかかえる唯一の版元)のコラボレーションによって生まれた現代の浮世絵《七色の富士》シリーズ(80.3×89.8㎝、木版)の作品である。《七色の富士》という名の通り、作品には7色のカラーバリエーションがあり、各120部制作された。
同シリーズの近年の落札データを抽出したACF指標を見ると、2020年では落札予想価格平均250~350万円に対し、400万円で落札されている。以降、落札価格平均は緩やかに上昇し、2024年では落札予想価格平均380~620万円に対し、700万円程度の落札となっている。今回のセールでも、落札予想価格400~600万円に対し、700万円、760万円と順当に落札された。常に落札予想価格上限近辺で落札されており、時価指数からも堅実な上昇が見て取れる。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年7月18日(木) 2セール同日開催
1.M-Live Auction オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale 会場:マレットジャパン オークションハウス
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】 株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480 FAX:03-5216-2481 E-mail:info@mallet.co.jp
セール: 第64回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
日 時 : 2024年4月12日(金)・13日(土)各13:00~
落札総額: 406,818,250円(落札手数料含む)
落札率: 94.8%
作品数: 420点(落札398点、不落札22点)
SBIアートオークションのオンラインによる現代アートのオークションが、4月12日(金)・13日(土)の2日間に渡って開催された。20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、国内外の作家による420点の作品が競りにかけられた。2日間の出来高は、落札総額4億681万8250円(落札手数料含む・以下同)、落札率94.8%を記録し、盛況なセールとなった。
1日目は、マルチプル作品を中心に、落札予想価格平均12~20万円程度の作品が230点競りにかけられた。絵画作品だけでなく立体作品やグッズ、少額で買える作品も多く取り揃えられ、初心者も気軽にオークションに参加できるような作品構成だった。単日の落札総額は、5221万円、落札率は97.4%と高記録を達成している。セール後半に出品された村上隆の作品(LOT.194)が、この日のトップロットを飾った。ドラえもんと村上の代表的なお花のモチーフが描かれたマルチプル作品11点をまとめた出品で、落札予想価格60~90万円のところ、149万5000円で落札されている。村上は、12日だけでも42点(うち、1点は共作)の出品があった。単日の村上だけの落札総額は、1641万500円に達し、単日総額の31.4%を占めている。
2日目は、オリジナル作品を中心に落札予想価格平均85~150万円程度の作品が190点出品された。単日の落札総額は、3億5460万8250円、落札率は91.6%を記録した。草間彌生、ロッカクアヤコ、小松美和など、市場で常に活発に取引されている作家の作品が順当に高額で落札された。その中でもオークション出品の都度、競り上がりが目立つロッカクアヤコの作品は3点全てが落札予想価格内~上限程度での落札となった。大幅な伸びが鈍化し、価格が安定してきているようだ。
同日、大幅な伸びを見せたのは、セール終盤に出品された成田克彦のLOT.411《静物E之図》(60.0×60.0㎝、ミクストメディア、パネルにマウントしたキャンバス)。成田は、「もの派」の代表的作家のひとりとして知られている。作品がオークションに出品されることは珍しく、注目を集めた。落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の3.7倍となる55万2000円で落札された。
今回は、東京を拠点に活動するペインターLY(りー、1974‐)に焦点を当てる。幼少期からアートスクールで絵画を学び、10代の頃にはストリートアートへの興味を深め、ペインターとして作品制作を開始している。海外で訪れた街並みや妄想の中の風景に、大きな瞳で真っ黒な人型キャラクターをモノクロ調で描いた作風で知られ、その独自の世界観で多くのファンを魅了している。
本セールでは、1日目にマルチプル作品2点、2日目に円型のオリジナル作品2点、合計4点の作品が出品された。オリジナル作品1点は不落札、他3点は落札予想価格下限~落札予想価格内での落札となっている。その中でも、一番高額落札となったLOT.320《作品》(Φ53.0㎝、アクリル・キャンバス)と近似サイズ・同技法の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向をみる。
2020年は、落札予想価格平均50~80万円のところ、落札予想価格を大幅に上回る210万円程度で落札されている。2021年ほぼ横ばい推移の後、2022年には、落札予想価格平均250~350万円、落札価格平均390万円程度と大幅に上昇をみせるが、それを境に下降に転じる。2023年以降、落札予想価格平均は120~180万円と設定され、落札価格は予想価格内で収まっている。今回の出品作品LOT.320《作品》も149万5000円と、落札予想価格内での落札となった。
近年、新進アーティストとして初出品時から高騰を見せる作家も多いが、一定期間を過ぎて大きく下降に転じるという動向も少なくない。 LYの市場価格が安定していくのか、今後の復調が期待される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第66回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2024年7月6日(土)・7日(日)/ ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777 E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: 東京国際フォーラム ホールD5
セール: Tokyo Contemporary: Redefined
日時: 2024年3月9日(土曜日)14:00~
落札総額: 954,799,000円(落札手数料含む)
落札率: 91.4%
作品数: 81点(落札74点、不落札7点)
日本最大級の国際アートフェアである「アートフェア東京」が3月7日~10日の4日間、東京国際フォーラムで開催された(7日は招待制)。国内外より多くの人々が集まり、来場者数は5.5万人を記録し、盛況なフェアとなった。フェア期間中、別ホールにて、SBIアートオークションによる特別企画セールが開催された。アートフェア東京でのセール開催は今回で3回目となる。会場は立ち見も出るほどの賑わいを見せた。
今回のセールでは、国内外で活躍する現代美術作家の落札予想価格平均600~1000万円の作品が81点出品された。SBIアートオークションで定期的に開催されている通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、オリジナル作品を中心に国内外作家による優品が揃い、見応えのあるセールとなった。出品作品のうち半数を超える作品が落札価格上限を超えて落札され、落札総額は9億5479万9000円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91.4%を記録した。
セール序盤では、今津景の作品LOT.013《THE RED LIST》(194.0×162.0㎝、油彩・キャンバス)が、勢いのある競りで注目を集めた。落札予想価格200~300万円に対し、落札予想価格上限の518%まで競り上がり、1552万5000円で落札されている。今津の作品は、競り上がりを見せることが多く、コレクターの積極的な応札がみられる。2025年1月には、大規模個展の開催も予定されており、更なるブレイクが期待される。
高額落札には、草間彌生、李禹煥、ジャン・ミッシェル・バスキア、ウォーホルなどが名だたる作家が名を連ねた。高額落札上位5位までの落札総額は約5億500万円となっており、全体落札総額の半分程度を占める結果となった。
今回は、佐藤誠高(さとう・なりたか、1980‐)に焦点を当てる。佐藤は、東京芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了の経歴、2007年8th SICF グランプリ、2017 年Independent TOKYO グランプリなどの賞歴を持つ。実在の人物や花などをモチーフとし、精細な鉛筆画に、大胆な絵具使いで抽象的なペインティングを重ねた作風で知られ、多くのコレクターに支持されている。
本セールでは、セール序盤に1点のオリジナル作品が出品された。LOT.004《Red Woman 2》(145.5×145.5㎝、アクリル・鉛筆・パネルにマウントした紙)は、落札予想価格400~700万円のところ、落札予想価格上限を上回る920万円で落札されている。
佐藤の作品の中で、一番出品数の多い10号サイズの同技法作品の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。
2021年は、落札予想価格平均20~30万円のところ、170万円程度で落札されている。落札予想価格平均は右肩上がりに上昇し、2023年では落札予想価格平均110~160万円となる。落札価格平均は2022年に500万円近くまで高騰を見せるも、2023年には250万円程度に下落するが、それでも2021年に対し142%の上昇となっている。現状、10号サイズにおいては、200~300万円程度が目安となるであろう。
今回の出品作品は10号サイズよりも大きい80号サイズの作品のため、価格帯も高くなっている。2023年7月には、出品作品と近いサイズ(100号)の作品が出品されていた。落札予想価格400~700万円、落札価格920万円と、落札予想価格・落札価格ともに今回の出品作品と同じ結果となっている。いずれも落札予想価格上限を上回る価格で落札され、好調が続いている。安定した価格上昇を実現できるか今後の動向が注目される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第65回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2024年5月24日(金)・25日(土)/ ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#240307 Modern and Contemporary Art
日 時: 2024年3月7日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#240307/15:00~
落札総額: 113,170,000円(落札手数料含まず)
落札率: 67.9%
作品数: 271点(落札184点、不落札87点)
3月7(木)にマレットジャパンで”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#240307のオークションが開催された。オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、134点の作品が出品された。落札総額は1720万円、落札率は59%だった。一方、通常のセール#20240307では、落札予想価格平均67~97万円程度の作品が137点出品され、落札総額は、9597万円、落札率は76.6%となった。2つのセールの落札総額は1億1317万円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は67.9%となっている。いずれのセールも版画作品を多く取り揃えており、近現代のオークションでは半数以上が海外作家の作品でコレクターの関心を高めた。
近現代のオークションで、落札予想価格から大きな伸びをみせたのは、ジャン・カルズーの作品。針金のような細いシャープな線に抑えた彩色で描かれた風景画LOT.095《森の道》(54.0×65.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格30~50万円のところ、110万円で落札された。落札予想価格上限の2.2倍という好結果となった。続いて出品されたLOT.096《音楽と曳舟》(60.0×81.0㎝、キャンバス・油彩)、ジャン・フサロによる作品も好調だった。落札予想価格30~40万円のところ、予想価格上限の2.13倍となる85万円で落札されている。海外作家の稀少なオリジナル作品に注目が集まった。
トップロットとなったのは、草間彌生の代表的なモチーフである黄色いかぼちゃを描いた版画作品。LOT.078《かぼちゃ》(28.0×22.8㎝、シルクスクリーン、Ed.150)は、落札予想価格上限の1.5倍程度となる740万円で落札された。次いで、高額落札を記録したのは、セール序盤に出品されたアンディ・ウォーホルのLOT.015《ブラックグラマ》(96.4×96.4㎝、シルクスクリーン、Ed.190)。落札予想価格上限の約1.7倍となる620万円で落札されている。高額落札の上位6位まで草間とウォーホルが占めていた。両作家は不動の人気を得ており、堅調が続いている。
今回は、池内信介(いけうち・しんすけ、1984-)にスポットを当てる。池内は、独学で彫金技術を習得し、彫金作家として活動する傍ら、平面や立体作品なども制作し、現代アート作家として表現の場を拡げている。錫や銀などを用い、その特質を活かし異素材と複合させ独自な作品を展開するミクストメディア作品を手掛けることで知られている。
本セールでは、LOT.050《作品(グリーン)》、051《作品(パステルカラー)》、052《作品(レッド)》(各41.0×31.8㎝、ミクストメディア)と、色・デザインが異なる3点の作品が出品された。落札予想価格は、いずれも30~50万円で、LOT.050が38万円、 LOT.051とLOT.052が52万円で落札されている。
本作と同サイズで類似のミクストメディア作品の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読む。
2023年7月の出品では、落札予想価格30~50万円に対し、57万円程度で落札されている。12月まで、横ばい~下降傾向となるが、落札予想価格上限近辺にて落札されている。
池内のオークション初出品は2022年4月のセールで、SMサイズの作品が落札予想価格20~30万円で出品された。注目度が高く競り上がりを見せ、90万円で落札されている。それに後押しされてか、出品当初は高騰傾向がみられた。現状、6号サイズの作品においては落札予想価格上限付近の45~50万円で推移している。今後、上昇をみせることになるのか、その動向が期待される。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年5月中旬 2セール同日開催
1.M-Live Auction 12:00~ オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale #240307 15:00~ 会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】 株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480 FAX:03-5216-2481 E-mail:info@mallet.co.jp
セール: 第62回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
日時: 2024年1月27日(土)・28日(日) 各11:00~
落札総額: 1,015,047,500円(落札手数料含む)
落札率: 92.0%
作品数: 498点(落札 458点、不落札40点)
1月27日(土)・28日(日)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山ヒルサイドフォーラムで開催された。これまでのSBIアートオークションでは、金・土曜日での開催が主だったが、今回は土・日曜日とスケジュールを変更しての開催となった。
本セールでは、国内外の作家248名(他作家・共作出品、グッズは1名でカウント)、498点の作品が競りにかけられた。2日間の落札総額は10億1504万7500円(落札手数料含む・以下同)を記録した。落札率は92.0%に達し、活気に満ちたセールとなった。
1日目は、落札予想価格平均290~450万円程度の作品が197点出品された。オリジナル作品が若干多く出品され、単日の落札総額は8億9567万7500円、落札率は92.0%を記録している。
通常、現代美術を中心に作品構成されているが、今回のセールでは中盤に近代美術の作品が構成され、9点の優品が出品された。落札予想価格7000万~1億円で出品されたルノワールの6号サイズの油彩・キャンバス作品は残念ながら不落札となってしまったが、シャガールやビュッフェなどの作品は順当に落札されている。
2日目は、落札予想価格平均20~40万円程度の作品が301点出品された。1日目より購入しやすい価格帯の作品が数多く出品され見応えのあるセールだった。単日の落札総額は1億1937万円、落札率は前日と同じ92.0%を記録している。最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙を飾った奈良美智の作品。こちらを睨みつけるような少女をモチーフにした作品LOT.090《Fuck You(No.YNF2107)》(84.0×59.0㎝、アクリル、色鉛筆、紙)は、落札予想価格上限である9000万円を上回る1億3225万円で落札され、会場を盛り上げた。奈良は他にマルチプル作品3点、グッズ1点の出品があったが、いずれも落札価格内~上限を超えて落札されている。世界的にも高く評価されている奈良の好調は続く。
今回は、友沢こたお(ともざわ・こたお、1999-)にスポットを当てる。東京藝術大学美術学部絵画学科油画専攻で学び、2019年度久米賞受賞、2021年度上野芸友賞の受賞歴を持つ。個展、グループ展への参加の他、ギャラリーやアートフェアで作品を発表している。艶のあるスライム状の物質を自身の顔や“ルキちゃん”と名付けた人形に被せたモチーフを油彩で描き、その独特なモチーフと巧みな表現力で注目を集めている。
今回のセールでは、1日目にオリジナル作品2点、2日目に版画作品1点の計3点が出品され、いずれも落札予想価格上限を超えて落札されている。1日目に出品されたルキちゃんの全身像、顔だけに赤いスライムを被せた作品LOT.145《slime XXXVII》(162.0 × 130.3 cm、油彩・キャンバス)は、落札予想価格200~300万円のところ、予想価格上限の4倍程度となる1207万5000円で落札された。
続くLOT.146《Slime LIII》(65.2×53.0㎝、油彩・キャンバス)、 ルキちゃんの顔に白いスライムを被せた作品は、落札予想価格100~150万円のところ、414万円で落札されている。本作と類似モチーフで近似サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。
2023年1月の出品では、落札予想価格100~150万円のところ、予想上限の4倍となる600万円程度で落札されている。友沢の作品は、2022年9月に3号サイズの油彩・キャンバス作品が初出品され、落札予想価格上限である30万円を大きく上回る391万円で落札という好結果を残している。2023年1月の出品は、3回目の出品ということで高い関心が寄せられていたことがうかがえる。その後、落札価格は400万円前後に落ち込むが、落札予想価格上限の2~3倍で安定して推移している。
好調な結果を受け、今後の落札予想価格が上昇する可能性もでてきた。近年マーケットを賑わす新進気鋭若手作家の更なる活躍が期待される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第63回SBIアートオークション|Tokyo Contemporary: Redefined
2024年3月9日(土) 会場(予定)東京国際フォーラム ホールD5
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp