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オークションレポート

2024.01.29

会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#231214 Modern and Contemporary Art
日 時:  2023年12月14日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#231214/15:00~

落札総額: 170,490,000円(落札手数料含まず)
落札率: 63.0%
作品数: 246点(落札 156点、不落札90点)

 

昨年12月14日(木)に開催されたマレットジャパンの”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#231214、2つのオークションをレポートする。
会場を設けず、オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、落札予想価格平均16~23万円程度の作品が130点出品された。落札総額は1190万円、落札率は53%だった。一方、通常のセール#231214では、落札予想価格平均113~168万円程度の作品が116点出品され、落札総額は、1億5859万円、落札率は75%となった。全体的にマルチプル作品を多く取り扱った2つのセールの落札総額は1億7049万円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は63%を記録した。

活発な競りが見られたのは、戦後日本美術を代表する前衛グループのひとつ「具体美術協会」で重要な役割を担った美術家である吉田稔郎の作品。M-Live Auctionで出品されたLOT.1019《作品》(45.2×45.2㎝、パネル・油彩)は、落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の6倍となる90万円での落札となった。
トップロットとなったのは、草間彌生LOT.069《かぼちゃ》(18.0×14.0㎝、キャンバス・アクリル)。0号の作品ながら、5100万円という高額落札を記録した。次いで、オークションカタログの表紙を飾ったアンディ・ウォーホルのLOT.007《Marilyn Monroe》(91.4×91.4㎝、シルクスクリーン、Ed.250)が1800万円で落札されている。常に高額落札を誇る人気の作家の作品は順当に落札され、安定した結果を残した。

今回は、マナブ間部(まなぶ・まべ、1924-1997)に焦点を当てる。間部は、熊本県生まれの日系ブラジル人で、間部マナブ、マナブ・マベとも表記される。ブラジルに移住し、コーヒー農園で働きながら画家を志し、34歳で「サンパウロ・ビエンナーレ展」の最高賞を受賞するなど、注目を集めた。鮮烈な色彩で描かれる個性的な抽象画により“ブラジルのピカソ”と称され、世界的に活躍した芸術家である。
本セールでは、中盤に2点の作品が出品された。うち1点は、ウールの大型タペストリー。LOT.038《Untitled》(169.0×189.0㎝)は、落札予想価格20~30万円のところ、38万円で落札された。続くLOT.039《作品》(38.0×45.5㎝、キャンバス・油彩)の抽象画は、落札予想価格25~35万円のところ、落札予想価格内の34万円での落札となった。本作と類似の油彩・抽象画作品(8~12号サイズ)の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。

2401ACF美術品パフォーマンス指標

2401ACF美術品時価指数

2016年、落札予想価格は15~20万円程度で設定され、21万円で落札されている。その後2018年、落札予想価格、落札価格ともに横ばい推移となる。2022年には、落札予想価格が25~25万円と上昇を見せ、落札価格も29万円と合わせて上昇する。そして、今回のセールでは、落札予想価格は横ばいながら、落札価格は予想価格内ではあったが更なる上昇を見せた。
間部の作品は、国内だけでなく海外のオークションにもたびたび出品され直近では、フランスのオークションで10号サイズの作品が$3,000程度で落札された。
際立った上昇こそ見られないが、落札予想価格下限を下回ることはなく、右肩上がりで堅実な結果を残している。国内外の市場で流通している物故作家の動向に関心が高まる。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年3月7日(木) 2セール同日開催
1.M-Live Auction 12:00~ オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale #240307 15:00~ 会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481   E-mail:info@mallet.co.jp

2023.12.28

会場: 代官山 ヒルサイドフォーラム
セール: 第61回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
日時: 2023年10月27日(金)15:00~ ・ 28日(土)13:00~

落札総額: 1,066,665,250円(落札手数料含む)
落札率: 91%
作品数: 300点(落札273点、不落札27点)

 

10月27日(金)28日(土)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山のヒルサイドフォーラムで開催された。今回のセールでは、国内外作家161名(他作家・共作出品は1名でカウント)、300点の作品が競りにかけられた。出来高は、落札総額10億6666万5250円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91%と好記録を達成し、非常に活況なセールとなった。

1日目は、落札予想価格平均190~300万円程度の作品104点がセールにかけられた。単日の落札総額は5億8351万円、落札率は91.3%を記録している。
この日、トップロットとなったのは、村上隆による版画作品。LOT.062《Monogram Mini Multicolore》(40.0×40.0㎝、シルクスクリーン・金属枠にマウントしたキャンバス、ed.100)のホワイトバージョン、ブラックバージョンの2点組は、落札予想価格200~300万円のところ、414万円で落札された。村上は2日間で合計3LOTの出品があった。2日目に出品されたオリジナル作品LOT.152《Untitled》(60.0×50.0㎝、岩絵具・木製パネルにマウントした和紙、2点組)は、落札予想価格150~250万円に対し、落札予想価格上限の6倍程度となる1552万5000円で落札された。本セールで、最大の伸びを見せた注目作品となっている。両日ともに、村上の好調がうかがえる結果となった。
2日目は、落札予想価格170~270万円程度の作品196点がセールにかけられた。単日の落札総額は4億8315万5250円、落札率は90.8%を記録している。草間彌生、ロッカクアヤコ、アンディ・ウォーホルなど、定評のある作家が順当な結果を残す中、先の村上に次いで大幅な伸びを見せ注目を集めたのは、金山明の作品。具体美術作家の希少な大型ドリッピング作品にビットが集まった。LOT.130《Work》(134.7×114.2㎝、塩化ビニール樹脂塗料・パネルにマウントしたビニール)は、落札総価格500~800万円に対し、落札予想価格上限の5倍程度となる4830万円で落札されている。

今回は、鬼頭健吾(きとう・けんご、1977‐)に焦点を当てる。鬼頭は、フラフープやパラソルなどの既製品を取り入れたインスタレーションや立体、絵画、映像など多様な表現方法を用いた作品を発表している。ありふれた日常のもので現代社会を軽やかに批評する作家として国内外から高い評価を受けている。
本セールでは1日目の序盤に、全体にラメが施されたキャンバスに油絵具で描画されたオリジナル作品LOT.015《cosmic dust – gold》(65.2×65.2㎝、油彩・ラメ・キャンバス)1点が出品された。
出品作品と同じキャンバスを用いた《cosmic dust》シリーズの15~25号サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2312ACF美術品時価指数

2312ACF美術品パフォーマンス指標

2015年の出品では、落札予想価格10~15万円のところ、16万円程度で落札されている。2019年の出品では、落札予想価格は横ばいに対し、落札価格は36万円程度と上昇傾向をみせる。2023年の本セールでは、落札予想価格30~50万円に対し、241万5000円で落札されている。落札予想価格上限の約4倍という大幅上昇をみせた。常に落札予想価格上限を超えて落札されており、総じて好調だ。
また、グラフ外のデータになるが、今回の出品作品より小さい6号サイズの作品が2022年4月と2023年4月に出品されている。2022年には約16万円で落札されていたが、2023年には約140万円で落札されるという急上昇がみられた。2023年からの人気の高まりがうかがえる。
この上昇基調がどこまで続くか、今後の動向が期待される。

 

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第62回SBIアートオークション Modern and Contemporary Art
2024年1月27日(土) ・ 28日(日)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2023.11.28

会場:マレットジャパン オークションハウス
セール:1. M-Live Auction 2. SALE#231005  Modern and Contemporary Art
日時:2023年10月5日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#231005/15:00~

落札総額:264,735,000円(落札手数料含まず)
落札率:73.13%
作品数:227点(落札166点、不落札61点)

 

マレットオークションによる”M-Live Auction”と“Sale#231005”、2つのアートオークションが10月5日(木)に開催された。会場を設けず、オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、落札予想価格平均14~20万円程度の作品が78点出品された。落札総額は946万5000円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は66.67%だった。一方、通常のセール#231005では、落札予想価格平均124~188万円程度の作品が、149点出品された。落札総額は、2億5527万円、落札率は76.51%となった。アートマーケットで活躍する作家はもちろん、国内外でオークションへの出品が珍しい作家も積極的に取り上げられた2つのセールの落札総額は2億6473万5000円、落札率は73.13%を記録した。

Sale#231005で、落札予想価格を大幅に上回り競り上がったのは、デミトリス・ミタラスの作品、LOT.119《顔(3)》(53.5×45.5㎝、キャンバス・アクリル)。落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の2.8倍となる42万円で落札され、盛り上がりを見せた。ミタラスは、ギリシャを代表する作家の一人で海外の二次市場では多く流通が見られるが、国内での出品は稀である。その希少性も好結果の要因であろう。次いで、高い上昇率を見せたのは、松谷武判の大型作品。LOT.99《作品‘65‐1》(183.1×134.4㎝、パネルにキャンバス・アクリル、油彩、PVA接着剤)は、落札予想価格700~1000万円のところ、落札予想価格上限の2.1倍となる2100万円で落札され、高額かつ活発な競りに注目が集まった。他にも、関根伸夫、マルク・シャガール、李禹煥などが堅調な伸びを見せ、評価が確立された作家の優品が順当に落札された。

日本が世界に誇る前衛芸術家である草間彌生(くさま・やよい,1929-)の価格動向にスポットを当てる。草間は、水玉模様や網模様などを絵画や立体に反復・増殖させて描く特徴的な作風で知られるが、絵画や彫刻、パフォーマンスアートといった美術のジャンルを超えて、詩や文学、ファッションなど様々な分野で活躍が目覚ましい現役の世界的アーティストである。特にカボチャをモチーフにした作品は格別の人気を博している。
今回のセールでは、中盤にオリジナル2点、マルチプル2点、計4点の作品が連続で出品された。いずれも落札予想価格内~予想価格上限を超えて落札されており、4点の落札総額は、8780万円となっている。オークションカタログ表紙を飾った黄色いかぼちゃを描いた作品LOT088《かぼちゃ》(14.0×18.0㎝、キャンバス・アクリル)は、落札予想価格3000~5000万円のところ、6500万円で落札され、本セール内での最高落札額となった。
本作品とモチーフ、色、サイズ、技法が類似した作品の過去の落札データを抽出したACFパフォーマンス指標で動向を読む。

2311ACF美術品パフォーマンス指標

2311ACF美術品時価指数

2014年は、落札予想価格450~650万円のところ、1000万円で落札されている。翌2015年には、落札予想価格800~1200万円となり、前年から2倍程度の上昇を見せるが、落札価格は横ばいに推移する。以降2018年まで、落札予想価格上限に近い価格で落札されながら緩やかに上昇を続け、落札価格は2000万円程度となる。今回、落札予想価格、落札価格は2~3倍程度大きく上昇を見せた。グラフでは2023年に急騰したようにも見受けられるが、類似作品の出品が無かった為である。他作品の落札データからも、確実に評価が上がってきたことが見て取れ、堅調な推移であることが推察される。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2023年12月14日(木)
1.第5回 M-Live Auction オンライン限定ライブ配信型オークション 12時開始
2.Mallet Auction Sale 会場型オークション 15時開始
【お問合せ先】  株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481  E-mail:info@mallet.co.jp

2023.10.30

セール: 第60回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION

日時: 2023年9月15日(金)・16日(土) 各13:00~

落札総額: 198,633,750円(落札手数料含む)

落札率: 85.7%

作品数: 474点(落札 406点、不落札68点)

 

SBIアートオークションのオンラインによる現代アートのオークションが、9月15日(金)・16日(土)の2日間に渡って開催された。今回のセールでは、国内外の作家225名(他作家・共作出品は1名でカウント)、474点の作品が競りにかけられた。出来高は、落札総額1億9863万3750円(落札手数料含む・以下同)、落札率85.7%を記録した。

1日目は、落札予想価格平均18~30万円程度の作品223点が出品された。単日の落札総額は6289万9250円、落札率は83.9%を記録している。セール後半には、村上隆の作品が版画作品を中心に50LOT(コラボ作品を除く)続き注目を集めた。中でもLOT.175《たんたん坊》(69.0×102.2㎝、シルクスクリーン・金箔、ed100)は、落札予想価格40~70万円のところ、予想価格上限を大きく上回る201万2500円で落札された。単日でのトップロットとなっている。単日の落札価格のランキングでも上位を独占しており、出品点数の多さばかりでなく、村上隆の根強い人気が伺える結果となった。
大幅な伸びをみせたのは、イギリスのグラフィティーアーティスト、ニック・ウォーカーによる作品。LOT.093《The Morning After Brooklyn》(53.8×70.8㎝、シルクスクリーン、ed.150)は、落札予想価格5~10万円のところ、80万5000円で落札された。落札予想価格上限の約8倍までの競り上がりをみせた。
2日目は、落札予想価格29~45万円程度の作品251点が出品された。単日の落札総額は、1億3573万4500円、落札率は87.3%を記録した。この日、トップロットを飾ったのは、セール序盤に出品されたKYNEのLOT.256 《Untitled》(91.0 × 72.7 cm、アクリル・キャンバス)。落札予想価格600~900万円のところ、1322万5000円で落札された。KYNEは、他にオリジナル1点、版画作品4点の出品があったが、いずれも落札予想価格内で落札されており、堅調を維持している。

今回は、高松次郎(たかまつ・じろう、1936‐1998)にスポットを当てる。高松は、戦後日本美術を代表する作家の一人である。赤瀬川原平や中西夏之らと共に前衛美術の中心として活動したことでも知られている。ヴェネツィア・ビエンナーレ(1968)、ドクメンタ(1977)他、国際展にも多数参加し、世界中で活動を行い評判を博した。
2日目のセール終盤に、3作品の出品があった。代表作「影」シリーズよりバラが描かれたアフター作品LOT.451《バラの影》(55.3×46.0㎝、シルクスクリーン)の他、「アンドロメダ」シリーズ(61.0×45.0㎝、シルクスクリーン、ed.98、5点組)より、LOT.449《アンドロメダAシリーズ》、LOT.450《アンドロメダBシリーズ》2点の出品あった。3作品とも落札予想価格上限を超えて落札され、好結果を残している。
出品作品と同じ「アンドロメダ」シリーズA/B、5点組の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2310ACF美術品パフォーマンス指標

2310ACF美術品時価指数

2014 年の出品では、落札予想価格5~10 万円のところ、10 万円程度で落札されている。2017年までの間に落札予想価格は12~19万円程度まで徐々に上昇し、以降は横ばい推移で落ち着いている。2015年から2018年の落札価格は、落札予想価格上限に近い20万円程度で推移している。今回の出品では、落札予想価格12~18万円のところ、Aシリーズは63万2500円、Bシリーズは57万5000円で落札された。いずれも落札予想価格上限の3倍程度の高い伸びを見せた。好調な結果を受け、今後の落札予想価格が上昇する可能性もでてきた。市場の再評価という点から、今後の動向が期待される。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第62回SBIアートオークション LIVESTREAM AUCTION
2024年1月26日(金)・27日(土)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2023.09.28

会場:  マレットジャパン オークションハウス

セール: 1. M-Live Auction  2. SALE#230727  Modern and Contemporary Art

日時:  2023年7月27日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#230727/15:00~

落札総額:171,760,000円(落札手数料含まず)

落札率:  70.3%

作品数:  236点(落札166点、 不落札70点)

 

マレットオークションで、”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#230727、2つのオークションが7月27日(木)に開催された。会場を設けず、オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、落札予想価格平均13~20万円程度の作品が78点出品された。落札総額は887万円、落札率は59%だった。一方、通常のセール#230727では、落札予想価格平均75~110万円程度の作品が、158点出品され、落札総額は、1億6289万円、落札率は75.9%となった。2つのセールの落札総額は 1億7176万0000円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は70.3%を記録した。

Sale#230727では、今井麗の作品が、落札予想価格を大幅に上回る落札で盛り上がり、注目を集めた。一輪のシャクヤクを小さなキャンバスに大きく描いた作品、LOT.064《フラワー》(22.0×27.0㎝、キャンバス・油彩)は、落札予想価格50~80万円のところ、落札予想価格上限の3.75倍となる300万円で落札された。2020年頃よりオークションでたびたび見かけるようになった今井は、競り上がる事例が多く、堅調が続いている。
次に上昇率が高かったのは、セール後半に出品されたアンドレ・コタボの作品。LOT.127《おもちゃの兵隊》(31.5×65.0㎝、カルトン・油彩)は、落札予想価格15~20万円のところ、落札予想価格上限の2.4倍となる48万円で落札された。他にも、ヤン・スメタナ、モーリス・ブリアンションが落札予想価格上限の1.8倍程度の高い伸びを見せている。また、モイーズ・キスリングの女性像が700万円の高額落札となり、好結果を残した。セール後半に続いた海外作家の作品は、活発な競りが展開された。海外作家の活況が印象に残るセールとなった。

今回は、日本を代表する版画家・抽象画家として知られる辰野登恵子(たつの・とえこ,1950-2014)に焦点を当てる。 辰野は、一貫して平面構成による抽象表現を追求し、版画・油彩作品で、格子や線、特定のモチーフなどの反復や連続を基に、技法に合わせた質感で独自の表現を生み出した。芸術選奨文部大臣新人賞や毎日芸術賞などの受賞歴があり、国内外の展覧会への出展歴も多く、現代絵画のトップランナーとして活躍した画家である。
本セールでは、青とピンクの円形モチーフが並ぶペインティング作品1点が出品された。LOT.100《Aug-16-2007》(45.5×53.0㎝、キャンバス・アクリル)は、落札予想価格120~180万円のところ、200万円で落札されている。
本作品と同サイズ、同技法の過去の落札データを抽出したACFパフォーマンス指標で、動向を読む。

2309ACF美術品パフォーマンス指標

2309ACF美術品時価指数

2017年は、落札予想価格120~170万円のところ、落札予想価格下限に近い125万円で落札されている。1年空けて2019年には、落札予想価格、落札価格ともに200万円前後と上昇推移をみせる。2020年、落札予想価格は2017年同等程度となり下降を見せるが、落札予想価格上限に近い185万円で落札され好調を保ちながら推移している。時価指数からも200万円前後がだいたいの目安と分析できる。既に評価が確立されている作家の好調持続が期待される。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2023年10月5日(木)
1.第4回 M-Live Auction 12:00~ オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale #231005 15:00~ 会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
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