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オークションレポート

2024.08.28

会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#240718  Modern and Contemporary Art
日 時:  2024年7月18日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#240/15:00~
落札総額: 200,950,000円(落札手数料含まず)
落札率: 77.7%
作品数: 197点(落札153点、不落札44点)

7月18日(木)に開催されたマレットジャパンの”M-Live Auction”と近現代美術のオークションSale#240718のオークションをレポートする。オンラインだけの開催となるM-Live Auctionでは、落札予想価格平均15~21万円程度の作品が 82点出品された。落札総額は1130万円、落札率は70.7%であった。一方、会場で開催されたセール#20240718では、落札予想価格平均112~167万円程度の作品が115点出品され、落札総額は1億8965万円、落札率は82.6%を記録している。2つのセールの落札率は77.7%、落札総額は2億95万円(落札手数料含まず・以下同)と高記録を達成し、活気あるセールとなった。

最高額で落札されたのは、今回のオークションカタログで表紙を飾った草間彌生の0号のオリジナル作品LOT.57《南瓜》(18.0×14.0㎝、キャンバス・アクリル)で、落札予想価格4000~6000万円のところ、6000万円で落札された。他にも、木版画やレリーフなど7点の出品があったが、全ての作品が落札予想価格以上で落札されている。草間作品だけで落札総額は、1億310万円を記録した。
他、ベルナール・ビュッフェ、マルク・シャガール、モーリス・ユトリロなど海外作家の好調が目立った。
落札予想価格を大幅に上回る落札で盛り上がる競りを見せたのは、アメリカの抽象表現主義の画家サム・フランシスの3連作、LOT.11《An Other Set-Y(Triptych);「The Pasadena Box」より》(39.4×172.0㎝、パネルに紙・リトグラフ)。落札予想価格35~45万円のところ、落札予想価格上限の3.1倍となる140万円で落札された。他にも2点の版画作品が出品されていたが、1点は不落札、もう1点は落札予想価格上限での落札となっている。

今回は、橋本ユタカ(はしもと・ゆたか、1979-)にスポットを当てる。橋本は、白い背景上に独自のキャラクターを残像のように重ねて描いた作品を発表している。2022年から国内市場を中心にオークションで流通がみられ、出品当初からアートコレクターの注目を集めている作家である。
本セールではオリジナル作品が2点出品された。LOT.033《無のための習作(見た目は偏りを生むのか#017)》(100.0×80.3㎝、パネル・アクリル)は、落札予想価格35~45万円に対し、60万円で落札された。続くLOT.034《無のための習作(2つの肖像画#006-1)》(145.5×122.0㎝、キャンバス・アクリル)は、落札予想価格50~70万円に対し、上限同額の70万円で落札されている。
どちらも橋本を代表するシリーズ作品《無のための習作》ではあるが、LOT.033と同じ《見た目は偏りを生むのか》シリーズ、同一サイズの落札データを抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標から動向をみる。

2408ACF美術品パフォーマンス指標

2408ACF美術品時価指数

2022年には落札予想価格22~37万円に対し、落札予想価格上限を大幅に上回る142万円程度の落札となっている。翌2023年では落札予想価格平均が30~50万と若干上昇するが、落札価格は、56万円程度と下降する。2024年は、落札予想価格上限、落札価格に若干の下降が見られるが、ほぼ横ばいである。同一作品の落札結果をみると、2022年7月には48万円、2023年5月には26万円、今回のセールでは60万円と一番良い結果を残している。
2023年以降下落している印象も受けるが、出品当初の急騰が目立つ為であり、現状では落札予想価格程度に落ち着いている。まだオークションへの出品が少ない新進作家のこれからの活躍に期待が高まる。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年10月10日(木)  2セール同日開催
1.M-Live Auction オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale  会場:マレットジャパン オークションハウス
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】   株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481   E-mail:info@mallet.co.jp

2024.07.30

会場: 代官山ヒルサイドフォーラム
セール:  MODERN AND CONTEMPORARY ART
日 時:  2024年7月6日(土)13:00~  7日(日)13:00~
落札総額: 890,393,250円(落札手数料含む)
落札率: 94.5%
作品数: 290点(落札274点、不落札16点)

 

東京代官山にあるヒルサイドフォーラムで7月6日(土)・7日(日)の2日間に渡り、SBIアートオークションが開催された。本セールでは、戦後美術から最先端のコンテンポラリー作品まで、国内外のマーケットで注目されている作家159名(他作家・共作出品は1名でカウント)、290点の作品が出品された。その落札総額は8億9039万3250円(落札手数料含む・以下同)、落札率は94.5%を記録し、活気のあるセールとなった。

1日目は、既に評価が確立されている作家のオリジナル作品を中心に、落札予想価格平均280~460万円程度の作品が165点出品された。マルチプル作品、立体作品はもちろん、セール序盤には、写真作品を集めたセクションがあるなど多様な作品種で構成された見応えのあるセールだった。単日の落札総額は8億2441万2000円、落札率は95.2%の高記録を達成している。高額落札には、草間彌生、奈良美智、キース・へリング、KYNEなどが名を連ね、いずれも落札予想価格上限近辺で順当に落札されていた。大きな競り上がりをみせたのは、セール後半に出品された劉鋒植(リュウ・フォンジー)のLOT.128《作品》(アクリル・キャンバス、60.0 × 50.0 cm)。落札予想価格上限の6倍近くの伸びをみせ、注目を集めた。落札予想価格50~80万円のところ、529万円で落札されている。
2日目は、セカンダリーマーケットではまだフレッシュな顔ぶれとなる作家の作品を中心に、落札予想価格29~45万円程度の作品が251点出品された。単日の落札総額は、1億3573万4500円、落札率は87.3%を記録した。この日、トップロットを飾った作品は、『ポケモン』誕生25周年を記念し、バカラとフラグメントデザインによるコラボレーションで制作された作品《PIKACHU FRAGMENT》。高さ約30cm、重さ8.3kgサイズのピカチュウを模したクリスタルの作品は、落札予想価格180~280万円のところ、落札予想価格内の264万5000円で落札されている。

今回は、先に紹介した劉鋒植に次いで大幅な伸びを見せ注目を集めた作家、山本麻友香(やまもと・まゆか、1964‐)にスポットを当てる。山本は、岡山県出身のアーティストで、武蔵野美術大学大学院修了後、文化庁芸術家在外研究員としてイギリスに滞在していた経歴を持つ。動物を身に纏った少年をモチーフに独自の世界観を描き、多くのコレクターを魅了している。国内だけでなくアジアのマーケットを中心に海外でも流通が見られ、近年、活躍が目立つ作家の一人である。
本セールでは、1日目の後半にペンギンの被り物をした少年を描いたLOT.114《Penguin Boy》(油彩・キャンバス、60.6×45.5㎝)1点の出品があった。落札予想価格100~150万円のところ、609万5000円で落札されている。出品作品と近似サイズとなる8~12号の油彩・キャンバス作品の落札情報を抽出したACF指標から動向をみる。

2407ACF美術品パフォーマンス指標

2407ACF美術品時価指数
2018年では落札予想価格平均15~25万円に対し、落札予想価格内の18万4000円で落札されている。以降、落札予想価格、落札価格ともに右肩上がりに上昇する。2022年では、落札予想価格平均55~75万円に対し、400万円程度で落札と高騰傾向が見られる。他のサイズの落札データにおいても、2021年あたりから徐々に評価を高めてきていることがわかる。そして、2024年、今回のセールでも更に上昇を見せ、好調な結果を残している。まだ相場が急騰して間も無い為、この上昇基調が継続するという見方には注意が必要だが、変わらぬ好調に期待は高まる。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第67回 SBIアートオークション LIVE STREAM
2024年9月13日(金)・14日(土)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2024.06.28

会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#240516  Modern and Contemporary Art
日 時:  2024年5月16日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#240307/15:00~
落札総額: 152,065,000円(落札手数料含まず)
落札率: 72.5%
作品数: 229点(落札166点、不落札63点)

 
5月16日(木)にマレットジャパンで開催された”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#240516のオークションをレポートする。
オンラインだけでの開催となるM-Live Auctionでは、落札予想価格平均15~21万円程度の作品が122点出品された。落札総額は1616万5000円、落札率は66.4%となった。一方、会場で開催されたセール#20240516では、落札予想価格平均87~130万円程度の作品が107点出品され、落札総額は1億3590万円、落札率は79.4%を記録している。いずれのセールもマルチプル作品を多く取りそろえたセールで、2つのセールの落札総額は1億5206万5000円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は72.5%となっている。

近現代のオークションで、最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙を飾ったソニア・ドローネーの作品。LOT.081《フラメンコ・ダンサーのためのエチュード》(25.8×20.5㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格600~800万円のところ、落札予想価格上限の約2.5倍となる2000万円で落札された。抽象絵画の先駆者として活躍した作家の優品に多くの入札が集まった。続いて出品されたLOT.082アルフォンス・ミュシャの《ブルーズ・アダンクール香水商会》(57.6×22.3㎝、リトグラフ)は、活気のある競りで会場を沸かせた。落札予想価格25~35万円のところ、160万円で落札された。希少な作品は高く評価され、落札予想価格上限の4.6倍の伸びをみせた。他にもキース・へリング、マルク・シャガール、パブロ・ピカソなど海外作家による版画作品の好調が目立った。

今回は、草間彌生(くさま・やよい、1929-)の価格動向にスポットを当てる。草間は、水玉模様や網模様などを反復・増殖させて描く独自の世界観と繊細な表現で知られている。日本の現代アートを牽引する世界的に有名な前衛芸術家である。オークションでの取引も活発で、国内外から多くの入札を集めている。
本セールではLOT.060~065まで、マルチプル作品が6点出品され、全ての作品が落札された。中でも代表的な“かぼちゃ”をモチーフとした2点の版画作品は、3号サイズと小品ながら、それぞれ720万円、780万円と落札予想価格上限を上回る高額落札を記録している。
次にLOT.064《やさしさに溢れた万物は私の心を打った》LOT.065《富士山、わたし大好き》をピックアップし、その動向を読む。この2点は、草間彌生とアダチ版画研究所(浮世絵の製作技術を高度に継承した職人をかかえる唯一の版元)のコラボレーションによって生まれた現代の浮世絵《七色の富士》シリーズ(80.3×89.8㎝、木版)の作品である。《七色の富士》という名の通り、作品には7色のカラーバリエーションがあり、各120部制作された。

2406ACF美術品パフォーマンス指標

2406ACF美術品時価指数

同シリーズの近年の落札データを抽出したACF指標を見ると、2020年では落札予想価格平均250~350万円に対し、400万円で落札されている。以降、落札価格平均は緩やかに上昇し、2024年では落札予想価格平均380~620万円に対し、700万円程度の落札となっている。今回のセールでも、落札予想価格400~600万円に対し、700万円、760万円と順当に落札された。常に落札予想価格上限近辺で落札されており、時価指数からも堅実な上昇が見て取れる。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年7月18日(木)  2セール同日開催
1.M-Live Auction オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale  会場:マレットジャパン オークションハウス
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】   株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481   E-mail:info@mallet.co.jp

2024.05.30

セール: 第64回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
日 時 : 2024年4月12日(金)・13日(土)各13:00~
落札総額:  406,818,250円(落札手数料含む)
落札率: 94.8%
作品数: 420点(落札398点、不落札22点)
 
 
SBIアートオークションのオンラインによる現代アートのオークションが、4月12日(金)・13日(土)の2日間に渡って開催された。20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、国内外の作家による420点の作品が競りにかけられた。2日間の出来高は、落札総額4億681万8250円(落札手数料含む・以下同)、落札率94.8%を記録し、盛況なセールとなった。

1日目は、マルチプル作品を中心に、落札予想価格平均12~20万円程度の作品が230点競りにかけられた。絵画作品だけでなく立体作品やグッズ、少額で買える作品も多く取り揃えられ、初心者も気軽にオークションに参加できるような作品構成だった。単日の落札総額は、5221万円、落札率は97.4%と高記録を達成している。セール後半に出品された村上隆の作品(LOT.194)が、この日のトップロットを飾った。ドラえもんと村上の代表的なお花のモチーフが描かれたマルチプル作品11点をまとめた出品で、落札予想価格60~90万円のところ、149万5000円で落札されている。村上は、12日だけでも42点(うち、1点は共作)の出品があった。単日の村上だけの落札総額は、1641万500円に達し、単日総額の31.4%を占めている。
2日目は、オリジナル作品を中心に落札予想価格平均85~150万円程度の作品が190点出品された。単日の落札総額は、3億5460万8250円、落札率は91.6%を記録した。草間彌生、ロッカクアヤコ、小松美和など、市場で常に活発に取引されている作家の作品が順当に高額で落札された。その中でもオークション出品の都度、競り上がりが目立つロッカクアヤコの作品は3点全てが落札予想価格内~上限程度での落札となった。大幅な伸びが鈍化し、価格が安定してきているようだ。
同日、大幅な伸びを見せたのは、セール終盤に出品された成田克彦のLOT.411《静物E之図》(60.0×60.0㎝、ミクストメディア、パネルにマウントしたキャンバス)。成田は、「もの派」の代表的作家のひとりとして知られている。作品がオークションに出品されることは珍しく、注目を集めた。落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の3.7倍となる55万2000円で落札された。

今回は、東京を拠点に活動するペインターLY(りー、1974‐)に焦点を当てる。幼少期からアートスクールで絵画を学び、10代の頃にはストリートアートへの興味を深め、ペインターとして作品制作を開始している。海外で訪れた街並みや妄想の中の風景に、大きな瞳で真っ黒な人型キャラクターをモノクロ調で描いた作風で知られ、その独自の世界観で多くのファンを魅了している。
本セールでは、1日目にマルチプル作品2点、2日目に円型のオリジナル作品2点、合計4点の作品が出品された。オリジナル作品1点は不落札、他3点は落札予想価格下限~落札予想価格内での落札となっている。その中でも、一番高額落札となったLOT.320《作品》(Φ53.0㎝、アクリル・キャンバス)と近似サイズ・同技法の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向をみる。

2405ACF美術品パフォーマンス指標

2405ACF美術品時価指数

2020年は、落札予想価格平均50~80万円のところ、落札予想価格を大幅に上回る210万円程度で落札されている。2021年ほぼ横ばい推移の後、2022年には、落札予想価格平均250~350万円、落札価格平均390万円程度と大幅に上昇をみせるが、それを境に下降に転じる。2023年以降、落札予想価格平均は120~180万円と設定され、落札価格は予想価格内で収まっている。今回の出品作品LOT.320《作品》も149万5000円と、落札予想価格内での落札となった。
近年、新進アーティストとして初出品時から高騰を見せる作家も多いが、一定期間を過ぎて大きく下降に転じるという動向も少なくない。 LYの市場価格が安定していくのか、今後の復調が期待される。
 
 
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第66回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2024年7月6日(土)・7日(日)/ ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777    E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2024.04.26

会場: 東京国際フォーラム ホールD5
セール: Tokyo Contemporary: Redefined
日時: 2024年3月9日(土曜日)14:00~
落札総額: 954,799,000円(落札手数料含む)
落札率: 91.4%
作品数: 81点(落札74点、不落札7点)

日本最大級の国際アートフェアである「アートフェア東京」が3月7日~10日の4日間、東京国際フォーラムで開催された(7日は招待制)。国内外より多くの人々が集まり、来場者数は5.5万人を記録し、盛況なフェアとなった。フェア期間中、別ホールにて、SBIアートオークションによる特別企画セールが開催された。アートフェア東京でのセール開催は今回で3回目となる。会場は立ち見も出るほどの賑わいを見せた。
今回のセールでは、国内外で活躍する現代美術作家の落札予想価格平均600~1000万円の作品が81点出品された。SBIアートオークションで定期的に開催されている通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、オリジナル作品を中心に国内外作家による優品が揃い、見応えのあるセールとなった。出品作品のうち半数を超える作品が落札価格上限を超えて落札され、落札総額は9億5479万9000円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91.4%を記録した。

セール序盤では、今津景の作品LOT.013《THE RED LIST》(194.0×162.0㎝、油彩・キャンバス)が、勢いのある競りで注目を集めた。落札予想価格200~300万円に対し、落札予想価格上限の518%まで競り上がり、1552万5000円で落札されている。今津の作品は、競り上がりを見せることが多く、コレクターの積極的な応札がみられる。2025年1月には、大規模個展の開催も予定されており、更なるブレイクが期待される。
高額落札には、草間彌生、李禹煥、ジャン・ミッシェル・バスキア、ウォーホルなどが名だたる作家が名を連ねた。高額落札上位5位までの落札総額は約5億500万円となっており、全体落札総額の半分程度を占める結果となった。

今回は、佐藤誠高(さとう・なりたか、1980‐)に焦点を当てる。佐藤は、東京芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了の経歴、2007年8th SICF グランプリ、2017 年Independent TOKYO グランプリなどの賞歴を持つ。実在の人物や花などをモチーフとし、精細な鉛筆画に、大胆な絵具使いで抽象的なペインティングを重ねた作風で知られ、多くのコレクターに支持されている。
本セールでは、セール序盤に1点のオリジナル作品が出品された。LOT.004《Red Woman 2》(145.5×145.5㎝、アクリル・鉛筆・パネルにマウントした紙)は、落札予想価格400~700万円のところ、落札予想価格上限を上回る920万円で落札されている。
佐藤の作品の中で、一番出品数の多い10号サイズの同技法作品の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2404ACF美術品パフォーマンス指標

2404ACF美術品時価指数

2021年は、落札予想価格平均20~30万円のところ、170万円程度で落札されている。落札予想価格平均は右肩上がりに上昇し、2023年では落札予想価格平均110~160万円となる。落札価格平均は2022年に500万円近くまで高騰を見せるも、2023年には250万円程度に下落するが、それでも2021年に対し142%の上昇となっている。現状、10号サイズにおいては、200~300万円程度が目安となるであろう。
今回の出品作品は10号サイズよりも大きい80号サイズの作品のため、価格帯も高くなっている。2023年7月には、出品作品と近いサイズ(100号)の作品が出品されていた。落札予想価格400~700万円、落札価格920万円と、落札予想価格・落札価格ともに今回の出品作品と同じ結果となっている。いずれも落札予想価格上限を上回る価格で落札され、好調が続いている。安定した価格上昇を実現できるか今後の動向が注目される。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第65回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2024年5月24日(金)・25日(土)/ ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

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