会場: SBI ART AUCTION 代官山ヒルサイドフォーラム
セール: MODERN AND CONTEMPORARY ART
日時: 2019年4月26日(金曜日)17:00~
2019年4月27日(土曜日)13:00~
落札総額: 807,116,000円(落札手数料含む)
落札率: 90.2%
作品数: 520点(落札469点、不落札51点)
今回は4月26日(金)、27日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションのオークションについてレポートする。
SBIアートオークションは、SBIグループの知名度と信用力を活かし、現代アートを中心に魅力のある作品を集め、資産性価値の高い美術品提供を展開しているオークションハウスである。
国内外205名の作家の作品520点がセールにかけられ、出来高は、落札総額約8億712万円。落札率は90.2%。市場の落札予想価格上限を超えて高値の落札となった作品も半数近くあり、非常に活気のあるオークションだった。
オークションカタログの表紙を飾ったカウズ1999年制作の作品「Untitled(TSE)」が落札予想価格800~1,600万円のところ5,290万円で落札され、最高額での落札となった。次いで、草間彌生のオリジナル作品が3作品、奈良美智、五木田智央、ロッカクアヤコ、高松次郎が名を連ね、コレクターに人気の作家が順当な結果を残している。
今回は、東京都現代美術館で個展を開催(2011年)、海外の国際展や美術館への出展歴を持つなど、国内外において高い評価を得ている彫刻家、名和晃平の作品に注目する。
出品されたのは、「PixCell」シリーズより4点、他1点。「PixCell」とは、PC画面の画素-ピクセル(Pixel)と細胞のセル(Cell)を組み合わせた名和晃平独自の概念(造語)で、モチーフを透明の球体などで覆うことで、物質に新たな知覚体験をもたらす作品を展開している。自身の代表的なシリーズのひとつである。
今回の出品作品のうち「PixCell[Toy-Doraemon]」は、人気キャラクターであるドラえもんを覆った作品で、落札予想価格120~180万円に対し上値の1.9倍の345万円で落札された。他の「PixCell」シリーズも、落札予想価格の上値に近い価格で落札されている。
2014年から2018年のオークションに出品された類似作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、2014年の落札平均価格が約62万円に対し、2018年には約240万円にまで上昇している。落札価格平均のグラフには上下動があるものの、落札予想価格上限に近い落札価格平均で推移しており、高いパフォーマンスであることがうかがえる。今回のセール結果からも、2019年も右肩上がりの動向が期待できる。
次回のSBIアートオークションは2019年7月27日 (土)代官山ヒルサイドフォーラムでの開催を予定しております。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問い合わせ先】
SBIアートオークション株式会社
〒135-0063東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-5635-1778
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
担当:加賀美・塚田
会場: マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)
セール: SALE 2018.2.28
日時: 平成31年2月28日(金曜日)15:00~
落札総額: 101,910,000円(手数料含まず)
落札率: 66.9%
作品数: 落札266点、不落札88点
今回は2月28日(金)に開催されたマレットジャパンのアートオークションについてレポートする。マレットジャパンは主に国内外の近現代アートを取り扱うオークションハウスである。
今回は国内作家作品131点、海外作家作品135点、合計266点がセールにかけられ、その内訳は 絵画作品(油彩・水彩)90点、版画作品(写真含)168点、立体彫刻その他8点となっている。
出来高は、落札総額1億191万円(落札手数料含まず) 落札率66.9%だった。
昨年12月に同会場にて行われた前回のオークションと比較すると出品数が31点増加し、見応えのあるオークションとなった。
今回は、1989年に文化勲章を受章し、昭和から平成の時代に先進的な日本画で高い評価を確立している片岡球子の作品に注目する。
出品されたのは、「富士に献花(ひまわり)」「花:「めでたき富士」より」の2作品。いずれも、「富士」という、作家の代表的なモチーフのリトグラフ作品である。人物画を多く描いていた片岡は、1960年頃より、火山に興味を持ち、日本各地の火山を訪れて、山をモチーフにした〈火山〉シリーズを発表している。1964年には、富士山のスケッチを開始し、その後40年以上に渡り、富士山を描き続け、〈富士〉シリーズの版画制作点数は100点を超える。今回の2作品は、その後期に制作されたものである。
「富士に献花(ひまわり)」のオークション結果は、落札予想価格60~80万円に対し上値の1.4倍の115万円で落札された。2014年以降の国内オークションに出品された類似作品60点を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、上下動はあるものの、2014年の落札平均価格が約735万円に対し、2019年には約120万円にまで上昇している。2018年を除いては、常に落札上限平均を超える落札価格平均で推移しており、安定したパフォーマンスであることがうかがえる。2019年に入り、落札価格に高い上昇を見せているが、一過性のものか否か、今後の動向も注視していきたい。
※アート・コンサルティング・ファーム提供 ⇒リポートはこちら
次回のマレットオークションは2019年5月16日 (木)15時~マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778 E-mail:info@mallet.co.jp
会場: SBI ART AUCTION
セール: MODERN AND CONTEMPORARY ART
日時: 平成31年2月2日(土曜日) 13:00~
落札総額: 495,431,500円(落札手数料含む)
落札率: 88.5%
作品数: 落札368、不落札48
今回は2月2日に(土)に開催されたSBI ART AUCTION(SBIアートオークション)の中で
高松次郎(1936~98)についてレポートする。
人物の影を描いた作品で知られ、近年は欧米でも評価が高まっている高松次郎。
赤瀬川原平、中西夏之と前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」を結成し、街頭ハプニングなど反芸術的な活動を展開した。1964年頃から、画面に人間の影だけを描き、実在物と虚像のあり方を問いかける「影」シリーズを開始、代表作となった。その後、42年頃から立体作品によって視覚として感じられる遠近感と遠近法との差異を提示しようとした「遠近法」シリーズ、70年頃からは木、鉄、布、紐など、さまざまな物質を組み合わせ、構成する「複合体」シリーズを発表している。
今回のセールで高松次郎の作品は4点(版画3点、絵画作品1点)出品されており、
「バラの影」は予想落札価格8万円~14万円のところ17万2500円(税抜き、以下同)、「遠近法のマラソン」は予想落札価格12万円~24万円のところ21万8500円、「遠近法のベンチ」は想落札価格12万円~24万円のところ18万4000円で落札された。そして油彩作品である「影 №1418 」は予想落札価格1,000万円~1,500万円のところ1092万5000円で落札された。
高松次郎の油絵作品(影シリーズ)の最近の5年間の指標(ACF美術品時価指数)をみてみると、2014年以降、相場が上昇しているのがわかる。2016年は「影№1319」が落札予想価格上限の3.5倍で落札された特殊事例があり、落札価格も2017年まで予想落札価格上限を越えて2018年も上限付近で推移しており、安定した人気銘柄であることがわかる。
※アート・コンサルティング・ファーム提供 ⇒リポートはこちら
次回SBIアートオークションは
2019年4月26日 金曜日 17:00~
2019年4月27日 土曜日 13:00~
~代官山ヒルサイドフォーラム
※開催日時、出品作品は事前の告知なしで変更になる可能性があります。
【お問い合わせ先】
SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 江東区有明3-6-11 TFTビル東館7階
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777 Email:artauction@sbigroup.co.jp
担当:加賀美、塚田
会場: Shinwa Auction
セール: 近代美術/近代美術PartⅡ
日時: 平成31年1月26日(土曜日) 15:00~
落札総額: 264,945,000円(落札手数料含まず)
落札率: 87.54%
作品数: 落札253点、不落札36点
今回は、猫のモチーフが人気で、2017年12月から2018年3月にかけて東京国立近代美術館で開催された「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展でも大々的に紹介された熊谷守一の作品を紹介する。
Shinwa Auctionの特徴としては国内外のすべてのジャンルの作品が出品されているが、特に日本画、洋画については力を入れており、良質な作品が多数出品されているオークションハウスである。
熊谷守一(1880-1977)は、生涯金儲けや商売などに縁がなく、生き物や植物、何気ない身のまわりの生命のある身近なものを見つめて描き続けた画家で、画壇の仙人とも呼ばれた。
作風は、モチーフを極限にまで単純化した「熊谷様式」、明確な輪郭線により知られている。
今回のセールに出品された熊谷の油彩作品「ひまわり」は、くっきりと描かれた輪郭線でかたどられ、大胆に単純化された3輪の生き生きとしたひまわりのモチーフの、作家の典型的な特徴が見てとれる良品である。
落札予想価格は、1,000万円~1,800万円と設定され、中値に近い1,300万円で落札された。
最近5年間の熊谷守一の油彩作品の指標を見てみると、多くの日本洋画の作家銘柄の作品が下落傾向にある中で、時価ベースでも上昇トレンドが見られる。また、パフォーマンス指標を参照しても、落札価格が落札予想価格上限を超えることもあり、日本の美術品市場での熊谷銘柄の人気度の強さがうかがい知れる。
Shinwa Auctionの近代美術/近代美術PartⅡ 次回は3月23日 土曜日の開催予定となります。
Shinwa Auction HP https://www.shinwa-auction.com/
会場: マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)
セール: SALE 2018.12.7
日時: 平成30年12月7日(金曜日)15:00~
落札総額: 136,855,000円(手数料含まず)
落札率: 75.3%
作品数: 落札177点、不落札58点
今回は12月7日(金)に開催されたマレットジャパンのアートオークションについてレポートする。マレットジャパンは主に国内外の近現代アートを取り扱うオークションハウスである。
今回は国内作家作品139点、海外作家作品95点、その他1点 合計235点がセールにかけられその内訳は 絵画作品(油彩・水彩)124点、版画作品(写真含)102点、立体彫刻その他9点となっている。
出来高は落札総額1億3685万5千円(落札手数料含まず)、落札率75.3%であり昨年9月に同会場にて行われた前回のオークションと比較すると出品数で30点増加し、落札総額も5102万円増加している。
マレットジャパンの特徴としては近現代の中堅作家作品にフォーカスをあて、まとまった点数で出品されることが多い。今回はギャラリー島田コレクションと題し、神戸のギャラリー島田より出品された46点の作品を特集している。元永定正、浮田要三、堀尾貞治、松谷武判といった具体美術協会メンバーの作品や、関西出身の津高和一の作品が出品されていた。
目立ったところでは松谷武判の27.0×35.0cm、キャンバスにボンドと鉛筆で2002年に制作された作品「波動9-1」が落札予想価格80~120万円のところ、120万円で落札。元永定正の1990年制作、60.8×73.0cmのキャンバスにアクリルで制作された作品「ぴんくとぶるうはながれてる」は落札予想価格200~300万円のところ270万円で落札。津高和一の作品は7点出品され、内6点が落札されていた。戦後現代美術をけん引してきた作家たちの評価が安定して高値で落札されていることが伺える。
若手作家の中で、ここ2~3年で評価が大きく上がってきているロッカクアヤコの作品も6点(内油彩作品5点)が出品されていた。油彩作品の落札結果を見てみると
・2008年制作 ダンボール・アクリル(67.8×100.0cm)「無題」
落札予想価格150~250万円 落札価格360万円
・2014年制作 ダンボール・アクリル(67.0×47.0cm)「無題」
落札予想価格 150~250万円 落札価格340万円
・2008年制作 ダンボール・アクリル(33.5×87.0cm)「作品」
落札予想価格 150~200万円 落札価格310万円
・2007年制作 ダンボール・アクリル(55.0×35.0cm)「anger」
落札予想価格 100~150万円 落札予想価格200万円
・2007年制作 キャンバス・アクリル(91.0×72.7cm)「無題」
落札予想価格300~500万円 落札価格700万円
となっている。すべての作品が落札予想価格上限を大きく超えての落札となっている。この流れはおよそ2年前から続いており、どこまで相場上昇を続けていくのか注目される。
今回のマレットオークションで注目したいのが昭和を代表する洋画家、香月泰男の作品である。香月は戦後シベリアに抑留され、収容所で強制労働に従事した。この原体験が、その後の作品制作の主題・背景となっており、1969年「シベリア・シリーズ」で第1回日本芸術大賞を受賞している。
今回のオークションに出品されたのは45.5×27.0cmのキャンバスに油彩の作品「トレド」である。香月は1956年秋ごろヨーロッパに旅行に出かけ、その風景や建物を主題にした作品を残しており、今回出品された作品も、年記はないが、そういった作品の一連の作品として考えられる。
「トレド」のオークション結果は、落札予想価格70~100万円に対し上値の1.8倍の180万円で落札された。このシリーズの作品が市場に出ることが珍しいという点も、高額での落札の一つの要因になったのかもしれない。香月の作品は、そのほとんどが国内オークション市場のみでの出品ではあるが、2014年以降の国内オークションに出品された68点を分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、上下動はあるものの、2014年から2018年にかけて、右肩上がりに推移している。2014年の香月作品油彩画全体の落札平均価格が約248万円に対し、2018年には約620万円にまで上昇している。各年の落札価格も平均も、落札予想価格上限平均付近か、それを超えており、香月作品のパフォーマンスの高さを証明している。海外からの日本人作家へのオファーの増加傾向も高パフォーマンスの一因かもしれない。今年、没後45年を迎える中、美術品市場での再評価が進む香月泰男。今後もこの状況が続いていくのか注視していきたい。
次回のマレットオークションは2019年2月28日 15時~マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
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