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オークションレポート

2019.08.29

会場:  SBIアートオークション(代官山ヒルサイドフォーラム)

セール:  Modern and Contemporary Art

日時:  2019年7月27日(土曜日)13:00~

 

落札総額:  584,786,500円(落札手数料含む)

落札率:    88.1%

作品数:    落札422点、 不落札57点

 

今回は7月27日(土)に代官山ヒルサイドフォーラムで開催されたSBIアートオークションについてレポートする。SBIアートオークションは、主に国内外作家の現代美術作品を取り扱う、国内で主要なオークションハウスである。

 

今回のオークションでは、国内外作家216名(多作家・共作出品は1名でカウント)、479作品がセールにかけられ、その内訳は 絵画・版画・写真作品325点、立体・彫刻・その他(グッズ含む)154点となっている。出来高は、落札総額5億8478万6500円(落札手数料含む、以下同)、 落札率は88.1%に達した。落札予想価格の上限を超えて落札された作品は、全体の40%を占め、総じて活況なセール結果となった。

500点に近い出品作品の中で、最高額で落札されたのは、オークション中盤にセールにかけられた藤田嗣治の水彩画作品「狐を売る男」で、落札予想価格1500~3000万円に対し、5290万円で落札された。水彩画は油彩画と比較して高値がつきにくい、とされている中での高額落札は藤田嗣治の根強い人気と評価の高さがうかがえる。
次いで、高額落札されたのは、キース・へリングのシルクスクリーン作品「Andy Mouse (Littmann p.65)」で、落札予想価格1500~2500万円に対し、2242万5000円で落札された。キース・へリングの作品は、3点出品されていたが、うち2点が1000万円を超える高額落札となった。同オークションハウスでの2014年以降のキース・へリングの落札結果からみると今回の結果は大幅な高値更新となり、今後の動向が注目される。

今回は、油彩作品3点の出品があった中西夏之(1935-2016)に注目し、プロフィールと共にレポートする。
中西は、日常的な場所で非日常的な行為を行う「ハプニング」と呼ばれる芸術表現を行った作家のひとりで、1963年に、高松次郎、赤瀬川原平らと前衛美術グループ「ハイレッド・センター」を結成し、多くのイベントを実施した経歴を持つ。初期の前衛的活動の後、60年代後半からは絵画制作を主体に活動している。フランスやニューヨークなどで開催された日本の前衛芸術を紹介する美術展への出品歴の他、リヨン・オペラ座の舞台装置を手掛けるなど幅広い表現形態で、国内外で活躍の場を持つ作家である。

「作品 R.VER」は、落札予想価格300~500万円のところ、落札価格は345万円。4点組作品の「1. 12Z1‘92 / 2. 10Z1’92 / 3. 10Z1’92 / 4. 12Z1’92」は、落札予想価格400~800万円に対し、460万円で落札された。「K.T.像(金属粉末による)」は、落札予想価格200~300万円に対して落札価格は230万円となった。

2014~2018年の国内主要オークションに出品された油彩作品を抽出分析したACF美術品時価指数・パフォーマンス指標から、過去5年間の市場動向をみると、落札中央値300万円台からスタートし、没年の2016年に510万円までの上昇があり、その後2017~18年の落札価格中央値はともに437万円で、好調に推移している。落札予想上限平均に対しては、落札価格平均は上下動があるものの、これも落札予想下限平均を下回ることはなく好調を維持している。今後の推移が気になるところである。

 

次回のSBIオークション開催予定
2019年10月26日(土)HARAJUKU Auction
2019年11月2日(土) Modern and Contemporary Art
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】
SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル 東館7階
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

 

1908ACF美術品パフォーマンス指数

1908ACF美術品時価指数

2019.07.31

会場:  マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)

セール:  SALE 2019.7.19

日時:  2019年7月19日(金曜日)15:00~

 

落札総額:  134,235,000円(手数料含まず)

落札率:    76%

作品数:    落札175点、不落札55点

 

6月のレポートに引き続き、マレットジャパン(東京都江東区東陽町)で7月19日に開催されたアートオークションについてレポートする。

 

今回は国内作家作品 124点、海外作家作品106点、合計230点がセールにかけられ、その内訳は 絵画作品(油彩・水彩)93点、版画作品(写真含)120点、立体・彫刻・その他17点となっている。

出来高は、落札総額1億3,423万5千円(落札手数料含まず)、 落札率76%だった。

カタログの表紙を飾ったパブロ・ピカソの1946年制作のリトグラフ作品「フランソワーズ」が、予想価格600~800万円のところ1,400万円で落札され、今回のオークションでは最高額での落札となった。ピカソの版画やセラミックなどの作品が、14点続けてセールにかけられた。オークション前半での展開であったが、点数の多さに踏まえ、先の高額落札もあり、印象に残る競りとなった。
出品点数の多さでみると、藤田嗣治11点、ジョアン・ミロ9点、村上隆8点、アンディ・ウォーホル、シャガールがそれぞれ7点で後に続いている。アンディ・ウォーホルは、7点出品の内、その全てが落札され、予想価格下値を下回る落札もなく、手堅い人気銘柄となっている。
今回は、「無題」と「くもがたおれんじさんかくいつつ」のオリジナル作品2点の出品があった元永定正(1922-2011)にスポットを当てる。
戦後日本の抽象絵画の代表作家として知られ、具体美術家協会にも入会した経歴のある元永は、絵本作家としての顔も持ち、版画やオリジナル等、数多くの作品を残している。国内外でも評価は高く、日本芸術大賞・フランスの芸術文芸シュヴァリエ賞・紫綬褒章など華やかな受賞歴もある。元永が創り出すユニークなかたち、明るい色彩からなる独自の表現は、見るもの惹きつける不思議な魅力を持っている。

1973年に制作されたキャンバス・アクリル/10号サイズの作品「無題」は、落札予想価格120~170万円に対し、上値の1.26倍の215万円で落札された。「くもがたおれんじさんかくいつつ」も、落札予想価格30~40万円に対し、上限を上回る44万円で落札された。
2014年以降の国内オークションに出品された類似作品(10号サイズ・オリジナル)を抽出分析したACF美術品時価指数・パフォーマンス指標から、過去6年間の市場動向をみると2015年に急激な価格の上昇があり、その後の落札価格中央値は、230万円前後のほぼ横ばいの落札価格で推移していることがうかがえる。落札予想上限平均に対しては、上下動を見せる落札価格平均ではあるが、落札予想下限平均を下回ることはなく好調を維持している。今回の2作品も落札予想上値1.1~1.26倍で落札されており、低下傾向はないようだ。今後も、動向を注視していきたい。
 

次回のマレットオークションは2019年9月下旬
マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

 

【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778  E-mail:info@mallet.co.jp

 

1907ACF美術品パフォーマンス指数

 

1907ACF美術品時価指数

2019.06.27

会場:  マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)
セール:  SALE 2019.5.16
日時:  2019年5月16日(木曜日)15:00~

落札総額:  136,160,000円(手数料含まず)
落札率:    72.8%
作品数:    落札169点、不落札63点

今回は5月16日(木)に開催されたマレットジャパンのアートオークションについてレポートする。マレットジャパンは、美術品売買の「健全性・効率性・安定性」を基に、市場性が高い国内外の美術品を取り扱うオークションハウスである。

今回は国内作家作品 116点、海外作家作品116点、合計232点がセールにかけられ、その内訳は 絵画作品(油彩・水彩)88点、版画作品(写真含)122点、立体・彫刻・その他22点となっている。
出来高は、落札総額1億3,616万円(落札手数料含まず)、 落札率72.8%だった。

藤田嗣治が好んで描いていたモチーフが墨で描かれた作品「猫と少女」が予想価格500~600万円のところ960万円で落札され、今回のオークションでは最高額での落札となった。
次いで、オークションカタログの表紙を飾った桂ゆきの油彩、紙と紐によるコラージュの作品「千本足」800万円、篠田桃紅の銀地紙本、墨、彩色による作品「無題」780万円、ディヴィット・ホックニーのリトグラフ作品「ホテル・アカトラン、第2日<ムーヴィング・フォーカス>」720万円が高額落札作品となる。この3作品は、いずれも長辺180cm以上の作品で大型作品の積極的な落札が目立った。

今回は、ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」(2005年)にも選出されたこともあり、国内外で注目の集まる篠田桃紅にスポットを当てる。
篠田桃紅は1913年・大正2年生まれで、106歳を迎えた現在も活躍する女性芸術家である。幼少の頃から書に親しみ、その道を極めた書家であったが、文字の概念から離れ、水墨による抽象画(墨象)というスタイルを確立し、独自の表現で数多くの作品を発表している。

出品されたのは、高額落札で挙げたオリジナル作品「無題」と「Reminiscence」を含む版画作品3点(内、2作品は2点セットで出品)である。
「Reminiscence」は、1990年に制作されたリトグラフの作品で、落札予想価格15~20万円に対し、上値の1.85倍の37万円で落札された。
2014年以降の国内オークションに出品された類似作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、落札価格平均は、落札予想下限平均を下回ることはなく推移していることがわかる。2017年には全体的に低調傾向にあるが、翌2018年にはすぐに上昇を見せており、その数値は落札予想上限平均を上回る好調なものである。今回の各出品作品も落札予想上値1.4~1.85倍で落札されており、パフォーマンス上昇への明るい材料となっている。持続的な安定を実現できるか注目される。

次回のマレットオークションは2019年7月19日 (金)15時~
マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778  E-mail:info@mallet.co.jp

 

 

1906ACF美術品パフォーマンス指数

 

1906ACF美術品時価指数

2019.05.30

会場:   SBI ART AUCTION  代官山ヒルサイドフォーラム

セール:  MODERN AND CONTEMPORARY ART

日時:   2019年4月26日(金曜日)17:00~

      2019年4月27日(土曜日)13:00~

 

落札総額: 807,116,000円(落札手数料含む)

落札率:  90.2%

作品数:  520点(落札469点、不落札51点)

 

今回は4月26日(金)、27日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションのオークションについてレポートする。
SBIアートオークションは、SBIグループの知名度と信用力を活かし、現代アートを中心に魅力のある作品を集め、資産性価値の高い美術品提供を展開しているオークションハウスである。

 

国内外205名の作家の作品520点がセールにかけられ、出来高は、落札総額約8億712万円。落札率は90.2%。市場の落札予想価格上限を超えて高値の落札となった作品も半数近くあり、非常に活気のあるオークションだった。

オークションカタログの表紙を飾ったカウズ1999年制作の作品「Untitled(TSE)」が落札予想価格800~1,600万円のところ5,290万円で落札され、最高額での落札となった。次いで、草間彌生のオリジナル作品が3作品、奈良美智、五木田智央、ロッカクアヤコ、高松次郎が名を連ね、コレクターに人気の作家が順当な結果を残している。

 

今回は、東京都現代美術館で個展を開催(2011年)、海外の国際展や美術館への出展歴を持つなど、国内外において高い評価を得ている彫刻家、名和晃平の作品に注目する。

出品されたのは、「PixCell」シリーズより4点、他1点。「PixCell」とは、PC画面の画素-ピクセル(Pixel)と細胞のセル(Cell)を組み合わせた名和晃平独自の概念(造語)で、モチーフを透明の球体などで覆うことで、物質に新たな知覚体験をもたらす作品を展開している。自身の代表的なシリーズのひとつである。
今回の出品作品のうち「PixCell[Toy-Doraemon]」は、人気キャラクターであるドラえもんを覆った作品で、落札予想価格120~180万円に対し上値の1.9倍の345万円で落札された。他の「PixCell」シリーズも、落札予想価格の上値に近い価格で落札されている。

2014年から2018年のオークションに出品された類似作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、2014年の落札平均価格が約62万円に対し、2018年には約240万円にまで上昇している。落札価格平均のグラフには上下動があるものの、落札予想価格上限に近い落札価格平均で推移しており、高いパフォーマンスであることがうかがえる。今回のセール結果からも、2019年も右肩上がりの動向が期待できる。

 

 

次回のSBIアートオークションは2019年7月27日 (土)代官山ヒルサイドフォーラムでの開催を予定しております。

※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】

SBIアートオークション株式会社

〒135-0063東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-5635-1778

E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

担当:加賀美・塚田

 

1905ACF美術品パフォーマンス指数

 

1905ACF美術品時価指数

2019.04.26

会場:   マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)

セール:  SALE 2018.2.28

日時:   平成31年2月28日(金曜日)15:00~

 

落札総額:  101,910,000円(手数料含まず)

落札率:    66.9%

作品数:    落札266点、不落札88点

 

今回は2月28日(金)に開催されたマレットジャパンのアートオークションについてレポートする。マレットジャパンは主に国内外の近現代アートを取り扱うオークションハウスである。

 

今回は国内作家作品131点、海外作家作品135点、合計266点がセールにかけられ、その内訳は 絵画作品(油彩・水彩)90点、版画作品(写真含)168点、立体彫刻その他8点となっている。

 

出来高は、落札総額1億191万円(落札手数料含まず) 落札率66.9%だった。

昨年12月に同会場にて行われた前回のオークションと比較すると出品数が31点増加し、見応えのあるオークションとなった。

 

今回は、1989年に文化勲章を受章し、昭和から平成の時代に先進的な日本画で高い評価を確立している片岡球子の作品に注目する。

出品されたのは、「富士に献花(ひまわり)」「花:「めでたき富士」より」の2作品。いずれも、「富士」という、作家の代表的なモチーフのリトグラフ作品である。人物画を多く描いていた片岡は、1960年頃より、火山に興味を持ち、日本各地の火山を訪れて、山をモチーフにした〈火山〉シリーズを発表している。1964年には、富士山のスケッチを開始し、その後40年以上に渡り、富士山を描き続け、〈富士〉シリーズの版画制作点数は100点を超える。今回の2作品は、その後期に制作されたものである。
「富士に献花(ひまわり)」のオークション結果は、落札予想価格60~80万円に対し上値の1.4倍の115万円で落札された。2014年以降の国内オークションに出品された類似作品60点を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、上下動はあるものの、2014年の落札平均価格が約735万円に対し、2019年には約120万円にまで上昇している。2018年を除いては、常に落札上限平均を超える落札価格平均で推移しており、安定したパフォーマンスであることがうかがえる。2019年に入り、落札価格に高い上昇を見せているが、一過性のものか否か、今後の動向も注視していきたい。

※アート・コンサルティング・ファーム提供 ⇒リポートはこちら

 

次回のマレットオークションは2019年5月16日 (木)15時~マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。

※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】

株式会社マレットジャパン

〒135-0016東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F

TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778  E-mail:info@mallet.co.jp

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