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オークションレポート

2024.04.26

会場: 東京国際フォーラム ホールD5
セール: Tokyo Contemporary: Redefined
日時: 2024年3月9日(土曜日)14:00~
落札総額: 954,799,000円(落札手数料含む)
落札率: 91.4%
作品数: 81点(落札74点、不落札7点)

日本最大級の国際アートフェアである「アートフェア東京」が3月7日~10日の4日間、東京国際フォーラムで開催された(7日は招待制)。国内外より多くの人々が集まり、来場者数は5.5万人を記録し、盛況なフェアとなった。フェア期間中、別ホールにて、SBIアートオークションによる特別企画セールが開催された。アートフェア東京でのセール開催は今回で3回目となる。会場は立ち見も出るほどの賑わいを見せた。
今回のセールでは、国内外で活躍する現代美術作家の落札予想価格平均600~1000万円の作品が81点出品された。SBIアートオークションで定期的に開催されている通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、オリジナル作品を中心に国内外作家による優品が揃い、見応えのあるセールとなった。出品作品のうち半数を超える作品が落札価格上限を超えて落札され、落札総額は9億5479万9000円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91.4%を記録した。

セール序盤では、今津景の作品LOT.013《THE RED LIST》(194.0×162.0㎝、油彩・キャンバス)が、勢いのある競りで注目を集めた。落札予想価格200~300万円に対し、落札予想価格上限の518%まで競り上がり、1552万5000円で落札されている。今津の作品は、競り上がりを見せることが多く、コレクターの積極的な応札がみられる。2025年1月には、大規模個展の開催も予定されており、更なるブレイクが期待される。
高額落札には、草間彌生、李禹煥、ジャン・ミッシェル・バスキア、ウォーホルなどが名だたる作家が名を連ねた。高額落札上位5位までの落札総額は約5億500万円となっており、全体落札総額の半分程度を占める結果となった。

今回は、佐藤誠高(さとう・なりたか、1980‐)に焦点を当てる。佐藤は、東京芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了の経歴、2007年8th SICF グランプリ、2017 年Independent TOKYO グランプリなどの賞歴を持つ。実在の人物や花などをモチーフとし、精細な鉛筆画に、大胆な絵具使いで抽象的なペインティングを重ねた作風で知られ、多くのコレクターに支持されている。
本セールでは、セール序盤に1点のオリジナル作品が出品された。LOT.004《Red Woman 2》(145.5×145.5㎝、アクリル・鉛筆・パネルにマウントした紙)は、落札予想価格400~700万円のところ、落札予想価格上限を上回る920万円で落札されている。
佐藤の作品の中で、一番出品数の多い10号サイズの同技法作品の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2404ACF美術品パフォーマンス指標

2404ACF美術品時価指数

2021年は、落札予想価格平均20~30万円のところ、170万円程度で落札されている。落札予想価格平均は右肩上がりに上昇し、2023年では落札予想価格平均110~160万円となる。落札価格平均は2022年に500万円近くまで高騰を見せるも、2023年には250万円程度に下落するが、それでも2021年に対し142%の上昇となっている。現状、10号サイズにおいては、200~300万円程度が目安となるであろう。
今回の出品作品は10号サイズよりも大きい80号サイズの作品のため、価格帯も高くなっている。2023年7月には、出品作品と近いサイズ(100号)の作品が出品されていた。落札予想価格400~700万円、落札価格920万円と、落札予想価格・落札価格ともに今回の出品作品と同じ結果となっている。いずれも落札予想価格上限を上回る価格で落札され、好調が続いている。安定した価格上昇を実現できるか今後の動向が注目される。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第65回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2024年5月24日(金)・25日(土)/ ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2024.03.28

会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#240307  Modern and Contemporary Art
日 時:  2024年3月7日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#240307/15:00~

落札総額: 113,170,000円(落札手数料含まず)
落札率: 67.9%
作品数: 271点(落札184点、不落札87点)
 
 
3月7(木)にマレットジャパンで”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#240307のオークションが開催された。オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、134点の作品が出品された。落札総額は1720万円、落札率は59%だった。一方、通常のセール#20240307では、落札予想価格平均67~97万円程度の作品が137点出品され、落札総額は、9597万円、落札率は76.6%となった。2つのセールの落札総額は1億1317万円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は67.9%となっている。いずれのセールも版画作品を多く取り揃えており、近現代のオークションでは半数以上が海外作家の作品でコレクターの関心を高めた。

近現代のオークションで、落札予想価格から大きな伸びをみせたのは、ジャン・カルズーの作品。針金のような細いシャープな線に抑えた彩色で描かれた風景画LOT.095《森の道》(54.0×65.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格30~50万円のところ、110万円で落札された。落札予想価格上限の2.2倍という好結果となった。続いて出品されたLOT.096《音楽と曳舟》(60.0×81.0㎝、キャンバス・油彩)、ジャン・フサロによる作品も好調だった。落札予想価格30~40万円のところ、予想価格上限の2.13倍となる85万円で落札されている。海外作家の稀少なオリジナル作品に注目が集まった。
トップロットとなったのは、草間彌生の代表的なモチーフである黄色いかぼちゃを描いた版画作品。LOT.078《かぼちゃ》(28.0×22.8㎝、シルクスクリーン、Ed.150)は、落札予想価格上限の1.5倍程度となる740万円で落札された。次いで、高額落札を記録したのは、セール序盤に出品されたアンディ・ウォーホルのLOT.015《ブラックグラマ》(96.4×96.4㎝、シルクスクリーン、Ed.190)。落札予想価格上限の約1.7倍となる620万円で落札されている。高額落札の上位6位まで草間とウォーホルが占めていた。両作家は不動の人気を得ており、堅調が続いている。

今回は、池内信介(いけうち・しんすけ、1984-)にスポットを当てる。池内は、独学で彫金技術を習得し、彫金作家として活動する傍ら、平面や立体作品なども制作し、現代アート作家として表現の場を拡げている。錫や銀などを用い、その特質を活かし異素材と複合させ独自な作品を展開するミクストメディア作品を手掛けることで知られている。
本セールでは、LOT.050《作品(グリーン)》、051《作品(パステルカラー)》、052《作品(レッド)》(各41.0×31.8㎝、ミクストメディア)と、色・デザインが異なる3点の作品が出品された。落札予想価格は、いずれも30~50万円で、LOT.050が38万円、 LOT.051とLOT.052が52万円で落札されている。
本作と同サイズで類似のミクストメディア作品の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読む。

2403ACF美術品パフォーマンス指標

2403ACF美術品時価指数

2023年7月の出品では、落札予想価格30~50万円に対し、57万円程度で落札されている。12月まで、横ばい~下降傾向となるが、落札予想価格上限近辺にて落札されている。
池内のオークション初出品は2022年4月のセールで、SMサイズの作品が落札予想価格20~30万円で出品された。注目度が高く競り上がりを見せ、90万円で落札されている。それに後押しされてか、出品当初は高騰傾向がみられた。現状、6号サイズの作品においては落札予想価格上限付近の45~50万円で推移している。今後、上昇をみせることになるのか、その動向が期待される。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年5月中旬  2セール同日開催
1.M-Live Auction 12:00~ オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale #240307 15:00~ 会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】   株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481   E-mail:info@mallet.co.jp

2024.02.28

セール: 第62回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
日時: 2024年1月27日(土)・28日(日) 各11:00~
落札総額: 1,015,047,500円(落札手数料含む)
落札率: 92.0%
作品数: 498点(落札 458点、不落札40点)
1月27日(土)・28日(日)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山ヒルサイドフォーラムで開催された。これまでのSBIアートオークションでは、金・土曜日での開催が主だったが、今回は土・日曜日とスケジュールを変更しての開催となった。
本セールでは、国内外の作家248名(他作家・共作出品、グッズは1名でカウント)、498点の作品が競りにかけられた。2日間の落札総額は10億1504万7500円(落札手数料含む・以下同)を記録した。落札率は92.0%に達し、活気に満ちたセールとなった。

1日目は、落札予想価格平均290~450万円程度の作品が197点出品された。オリジナル作品が若干多く出品され、単日の落札総額は8億9567万7500円、落札率は92.0%を記録している。
通常、現代美術を中心に作品構成されているが、今回のセールでは中盤に近代美術の作品が構成され、9点の優品が出品された。落札予想価格7000万~1億円で出品されたルノワールの6号サイズの油彩・キャンバス作品は残念ながら不落札となってしまったが、シャガールやビュッフェなどの作品は順当に落札されている。
2日目は、落札予想価格平均20~40万円程度の作品が301点出品された。1日目より購入しやすい価格帯の作品が数多く出品され見応えのあるセールだった。単日の落札総額は1億1937万円、落札率は前日と同じ92.0%を記録している。最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙を飾った奈良美智の作品。こちらを睨みつけるような少女をモチーフにした作品LOT.090《Fuck You(No.YNF2107)》(84.0×59.0㎝、アクリル、色鉛筆、紙)は、落札予想価格上限である9000万円を上回る1億3225万円で落札され、会場を盛り上げた。奈良は他にマルチプル作品3点、グッズ1点の出品があったが、いずれも落札価格内~上限を超えて落札されている。世界的にも高く評価されている奈良の好調は続く。

今回は、友沢こたお(ともざわ・こたお、1999-)にスポットを当てる。東京藝術大学美術学部絵画学科油画専攻で学び、2019年度久米賞受賞、2021年度上野芸友賞の受賞歴を持つ。個展、グループ展への参加の他、ギャラリーやアートフェアで作品を発表している。艶のあるスライム状の物質を自身の顔や“ルキちゃん”と名付けた人形に被せたモチーフを油彩で描き、その独特なモチーフと巧みな表現力で注目を集めている。
今回のセールでは、1日目にオリジナル作品2点、2日目に版画作品1点の計3点が出品され、いずれも落札予想価格上限を超えて落札されている。1日目に出品されたルキちゃんの全身像、顔だけに赤いスライムを被せた作品LOT.145《slime XXXVII》(162.0 × 130.3 cm、油彩・キャンバス)は、落札予想価格200~300万円のところ、予想価格上限の4倍程度となる1207万5000円で落札された。
続くLOT.146《Slime LIII》(65.2×53.0㎝、油彩・キャンバス)、 ルキちゃんの顔に白いスライムを被せた作品は、落札予想価格100~150万円のところ、414万円で落札されている。本作と類似モチーフで近似サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2402ACF美術品パフォーマンス指標

2402ACF美術品時価指数

2023年1月の出品では、落札予想価格100~150万円のところ、予想上限の4倍となる600万円程度で落札されている。友沢の作品は、2022年9月に3号サイズの油彩・キャンバス作品が初出品され、落札予想価格上限である30万円を大きく上回る391万円で落札という好結果を残している。2023年1月の出品は、3回目の出品ということで高い関心が寄せられていたことがうかがえる。その後、落札価格は400万円前後に落ち込むが、落札予想価格上限の2~3倍で安定して推移している。
好調な結果を受け、今後の落札予想価格が上昇する可能性もでてきた。近年マーケットを賑わす新進気鋭若手作家の更なる活躍が期待される。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第63回SBIアートオークション|Tokyo Contemporary: Redefined
2024年3月9日(土)  会場(予定)東京国際フォーラム ホールD5
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2024.01.29

会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: 1. M-Live Auction 2. SALE#231214 Modern and Contemporary Art
日 時:  2023年12月14日(木曜日)M-Live/12:00~ SALE#231214/15:00~

落札総額: 170,490,000円(落札手数料含まず)
落札率: 63.0%
作品数: 246点(落札 156点、不落札90点)

 

昨年12月14日(木)に開催されたマレットジャパンの”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#231214、2つのオークションをレポートする。
会場を設けず、オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、落札予想価格平均16~23万円程度の作品が130点出品された。落札総額は1190万円、落札率は53%だった。一方、通常のセール#231214では、落札予想価格平均113~168万円程度の作品が116点出品され、落札総額は、1億5859万円、落札率は75%となった。全体的にマルチプル作品を多く取り扱った2つのセールの落札総額は1億7049万円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は63%を記録した。

活発な競りが見られたのは、戦後日本美術を代表する前衛グループのひとつ「具体美術協会」で重要な役割を担った美術家である吉田稔郎の作品。M-Live Auctionで出品されたLOT.1019《作品》(45.2×45.2㎝、パネル・油彩)は、落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の6倍となる90万円での落札となった。
トップロットとなったのは、草間彌生LOT.069《かぼちゃ》(18.0×14.0㎝、キャンバス・アクリル)。0号の作品ながら、5100万円という高額落札を記録した。次いで、オークションカタログの表紙を飾ったアンディ・ウォーホルのLOT.007《Marilyn Monroe》(91.4×91.4㎝、シルクスクリーン、Ed.250)が1800万円で落札されている。常に高額落札を誇る人気の作家の作品は順当に落札され、安定した結果を残した。

今回は、マナブ間部(まなぶ・まべ、1924-1997)に焦点を当てる。間部は、熊本県生まれの日系ブラジル人で、間部マナブ、マナブ・マベとも表記される。ブラジルに移住し、コーヒー農園で働きながら画家を志し、34歳で「サンパウロ・ビエンナーレ展」の最高賞を受賞するなど、注目を集めた。鮮烈な色彩で描かれる個性的な抽象画により“ブラジルのピカソ”と称され、世界的に活躍した芸術家である。
本セールでは、中盤に2点の作品が出品された。うち1点は、ウールの大型タペストリー。LOT.038《Untitled》(169.0×189.0㎝)は、落札予想価格20~30万円のところ、38万円で落札された。続くLOT.039《作品》(38.0×45.5㎝、キャンバス・油彩)の抽象画は、落札予想価格25~35万円のところ、落札予想価格内の34万円での落札となった。本作と類似の油彩・抽象画作品(8~12号サイズ)の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。

2401ACF美術品パフォーマンス指標

2401ACF美術品時価指数

2016年、落札予想価格は15~20万円程度で設定され、21万円で落札されている。その後2018年、落札予想価格、落札価格ともに横ばい推移となる。2022年には、落札予想価格が25~25万円と上昇を見せ、落札価格も29万円と合わせて上昇する。そして、今回のセールでは、落札予想価格は横ばいながら、落札価格は予想価格内ではあったが更なる上昇を見せた。
間部の作品は、国内だけでなく海外のオークションにもたびたび出品され直近では、フランスのオークションで10号サイズの作品が$3,000程度で落札された。
際立った上昇こそ見られないが、落札予想価格下限を下回ることはなく、右肩上がりで堅実な結果を残している。国内外の市場で流通している物故作家の動向に関心が高まる。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2024年3月7日(木) 2セール同日開催
1.M-Live Auction 12:00~ オンライン限定ライブ配信型オークション
2.Mallet Auction Sale #240307 15:00~ 会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480  FAX:03-5216-2481   E-mail:info@mallet.co.jp

2023.12.28

会場: 代官山 ヒルサイドフォーラム
セール: 第61回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
日時: 2023年10月27日(金)15:00~ ・ 28日(土)13:00~

落札総額: 1,066,665,250円(落札手数料含む)
落札率: 91%
作品数: 300点(落札273点、不落札27点)

 

10月27日(金)28日(土)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山のヒルサイドフォーラムで開催された。今回のセールでは、国内外作家161名(他作家・共作出品は1名でカウント)、300点の作品が競りにかけられた。出来高は、落札総額10億6666万5250円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91%と好記録を達成し、非常に活況なセールとなった。

1日目は、落札予想価格平均190~300万円程度の作品104点がセールにかけられた。単日の落札総額は5億8351万円、落札率は91.3%を記録している。
この日、トップロットとなったのは、村上隆による版画作品。LOT.062《Monogram Mini Multicolore》(40.0×40.0㎝、シルクスクリーン・金属枠にマウントしたキャンバス、ed.100)のホワイトバージョン、ブラックバージョンの2点組は、落札予想価格200~300万円のところ、414万円で落札された。村上は2日間で合計3LOTの出品があった。2日目に出品されたオリジナル作品LOT.152《Untitled》(60.0×50.0㎝、岩絵具・木製パネルにマウントした和紙、2点組)は、落札予想価格150~250万円に対し、落札予想価格上限の6倍程度となる1552万5000円で落札された。本セールで、最大の伸びを見せた注目作品となっている。両日ともに、村上の好調がうかがえる結果となった。
2日目は、落札予想価格170~270万円程度の作品196点がセールにかけられた。単日の落札総額は4億8315万5250円、落札率は90.8%を記録している。草間彌生、ロッカクアヤコ、アンディ・ウォーホルなど、定評のある作家が順当な結果を残す中、先の村上に次いで大幅な伸びを見せ注目を集めたのは、金山明の作品。具体美術作家の希少な大型ドリッピング作品にビットが集まった。LOT.130《Work》(134.7×114.2㎝、塩化ビニール樹脂塗料・パネルにマウントしたビニール)は、落札総価格500~800万円に対し、落札予想価格上限の5倍程度となる4830万円で落札されている。

今回は、鬼頭健吾(きとう・けんご、1977‐)に焦点を当てる。鬼頭は、フラフープやパラソルなどの既製品を取り入れたインスタレーションや立体、絵画、映像など多様な表現方法を用いた作品を発表している。ありふれた日常のもので現代社会を軽やかに批評する作家として国内外から高い評価を受けている。
本セールでは1日目の序盤に、全体にラメが施されたキャンバスに油絵具で描画されたオリジナル作品LOT.015《cosmic dust – gold》(65.2×65.2㎝、油彩・ラメ・キャンバス)1点が出品された。
出品作品と同じキャンバスを用いた《cosmic dust》シリーズの15~25号サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。

2312ACF美術品時価指数

2312ACF美術品パフォーマンス指標

2015年の出品では、落札予想価格10~15万円のところ、16万円程度で落札されている。2019年の出品では、落札予想価格は横ばいに対し、落札価格は36万円程度と上昇傾向をみせる。2023年の本セールでは、落札予想価格30~50万円に対し、241万5000円で落札されている。落札予想価格上限の約4倍という大幅上昇をみせた。常に落札予想価格上限を超えて落札されており、総じて好調だ。
また、グラフ外のデータになるが、今回の出品作品より小さい6号サイズの作品が2022年4月と2023年4月に出品されている。2022年には約16万円で落札されていたが、2023年には約140万円で落札されるという急上昇がみられた。2023年からの人気の高まりがうかがえる。
この上昇基調がどこまで続くか、今後の動向が期待される。

 

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第62回SBIアートオークション Modern and Contemporary Art
2024年1月27日(土) ・ 28日(日)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館6F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

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