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オークションレポート

2020.12.28

会場:  マレットジャパン オークションハウス

セール: SALE#201119

日時:  2020年11月19日(木曜日)14:00~

 

落札総額:  180,595,000円(落札手数料含まず)

落札率:    87.8%

作品数:    作品数:279点(落札245点、 不落札34点)

 

今回は11月19日(木)に開催されたマレットオークションをレポートする。
近現代絵画・陶芸(Paintings and Pottery Works)から65点、近現代美術(Modern and Contemporary Art)から214点、合計279点の作品がセールにかけられた。絵画だけでなく、書や陶芸品、石像の出品もあり、バラエティ豊かで見ごたえのある構成であった。出来高は、落札総額1億8059万5000円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は87.8%。落札された作品の半数近くが落札予想価格上限を超える価格で落札されており、活発な競りが展開された。

最高額で落札されたのは、アンディ・ウォーホルのポートレート作品LOT.86《ミック・ジャガー》(111.5×73.7㎝、シルクスクリーン)で、落札予想価格500~700万円のところ、落札予想価格上限を超える760万円で落札された。ウォーホルは、他にもポートレート作品を含む3点のシルクスクリーン作品の出品があったが、いずれも落札予想価格内で落札されている。
次いで高額落札となったのは、幻想的な作風が特徴的な日本画家・高山辰雄のLOT.31《日輪》(61.4×81.1cm<25号>、絹本・彩色)。落札予想価格150~250万円のところ、落札予想価格上限の2.24倍、560万円の高値がついた。オリジナル作品がセールにかけられることは珍しく、注目を集めた。

高額かつ落札予想価格を大幅に上回った作品がLOT.43 《ガンダーラ仏坐像》(H86.5×W49.5×D16.0cm)。波型の頭髪や両肩に袈裟をかけて覆う(通肩)姿など、ギリシャ彫刻の影響を多く受けたといわれているガンダーラの仏像彫刻の流れを汲んだ坐像は、落札予想価格15~25万のところ、落札予想価格上限の19.2倍となる480万円の高値がつき、会場を沸かせた。

 

「もの派」を代表する作家として活躍した現代美術家、彫刻家である関根伸夫(せきね・のぶお、1942-2019)にスポットを当てる。
関根は、1968年に開催された野外彫刻展に出品した《位相-大地》が、国内外で高い評価を受け、その名が知られるようになった作家で、以降も「位相」の概念をテーマに平面や立体、インスタレーションなど様々なスタイルで作品を発表している。中でも、1978年から発表された「位相絵画」という絵画シリーズは、関根の画業を象徴する代表的な作品シリーズとなっている。
「位相絵画」は、和紙などを重ね合わせた支持体にキズや切れ目、しわなどをつけて、その上に金箔や黒銀箔でコーティングする手法で制作され、「位相」の概念を空間としての絵画に表現した作品である。

本セールでは、6、15、25、30号とサイズが異なる5点の「位相絵画」の出品があった。
落札予想価格内で落札された作品が3点、落札予想価格上限を超えて落札された作品が2点だった。その中から、落札予想価格35~45万円のところ、54万円で落札された6号サイズの「位相絵画」、LOT.128《G6-91 One Page》に焦点を当て、分析する。
関根の位相絵画6号サイズの最近の5年間のパフォーマンス指標をみてみると、2016~2019年までの落札価格平均は、多少の上下動がありつつも、落札予想価格内で推移していることがわかる。2020年に顕著な上昇があり高騰しているようにも見受けられるが、これは、多色使いの珍しい作品の出品があった為と推察される。
今回の出品でも、色を使った作品LOT.124《G15-313四つの場所》(15号)が、落札予想価格60~80万円のところ、115万円で落札という好結果を残している。作品の特異性により、大きな上昇をみせることを考慮しても、落札予想価格内で順当に推移しており、安定した銘柄であることがわかる。

2012ACF美術品時価指数

2012ACF美術品パフォーマンス指標

●次回のマレットオークション開催予定●
2021年1月28日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

2020.11.26

会場:  SBI Art Auction / ライブ配信型オークション

セール: LIVE STREAM

日時:  2020年10月3日(土曜日)13:00~

 

落札総額:  231,040,750円(落札手数料込み)

落札率:    92.8%

作品数:    作品数:346点(落札321点、 不落札25点)

 

今回は10月3日(土)に開催された「SBI Art Auction Live Stream」をレポートする。Live Streamは、会場を使用しないライブ配信型のオークションで、同形式の開催は8月に続き2回目となる。PCやスマホの画面越しにオンラインもしくは電話でオークションに参加ができる気軽さで、前回のオークションでの全体落札率は、94.1%と好記録を残している。
本セールでは、国内外作家101名、346作品がセールにかけられた。出来高は、全体落札総額2億3104万750円(落札手数料込み・以下同)、全体落札率は92.8%であり、前回同様90%越えの活況なセールとなった。

当日のアクセス数が最も多かった作家は、TIDE(LOT.039-041)、小松美羽(LOT.068-070)、Mr. Doodle (LOT.047-049)だった。次いで、KYNE、MADSAKI、山口歴、Backside works.、井田幸昌、Kaws、ロッカクアヤコ(版画)と続く。いずれも活発な競りが行われ、落札予想価格上限を超えた金額での落札となっている。

最高額で落札されたのは、TIDE(IDETATSUHIRO)のLOT.040《TWO OF US》(F100号、アクリル・キャンヴァス)。ネコをモチーフとしたキャラクターのモノクロ作品(CATシリーズ)で、落札予想価格100~150万円のところ、5060万円で落札された。TIDEのCATシリーズは、LOT.041《STRANGER IN BED》(F30号、アクリル・キャンヴァス)、LOT.039《ANGRY CAT》(45×45㎝、シルクスクリーン)と、連続で出品されたが、全て落札予想価格上限を大幅に上回る金額で落札され、セールは大いに盛り上がった。
TIDEは、以前IDETATSUHIROの名前で活動を行っていたが、TIDE(タイド)と名義を変えている。オークション開催日前日からは、名義変更後初となる個展を神宮前で開催していた。作品に対しての注目度も高く、その勢いはセールにも反映される結果となった。

今回は、ロンドン生まれのストリート・グラフィティアーティストSTIK(スティック、1979-)にスポットを当てレポートする。
スティックは、6本のラインと2つの点だけで構成された人物像(棒人間)を代表的なキャラクターとして描き、ロンドンの街の壁やビルに多くの作品を残している。性別や人種、年齢の概念を持たないその人物像は、メッセージを含み持ち、鑑賞者の心を惹きつける。
本セールでは、赤、青、黄色、オレンジを背景に棒人間が描かれた作品LOT.192《Sassy》(各55×20.5cm、オフセット印刷)が出品され、落札予想価格15~25万円のところ、39万1000円で落札された。落札予想価格上限を超える好結果となった。

同作家の同一作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、2017年にオークション市場に登場して以来、ほとんどの作品が落札予想価格上限より高い価格で落札され、落札価格の平均も緩やかなペースで右肩上がりに推移している。落札中央値の推移を示す落札価格による時価指数でも同様の動きを見せている。スティックの作品の中でも、手堅い作品銘柄といえるだろう。更なる上昇をみせるのか、動向を注視していきたい。

 

2011ACF美術品パフォーマンス指標

2011ACF美術品時価指標

注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、該当作品は2017年からオークション市場に登場している為、2017年~2020年のデータをグラフ化している。

 

●次回のSBIアートオークション開催予定●
2021年1月29日(金) 1月30日(土)
会場:ヒルサイドフォーラム
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

 

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2020.10.28

会場:  マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)

セール:  SALE#200910

日時:  2020年9月10日(木曜日)15:00~

 

落札総額:  124,970,000円(落札手数料含まず)

落札率:    77.5%

作品数:    作品数:209点(落札162点、 不落札48点)

 

今回は9月10日(木)に開催されたマレットジャパンのオークションについてレポートする。
マレットジャパンは、ジャンルにとらわれることなく、国内作家の高額作品および、国際市場性のある海外作家の高額作品を重点的に取り扱う、国内の主要なオークションハウスのひとつである。

 

本セールでは、国内外作家118名(国内:65名、海外:53名)209作品がセールにかけられた。出来高は、落札総額1億2,497万円(落札手数料含まず、以下同)、落札率は77.5%だった。

ロッカク アヤコ(1982年~)のキャンバス作品LOT145(180.0×140.6㎝)が、落札予想価格1,200~1,700万円のところ、2,000万円で落札された。今回のオークションでは最高額での落札となり、安定した人気である。

また前回のレポートでもコメントしたミスター・ドゥードゥル(1994年~)のキャンバス作品が2点出品され、LOT142「A Piece of ‘Rainbow Doodle’」(30.0×30.0㎝)は落札予想価格40~60万円のところ255万円、もう一点のLOT143「Doodling」(15.0×15.0㎝)が落札予想価格10~15万円のところ60万で落札された。ミスター・ドゥードゥルはイギリス出身のアーティストで2019年東京アートフェアに登場し、ハローキティとコラボレーションした作品は即完売、市場で話題の作家である。
今回は現代アートのマーケットでも高く評価されている陶芸家 桑田卓郎(くわた たくろう・1981年~)についてレポートする。

本セールでは、「ろくろ」を用いず制作した大ぶりの楽茶椀1点が出品された。LOT167「金彩垸」(高9.0cm 径12.1cm)で、落札予想価格10~15万円のところ、26万円で落札された。
桑田卓郎は1981年広島に生まれ2002年より陶芸家・財満進に師事、現在は岐阜県土岐市に工房を構えて活動している。古来の技法に独創性とポップな色彩表現を加え、伝統的な技術と美しさを蘇らせる作品を数多く制作しており、釉薬が粒状や縮れ状になる技法をデフォルメしつつわかりやすく伝える作風を特徴としている。

同作家の陶芸作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、2017年にオークション市場に登場して以来、ほとんどの作品が落札予想価格上限より高く落札されている現在活躍中であり、未だオークション市場での出品作品数はさほど多くない。手にとりやすい「ぐい呑み」などの小品に比べ、大振りの「茶碗」は制作に時間を要し、作家本来の持ち味が楽しめるため、人気度を測る上で参考になる。高額な大型作品が出品された時に、落札平均や中央値が大幅に左右されてしまうことがあるが(2020年はぐい吞みなどの低価格の小ぶりな作品の出品が多い)、今後も価格上昇が見込める作家と考えられる。

 

2010ACF美術品パフォーマンス指標_差替

2010ACF美術品時価指標

注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、桑田卓郎の作品は2017年からオークション市場に登場している為、2017年~2020年のデータをグラフ化している。

 

次回のマレットオークション開催予定
2020年11月19日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス

※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

 

【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

2020.09.28

会場:  SBI Art Auction / ライブ配信型オークション

セール: LIVE STREAM

日時:  2020年8月1日(土曜日)13:00~

 

落札総額:190,152,500円(落札手数料込み・税抜)

落札率:94.1%

作品数:286点(落札269点,不落札17点)

 

今回は、8月1日(土)に開催された会場を使用しないライブ配信型オークション「SBI Art Auction Live Stream」をレポートする。ライブ配信型オークションは、従来のオンラインのみのオークションとは異なり、実際にオークショニアがオークションを執り行う中、動画配信を見ながら、PCやスマホの画面越しにオンラインもしくは電話でオークション参加ができるというもので、Withコロナ時代にスタートした新しい形式のオークションである。
出来高は、全体落札総額1億9015万2500円(落札手数料含む・以下同)、全体落札率は94.1%と好記録を達成し、非常に活況なセールとなった。

最高額での落札となったのは、ロッカクアヤコの大型作品Lot.081《無題》(アクリル・キャンヴァス/140×100cm)。落札予想価格700~1000万円のところ、1782万5千円で落札された。ロッカクアヤコは2点の出品があったが、もう一方の作品Lot.082《無題》(アクリル・段ボール/80×54.6cm)は落札予想価格150~250万円のところ、391万円で落札されている。いずれも筆などを使わず、手で少女を描きあげたロッカクアヤコの特徴的な作品である。近年のオークションでは常に安定した結果を残しており、手堅い人気銘柄となっている。

次にMr. Doodleのオリジナル作品Lot.087《Hot Summer》(アクリル・キャンヴァス/縦横100cm)が続く。落札予想価格100~150万円のところ、落札予想価格上限を大きく上回る575万円で落札された。イギリス出身のMr. Doodleは、最近のオークション市場で高騰を見せている作家である。作家名の「Doodle」は、落書きのことを意味している。太めのペン1本で落書きをするように仕上げられた作品は、POPでわかりやすく楽しむことができ、鑑賞する者を魅了する。近年アパレルブランドとコラボレーションした製品展開などもあり、その注目度の高さも相場上昇の一因と考えられる。
Mr. Doodleの版画作品(Lot.034~037)とオリジナル作品(Lot.085~087)は、WEBのアクセス数が最も多く、電話もほぼ全て埋まっていたという。その状況を反映し、出品作品7点全てが落札予想価格上限を大幅に上回る価格で落札された。今後の値動きに期待が高まる。

今回は、土屋仁応(つちや よしまさ,1977-)に焦点を当てレポートする。
土屋仁応は、伝統的な仏像彫刻の技法を用いて、主に動物をモチーフとした作品を現代風に制作する木彫作家である。木彫とは思えない滑らかな質感と乳白ベースの独特な色彩と、目に内側から水晶をはめ込む玉眼という仏像彫刻の技法で仕上げられた、繊細かつ神秘的な作品を多く発表している。
国内外でも人気は高く、今回のセールでアクセス数が多かった作家の一人にもなっている。

本セールでは2点の木彫作品の出品があった。1点は高さ22㎝の猫の作品Lot.066《青猫》(檜に彩色、水晶)で、落札予想価格50~80万円のところ、212万7500円で落札された。続くLot.067《未来人》(樟に彩色、水晶)は、高さ28.5㎝の人型の作品で落札予想価格35~55万円のところ、92万円で落札されている。いずれも落札予想価格上限を超えた落札となった。

土屋の木彫作品の価格の推移を、2015~2019年のオークションデータを抽出したACFパフォーマンス指標で分析する。2017年に出品時の評価が下がっているが、これは出品されていた作品のサイズが他の出品作品に比べて小さかったことが影響していると考えられる。逆に2018年に評価が大きく上がっているが、これは他の出品作品に比べて大きいサイズの出品があったことと、2017年の好調なセール結果を加味したことによるものと推察される。
落札予想価格平均に上下動がみられるものの、落札価格平均は下落することなく、2015年から2019年にかけて右肩上がりで推移している。時価指数も同様の右肩上がりで好調だ。この上昇傾向がどこまで続くのか、今後も、動向を注視していきたい。

2009ACF美術品パフォーマンス指標

2009ACF美術品時価指数

SBIアートオークションでは、次回10月に開催するセールも、ライブ配信型で行うことを予定している。
時代に即した新たな入札環境の定着化、コロナ下における消費行動の変化などが、国内におけるアート市場のより一層の活性化につながることを期待する。

 

●次回のSBIアートオークション開催予定●
2020年10月3日(土) モダン&コンテンポラリー・アート|LIVE STREAMオークション
※下見会はございません。
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】
SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2020.08.27

会場:  Shinwa Auction(シンワオークション) 銀座メディカルビル1F・B1F

セール: 近代美術 戦後美術&CONTEMPORARY ART / 近代美術PartⅡ / MANGA

日時:  2020年7月4日(土曜日)15:00~

 

落札総額:67,755,000円(落札手数料含まず)

落札率:80.84%

作品数:261点(落札211点,不落札50点)

 

7月4日(土)に開催されたシンワオークションについてレポートする。5月30日(土)に開催が予定されていたが、コロナの影響により延期となっていたセールである。セール内容は、戦後美術&コンテンポラリーアート、近代美術(PartⅡ)、MANGAとなっており、全体の出来高は、全体落札総額6775万5000円(落札手数料含まず・以下同)、全体落札率は80.84%で、好調なセールだった。中でも、MANGAを除く、近代美術&コンテンポラリーアート、近代美術(PartⅡ)では、219点の作品がセールにかけられ、その落札率は84.93%となっている。

今回のセールでは、近代美術・洋画の作品が好調で、落札価格上位を占めていた。
最高額を記録したのは、荻須高徳のLot630《ボーヴェ フランス》(6号、油彩・キャンヴァス)。荻須はパリで暮らし、パリの街角や都市風景を描き続けた作家で、その作品はフランスでも高く評価されている。本作もフランスの街角を描いた作品で、落札予想価格150~250万円を大幅に上回る440万円で落札された。
次いで、香月泰男によるLot631《蝉》(4号、油彩・キャンヴァス)。 黒と黄土色を基調とした背面に、蝉が描かれたその作品は、落札予想価格200~300万円に対して370万円の高値をつけた。
その次に、絹谷幸二のLot629《河口湖上日ノ出不二》(1号、アフレスコ)が続く。アフレスコ(フレスコ画)は、ヨーロッパの壁画技法で、絹谷はその技法を駆使した色鮮やかで躍動感に満ちた作品を得意としている。その中でも富士山をモチーフにした作品を多く手掛けており、本作もその1つである。落札予想価格120~180万円のところ、250万円で競り落された。以上の3作品は、Lot629、630、631と続いており、連続する高額落札は会場を沸かし、著名な日本洋画作家の堅調を印象づける結果となった。

コンテンポラリーアートでは、67点の作品がセールにかけられた。
その中から、抽象画家として活躍した浅野弥衛(あさの やえ、1914-1996)にスポットを当てレポートする。浅野弥衛は、“線の画家”とも呼ばれており、「ひっかき」という技で、シンプルな線を刻み、描くことで様々な表現が生まれ、独自性の高い作品となって評価されている。

今回、出品された作品は、正方形の紙にクレヨンを多色使いし、線描を重ね描いたLot611《無題》(56.0×56.0㎝)。落札予想価格35~60万円に対し、落札予想価格内の42万円で落札された。

浅野の2016年~2020年のオークションデータからドローイング作品を抽出したACFパフォーマンス指標により価格動向を分析する。

浅野弥衛 パフォーマンス指標

浅野弥衛 時価指数

落札価格平均は、28万9000円をスタートに、僅かな変動が見られるものの、2019年までほぼ横ばい傾向で推移している。
落札価格による時価指数、パフォーマンス指標、いずれのグラフからも2020年に急騰したような印象を受けるが、この出品作品の大きめなサイズの作品、あるいは作品クオリティの高さという特徴が、その際立った上昇要因であったものと考えられる。浅野の作品は、4~6号サイズの出品が最も多く、大きい作品は比較的少ない。今後もサイズが大きく良質な作品の出品があれば、高い伸びを見せることがあるかも知れない。いずれにしても、落札予想価格下限平均を下回ることもなく、安定した作家銘柄といえるだろう。

 

●次回のシンワオークション開催予定●
2日間連続開催
近代陶芸 / 近代陶芸PartⅡ / 近代美術 / 戦後美術&CONTEMPORARY ART
2020年9月19日(土) 15:00~
BAGS JEWELRY&WATCHES / 近代美術PartⅡ
2020年9月20日(日) 13:00~

会場:銀座メディカルビル1F・B1F
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032   E-mail:info@shinwa-auction.com

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