会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: SALE#220519 Modern and Contemporary Art
日時: 2022年5月19日(木曜日)14:00~
落札総額: 204,469,150円(落札手数料含む)
落札率: 75.5%
作品数: 208点(落札157点、不落札51点)
マレットジャパンの近現代美術のオークションが5月19日(木)に開催された。
国内作家48名、海外作家77名による版画、絵画、立体、陶芸など208点の作品が出品された。今まで会場入札、書面・電話での入札のほか、海外サイト(Invaluable)を通じてのみ行っていたライブビッドが、今回のセールより、マレットジャパン独自のオンライン同時入札(ONLINE LIVE BID)システムが導入され、パソコンやスマートフォンを通じて外出先でも気軽にオークションに参加することが出来るようになった。セールの落札総額は2億446万9150円(落札手数料含む・以下同)、落札率は75.5%だった。KAWSのフィギュアや村上隆のマルチプル作品がやや不調だったものの、ピエール・スーラージュやウアンディ・ウォーホル、ディヴィッド・ホックニーなど海外作家の版画作品などが好調で活気のあるセールとなった。
本セールで、最高落札額を記録したのは、ロッカクアヤコの作品。背景は控えめに眼差しが印象的な少女を描いた大型作品LOT.073《Untitled》(120.0×75.5cm、段ボール・アクリル)は、落札予想価格600~800万円のところ、落札予想価格上限を上回る1572万7500円で落札された。ロッカクの堅調が続いている。次点となったのは、李禹煥のLOT.064《From Winds》(27.2×22.0cm、キャンバス・岩彩)で、落札予想価格300~400万円のところ、720万円で落札された。1980年代の代表作シリーズの1点でもある本作は、小さめの作品ながら、大きな競り上がりをみせた。3番目には、バンクシーがランクインしている。LOT.003《Pulp Fiction》(41.7×62.7cm、シルクスクリーン、ed.600)は、落札予想価格400~600万円のところ815万5000円で落札された。映画「パルプ・フィクション」の有名なワンシーンをオマージュした作品で、二人の俳優が拳銃を構えるべき手にはバナナが描かれている。バンクシーらしい風刺が込められた本作は、版画作品の中でも人気を博す1点である。
既に高い評価を得ている作家が好成績を収め、評価を堅固する結果となった。
落札価格上限を大幅に上回る落札金額で注目を集めたのは、LOT.080~082まで、3点のオリジナル作品の出品があった今井麗。近年、活躍が目立つ作家の一人で、トーストや果物、ぬいぐるみなど、日常の身近なモチーフを油彩で描くことで知られている。トーストが置かれた食卓の席につくクマが描かれたLOT.080《お預けのクマ》(45.0×38.2cm、キャンバス・油彩)は、落札予想価格60~90万円のところ、733万9500円で落札された。3作品とも落札予想価格上限の約7~8倍の金額で落札される高騰をみせ、今後の価格上昇にも期待が寄せられる。
今回は、細川真希に焦点を当てる。細川真希(ほそかわ・まき、1980年~)は、西洋美術の哲学や学術的技法などにこだわらず、自由に描かれたPOPな作風が人気で、近年のオークションでも熱を帯びた入札が展開されている若手現代作家の一人である。
本セールでは4点のオリジナル作品が出品された。いずれも落札予想価格上限を上回る金額で落札された。最も高額落札となったのは、フェルメールの《水差しを持つ女》をオマージュした作品LOT.083《窓辺で水差しを持つ女のように》(91.0×91.0cm、キャンバス・アクリル)で、落札予想価格200~300万円のところ、512万6000円で落札された。細川は、他にも名画をオマージュした作品を多く制作しているが、オークションでは人気が高く、いずれも好結果を残している。
細川のオリジナル作品から、数回の出品歴があった1点をピックアップし、ACF指標より、その動向を読み解く。作品は、大きな目の少女を画面サイズ大に描いた《I Hear Sound of Water》(130.0×97cm、キャンバス・アクリル)。2018年、国内のNew art Est-Ouestオークションに初出品された作品で、落札予想価格15~25万円のところ、落札予想価格下限を下まわる約13万円の落札だった。しかし、3年後の2021年、SBIアートオークションに出品された際、落札価格は約310万円まで上昇。翌2022年には、約680万円と驚異の伸びをみせた。
細川の作品は、国内オークションよりも韓国、香港オークションでの流通が目立つ。2022年のデータも韓国で開催されたオークションの結果である。国内よりも早く人気の高まりがあった分、落札予想価格、落札価格ともに高騰傾向が強く表れている。過熱気味の価格高騰の反面、既に沸点に達したかのような停滞気味の結果も散見され、韓国では上げ止まりの傾向にあることも考えられる。現在の主たる換金市場が韓国となっている作家が、自国のマーケットでどこまでの活躍を見せるか今後の動向に関心が向けられる。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2022年9月8日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン (6月20日より住所が変わりました)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480 FAX:03-5216-2481
E-mail:info@mallet.co.jp
会場: 羽田空港第1ターミナル内 ギャラクシーホール
セール:United Asian Auctioneers
Shinwa Auction× LARASATI Auctioneers × iART auction ×
KUANGSHI × A|A|A|A × ISE COLLECTION オークション
日時: 2022年3月30日(水曜日)
DAY SALE 14:00~ / EVENING SALE 18:00~
落札総額: 3,145,720,000円(落札手数料含まず)
落札率: 82.01%
作品数: 239点(落札196点、 不落札43点)
3月30日(水)、シンワオークションの主導により、国内外の複数のオークションハウスが参画し、保税蔵置場(保税地域)を活用した保税アートオークションが開催された。保税蔵置場とは、関税法に規定する保税地域の一種で、その保税地域に指定された場所では、外国貨物の積卸し、運搬、蔵置などの行為ができるというもの。輸出入にかかかる余計な手続きや課税などが不要となる為、取引がスムーズに行われるようになる。海外コレクターには、利便性が高まる。本セールでは、9点の作品が保税対象での出品となっていた。
今回は、デイセール(14時開始)、イブニングセール(18時開始)の2部制で行われたセールのうち、イブニングセールについてレポートする。イブニングセールでは、NFT3点、絵画51点、立体2点、合計56点の作品が出品された。出品作品数は少なかったものの、高額作品の出品が多く、落札総額は、30億7058万円、落札率は95.86%(不落札4点)と盛況なセールとなった。
セール終盤には、落札予想価格が数千万円台となる著名作家による作品・貴重な優品が連続して出品された。会場だけでなく、電話、パソコン・スマートフォンからの入札で熱い競りが展開された。最高落札額を記録したのは、オークションの最終LOTで目玉作品にもなっていたアンディ・ウォーホルのLOT.356《Silver Liz(Ferus Type)》(101.6×101.6㎝、キャンバス・シルクスクリーン)。ハリウッド映画の黄金時代を代表する女優の一人であるエリザベス・テイラーをモチーフにした作品で、落札予想価格23億~34億5千万円と高額設定の中、落札予想価格下限同額の23億円で、会場参加者によって落札された。国内オークションでも記録的な高額落札に、落札直後には会場から拍手が沸き上がった。
次点となったのは、LOT.352山口長男の《五つの線》(180.0×180.0㎝、板・油彩)。1954年「二科展」、1955年「サンパウロ・ビエンナーレ展」などに出品された作品。落札予想価格7000万~1億2000万円のところ、落札予想価格上限を上回る1億4500万円で落札された。次いで高額落札となったのは、LOT.355ポール・デルポー《灰色の都市》(138.4×156.6㎝、キャンバス・油彩)。古代建築の街と裸婦を描いた作品は、落札予想価格1億2000万~2億円のところ、落札予想価格下限同額の1億2000万円での落札となった。既に評価が高い作家の100㎝を超える大型のオリジナル作品が好結果を残した。
今回は、アンディ・ウォーホル(1928-1987)をクローズアップする。ウォーホルは、世界的にも有名なアメリカの代表的なポップアーティスト(大量生産・大量消費の大衆文化を主題としている)である。代表的な作品には、キャンベルスープのスープ缶をモチーフにした作品があり、アートに興味がない人も一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
ウォーホルの作品は世界の各オークションハウスで多数が取引されており、没後30年を経過しても今なお人気が高く、安定して取引されている。
本オークションでは、先の最高落札額作品の他、シルクスクリーン作品6点、合計7点の出品があった。いずれも落札予想価格下限もしくは上限を超えて落札され、ウォーホルの落札総額は、23億5085万円となっている。
LOT.325《Joseph Beuys in Memoriam》(81.3×60.6㎝、シルクスクリーン)をピックアップし、ACF美術品パフォーマンス指標注で動向を読み解く。本作は、ヨーゼフ・ボイス(ドイツの現代美術家)を追悼して制作された作品で、迷彩柄を背景に第二次世界大戦でも従軍したボイスの肖像が描かれている。落札予想価格100~200万円のところ、落札予想価格上限の3倍となる600万円での落札となった。
同一作品の落札データを遡ると、2014年に初出品されたが不落札となっており、2015年以降、1年1~2作品ペースでの出品があった。2018年は、落札予想価格150~190万円のところ、落札予想価格上限を上回る280万円で落札されている。以降、落札予想価格は多少上下動しながら、2022年には100~200万円程度となる。落札価格は2021年まで落札予想価格上限の1.2~1.5倍程度、300万円前後で推移していた。今回の上昇は、応札による異常な高騰ともみてとれるが、今後、ウォーホル作品全体的に上昇傾向がみられるかもしれない。
その後、5月9日、クリスティーズ・ニューヨークで開催されたオークションでは、ウォーホルの代表作の一つであるマリリン・モンローをモチーフにしたシルクスクリーン作品《Shot Sage Blue Marilyn》が1億9504万ドル(約253億円)で落札された。20世紀の作品では史上最高額での落札となり、話題を集めた。
POPアートの先駆けとして、後世の作家にも多大なる影響を残したウォーホル。既に高い評価を得て安定した推移をみせていた作家の再評価は、価値と安定性をより一層高めることになった。今度の動向も注視していきたい。
注:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、落札手数料を含む。
直近5年間のデータをグラフ化している。
●次回のシンワオークション開催予定●
2022年7月9日(土)
近代美術/近代美術PartⅡ/MANGA オークション
コンテンポラリーアート オークション
Shinwa Auction|シンワオークション (shinwa-auction.com)
【お問合せ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032 E-mail:info@shinwa-auction.com
会場: 東京国際フォーラム ホールD
セール: Tokyo Contemporary: Redefined
日時: 2022年3月12日(土曜日)15:00~
落札総額:1,284,113,000円(落札手数料含む)
落札率: 98.7%
作品数:75点(落札74点、不落札1点)
3月11日(木)から13日(日)までの3日間、日本最大のアートフェアである「アートフェア 東京」が東京国際フォーラムにて開催された。昨年に引き続き、コロナ禍での開催となったが、来場者数は延べ4万3390人を記録し、大いに賑わいをみせた。今回は、アートフェア2日目に同会場別ホールにて企画開催されたSBIアートオークションについてレポートする。
本セールでは、国内外で活躍する現代美術作家のオリジナル作品48点、マルチプル作品20点、NFT作品1点、合計75点の作品が出品された。通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、落札予想価格平均(750~1200万円)が比較的高めの選りすぐりの作品が揃い、見応えのあるセールとなった。落札総額は、12億8411万3000円(落札手数料含む・以下同)。不落札はわずか1点のみで、落札率98.7%という高記録を達成した。
最高落札額を記録したのは、草間彌生のLOT.054《INFINITY NETS》(100×80.5㎝、アクリル・キャンバス)。代表的なモチーフの1つである網をキャンバス一面に赤色で描いた作品は、落札予想価格8000万~1億4000万円のところ、1億6100万円で落札された。次いで、奈良美智、ロッカクアヤコ、村上隆×ヴァージル・アブローが続く。現在の日本のアートマーケットを牽引している代表的な作家が安定した結果を残している。
高い伸び率で注目を集めたのは、平子雄一のLOT.018《Lost in Thought 5》(181.8×227.4㎝、アクリル・キャンバス)。落札予想価格300~500万円のところ、2760万円で落札された。落札予想価格上限のおよそ5倍となる価格での落札となっている。平子は、現代社会における自然と人間との境界線をテーマに作品を制作しているアーティストで、平面作品だけでなく、彫刻やインスタレーション、サウンドパフォーマンスなど幅広い表現手法を用いて、作品を発表している。アートフェア東京の出展ブース内でも、樹木と人間が融合した人物をモチーフにした大型の立体作品やキャンバス作品を展示しており、来場者から強い関心を向けられていた。現在、勢いがある作家の一人といえよう。
今回は、井田幸昌(いだ・ゆきまさ、1990‐)を取り上げて、レポートする。井田は、2016年に、現代芸術振興財団が主催の「CAF 賞」で審査員特別賞を受賞。2017年には、世界的な作家とともにレオナルド・ディカプリオファウンデーション主宰のチャリティーオークションへ最年少で参加するなどの経歴を持ち、国内外で高い評価を得ている。「一期一会」を作品のコンセプトとし、「今、という二度と体感できない時」を、自身のフィルターを通し表現している。
今回のセールでは、LOT.007《End of Today 6/1/2017 (KAWS)》(33.3×24.1㎝、油彩・キャンバス)が出品された。井田の力強いストロークと質感による独創的な表現が印象的な人物画は、落札予想価格300~500万円のところ、予想価格上限を大幅に超える839万5000円で落札された。本作は、井田の代表的な作品シリーズである 《End of Today》 からの1作である。
同一シリーズ(同サイズ、人物画)の出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。
2019年の出品では、落札予想価格30~50万円のところ、184万円で落札されている。落札予想価格上限の3倍を超える価格での落札となっている。以降、落札予想価格は右肩上がりで推移しており、2022年には、落札予想価格が300~500万円となり、2019年と比較すると10倍に高騰している。落札価格も各年ともに落札予想価格の倍以上の価格で推移し、順調に記録を伸ばしている。
2022年、落札価格平均が下降しているように見受けられるが、これは2021年6月に香港で開催されたセールでの突出した好結果(約1000万円での落札)が影響しているためであり、下降傾向にあるという動きではない。残された2022年の結果を踏まえ、どのようなグラフを描くのか今後も注視していきたい。
4月26日(火)から、ピカソの生誕の地ミュージアム(スペイン)で、アジア人アーティスト初となる個展を開催している。国際的にも活躍の場を広げ、注目を集めている井田。更なる価格上昇も期待できそうだ。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第51回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2022年5月27日(金)15:00 ‐
2022年5月28日(土)13:00 ‐
場所 代官山ヒルサイドフォーラム
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: Shinwa Auction(シンワオークション) 銀座メディカルビル1F・2F・B1F
セール: 近代美術/近代美術PartⅡ&コンテンポラリーアート, イセコレクション♯1
日時: 2022年1月29日(土曜日)14:00~
落札総額: 338,980,000円(落札手数料含まず)
落札率: 84.56%
作品数: 259点(落札219点、 不落札40点)
今回は、1月29日(土)に開催されたシンワオークションについてレポートする。
本セールでは、近代美術/近代美術PartⅡ203点、コンテンポラリーアート50点の出品に加え、イセコレクションより6点の出品があった。イセコレクションは、2021年9月に同オークション会社の親会社であるShinwa Wise Holdings株式会社がアイアート株式会社をグループ化した記念に特別開催されたオークション。Shinwa Wise Holdings株式会社取締役会長、伊勢彦信氏のコレクションより、ベルナール・ビュッフェ、マリー・ローランサンなどの優品が出品された。259作品の落札総額は3億3898万円、落札率は84.56%となっている。
全出品作品の中で最高落札額を記録したのは、ベルナール・ビュッフェのLOT.1005 《ボードゲームのある静物》(100×195㎝、キャンバス・油彩)。ベルナールの作品は直線的な太い輪郭線と原色を多用した筆遣いが特徴的だが、本作はその作風になる以前の作品。モノトーンの落ち着いた色合いに繊細な輪郭線が印象的な静物画は、落札予想価格2000~3000万円に対し、3800万円の高値で競り落とされた。
次点となったのは、松本竣介の作品LOT.256《夕方》(31.5×40.8㎝、板・油彩)。落札予想価格2500~3500万円のところ、2500万円で落札された。第二次世界大戦を挟む過酷な時代を、自らのスタイルで描き続け36歳の若さで亡くなった画家の貴重なオリジナル作品に注目が集まった。
以降、高額落札記録には、イセコレクションからベルナール・ビュッフェ、ラウル・デュフィ、マリー・ローランサンのオリジナル作品が続く。名作が揃ったセールで、10点もの作品が落札額1000万円を超える好結果となった。
コンテンポラリーアートの出品から最高落札額となったのは、バンクシーの作品。ドーナツを乗せた移動販売車が警備隊に護衛され、不必要なまでに保護された消費文化を批判する社会的メッセージが込められたLOT.148《Donuts Strawberry》(シート55.6×75.7cm、スクリーンプリント)で、落札予想価格1350~1800万円のところ、1350万円で落札された。バンクシーの作品は、全20点の出品があった。その内、18点はアフターやアフターの複数点組みでの出品となっている。ほとんどの作品が予想価格上限を上回る価格で落札されており、堅調が続いている。
今回は、オノサト・トシノブをクローズアップする。オノサト・トシノブ(小野里・利信、1912‐1986)は、幾何学的構成による作品を追求した、日本を代表する抽象画家である。グッゲンハイム国際美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレなど、数多くの海外展にも積極的に出品しており、国際的にも高い評価を得ている。
本セールでは、2点のオリジナル作品が連続して出品された。いずれも正方形に円を配置した色鮮やかな幾何学パターンの作品である。LOT.145 《四角と同心円》(50.0×50.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格40~60万円に対し、40万円で落札された。LOT.146《斜めの星》(170.0×170.0㎝、油彩・キャンバス)の大型作品は、落札予想価格200~300万円のところ、320万円で落札された。コンテンポラリーアートの出品だけでみると、先のバンクシーに次ぐ高額落札となっている。
オノサトの油彩・キャンバス、100×100㎝サイズの作品を抽出したACF美術品パフォーマンス指標注で動向を読み解く。2015年、落札予想価格平均150~200万円に対し、落札価格平均は170万となっている。落札予想価格平均は2020年まで下降をみせ、2021年は横ばい推移し、80~120万程度で落ち着く。落札価格平均は、2016年に落札予想価格上限超えを記録しているが170万程度で、2020年には100万程度まで下降を見せた。軟調傾向にはあるが、落札価格上限平均付近で推移している。以降、復調を見せるのか今後の動向が注目される。
注:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、2015年から2022年2月までのオークションデータからグラフ化している。2017~2019年は、該当作品の出品がなかった為、グラフからは除外している。
●次回のシンワオークション開催予定●
2022年3月30日(水)
United Asian Auctioneers
Shinwa Auction× LARASATI Auctioneers × iART auction
×KUANGSHI × A|A|A|A × ISE COLLECTION
Day Sale (LOT. 001~183 近代美術PartⅡ、コンテンポラリーアート、近代美術)14:00~
Evening Sale (LOT. 301~356 NFT、ISE COLLECTION#2 etc.)18:00~
会場:羽田空港第1ターミナル内 6F ギャラクシーホール
下見会:下見会は銀座会場・羽田会場の2カ所で開催いたします。
各会場・日程で展示内容が異なります。
詳細はShinwa Auctionサイトよりご確認ください。
【お問合せ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032 E-mail:info@shinwa-auction.com
会場: 代官山ヒルサイドフォーラム
セール: LIVE STREAM + Modern and Contemporary Art
日時: 2022年1月28日(金曜日)13:00~ 2022年1月29日(土曜日)12:30~
落札総額: 1,089,216,750円(落札手数料含む)
落札率: 99.8%
作品数: 492点(落札491点、不落札1点)
今回は、1月28日(金)・29日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。1日目は、会場を使用しないライブ配信型のオークション。2日目は、コロナウイルスまん延防止等重点措置の実施を受け、一部の入場を予約制にし、代官山の会場での開催された。落札総額は、10億8921万6750円(落札手数料含む・以下同)。落札率99.8%と、驚異的な記録を残した。
1日目は、マルチプル作品を中心に、245点の出品があった。版画作品だけでなく、KAWSや空山基などによるBE@RBRICKも多く出品され、コレクターの注目を集めた。この日の落札予想価格平均は17~28万円程度。手ごろな価格帯だったこともあり、終始活発な競りが行われ、落札率は100%を記録した。単日の落札総額は、1億1000万9000円となっている。最高額を記録したのは、セール終盤に出品された村上隆のLOT.237ドラえもんシリーズ(オフセットプリント、ed.300)の11点セット。落札予想価格60~90万円のところ、276万円で落札された。村上作品は、この日だけでも全44点の出品があり、落札総額は2885万3500円となっている。
2日目は、オリジナル作品を中心に、落札予想価格平均120~195万円程度の作品が247点出品された。単日の札落総額は9億7920万7750円、落札率は99.5%だった。最高額を記録したのは、草間彌生のLOT.343《蝶[TWWEN]》(38.0×45.5㎝、アクリル・キャンバス)。落札予想価格4000~7000万円のところ、1億5525万円で落札された。2日間での最高落札額作品となっている。以前のセールでも、草間作品は最高落札を記録しており、不動の人気を誇っている。次いで、ロッカクアヤコ、アンディ・ウォーホル、バンクシー、村上隆らが続き、高額落札常連アーティストが名を連ねる結果となった。
今回は、花井祐介(はない・ゆうすけ、1978‐)をピックアップし、レポートする。花井は、1950~1960年代のカウンターカルチャーの影響を受けた作風で知られ、日本の美的感覚とアメリカのレトロなイラストを合わせた独自のスタイルを形成している。海外での作品発表や、グローバルブランドなどへのアートワーク提供など、国内外問わず活動の幅を広げている。
今回のセールでは、2日目に、オリジナル3点、マルチプル3点、合計6点の作品が出品された。セール序盤で出品された作品が2点。LOT.274《Untitled》(91.0×91.0㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格400~700万円のところ、1380万円で落札された。先の高額落札常連の顔ぶれに交じり、高額落札8位にランクインしている。続く、LOT.275《Untitled》(91.0×91.0㎝、アクリル・キャンバス)は、100~150万円のところ、414万円での落札となった。いずれも単調な色合いを背景に、風刺画に出てきそうな独特な顔つきの男性を描いた花井らしい作品である。
セール終盤LOT482~485まで続けて出品された4点も、落札予想価格を大きく上回る価格で落札され活気のあるセールとなった。中でも、LOT.484 《Untitled》(40.2×27.8㎝、シルクスクリーン、Ed.50)は、落札予想価格20~30万のところ、115万円で落札されており、落札予想価格上限の3倍を超える価格での落札となっている。
花井の代表的なモチーフである男性をモチーフとしたオリジナル作品(アクリル・キャンバス、15~30号)の出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。2018年の出品では、落札予想価格平均が30~50万円のところ、落札予想価格上限を超える97万円ほどで落札されている。作品が8号と小さい為、本グラフには反映していないが、2019年に出品があった2点の作品は100万円を超える落札となった。2020年には、落札予想価格上下平均、落札価格平均ともに2~3倍程度上昇している。2021年は更に上昇を見せ、落札予想価格平均180~280万のところ、予想を大きく上回る678万円ほどで落札されている。今回の落札結果からも、高騰傾向にあることがうかがえる。今後、更に上昇をみせるのか、動向が注目される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第49回SBIアートオークション|Tokyo Contemporary : Redefined
2022年3 月12日(土)15:00~
場所 :東京国際フォーラム ホールD5 〒100‐0005 東京都千代田区丸の内3-5-1
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp