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オークションレポート

2022.04.27

会場: 東京国際フォーラム ホールD

セール: Tokyo Contemporary: Redefined

日時: 2022年3月12日(土曜日)15:00~

落札総額:1,284,113,000円(落札手数料含む)

落札率: 98.7%

作品数:75点(落札74点、不落札1点)

 

3月11日(木)から13日(日)までの3日間、日本最大のアートフェアである「アートフェア 東京」が東京国際フォーラムにて開催された。昨年に引き続き、コロナ禍での開催となったが、来場者数は延べ4万3390人を記録し、大いに賑わいをみせた。今回は、アートフェア2日目に同会場別ホールにて企画開催されたSBIアートオークションについてレポートする。

本セールでは、国内外で活躍する現代美術作家のオリジナル作品48点、マルチプル作品20点、NFT作品1点、合計75点の作品が出品された。通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、落札予想価格平均(750~1200万円)が比較的高めの選りすぐりの作品が揃い、見応えのあるセールとなった。落札総額は、12億8411万3000円(落札手数料含む・以下同)。不落札はわずか1点のみで、落札率98.7%という高記録を達成した。

最高落札額を記録したのは、草間彌生のLOT.054《INFINITY NETS》(100×80.5㎝、アクリル・キャンバス)。代表的なモチーフの1つである網をキャンバス一面に赤色で描いた作品は、落札予想価格8000万~1億4000万円のところ、1億6100万円で落札された。次いで、奈良美智、ロッカクアヤコ、村上隆×ヴァージル・アブローが続く。現在の日本のアートマーケットを牽引している代表的な作家が安定した結果を残している。

高い伸び率で注目を集めたのは、平子雄一のLOT.018《Lost in Thought 5》(181.8×227.4㎝、アクリル・キャンバス)。落札予想価格300~500万円のところ、2760万円で落札された。落札予想価格上限のおよそ5倍となる価格での落札となっている。平子は、現代社会における自然と人間との境界線をテーマに作品を制作しているアーティストで、平面作品だけでなく、彫刻やインスタレーション、サウンドパフォーマンスなど幅広い表現手法を用いて、作品を発表している。アートフェア東京の出展ブース内でも、樹木と人間が融合した人物をモチーフにした大型の立体作品やキャンバス作品を展示しており、来場者から強い関心を向けられていた。現在、勢いがある作家の一人といえよう。

今回は、井田幸昌(いだ・ゆきまさ、1990‐)を取り上げて、レポートする。井田は、2016年に、現代芸術振興財団が主催の「CAF 賞」で審査員特別賞を受賞。2017年には、世界的な作家とともにレオナルド・ディカプリオファウンデーション主宰のチャリティーオークションへ最年少で参加するなどの経歴を持ち、国内外で高い評価を得ている。「一期一会」を作品のコンセプトとし、「今、という二度と体感できない時」を、自身のフィルターを通し表現している。
今回のセールでは、LOT.007《End of Today 6/1/2017 (KAWS)》(33.3×24.1㎝、油彩・キャンバス)が出品された。井田の力強いストロークと質感による独創的な表現が印象的な人物画は、落札予想価格300~500万円のところ、予想価格上限を大幅に超える839万5000円で落札された。本作は、井田の代表的な作品シリーズである 《End of Today》 からの1作である。
同一シリーズ(同サイズ、人物画)の出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。

2204ACF美術品パフォーマンス指標

2204ACF美術品時価指数

2019年の出品では、落札予想価格30~50万円のところ、184万円で落札されている。落札予想価格上限の3倍を超える価格での落札となっている。以降、落札予想価格は右肩上がりで推移しており、2022年には、落札予想価格が300~500万円となり、2019年と比較すると10倍に高騰している。落札価格も各年ともに落札予想価格の倍以上の価格で推移し、順調に記録を伸ばしている。
2022年、落札価格平均が下降しているように見受けられるが、これは2021年6月に香港で開催されたセールでの突出した好結果(約1000万円での落札)が影響しているためであり、下降傾向にあるという動きではない。残された2022年の結果を踏まえ、どのようなグラフを描くのか今後も注視していきたい。

4月26日(火)から、ピカソの生誕の地ミュージアム(スペイン)で、アジア人アーティスト初となる個展を開催している。国際的にも活躍の場を広げ、注目を集めている井田。更なる価格上昇も期待できそうだ。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第51回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2022年5月27日(金)15:00 ‐
2022年5月28日(土)13:00 ‐
場所 代官山ヒルサイドフォーラム

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2022.03.28

会場:  Shinwa Auction(シンワオークション) 銀座メディカルビル1F・2F・B1F

セール: 近代美術/近代美術PartⅡ&コンテンポラリーアート, イセコレクション♯1

日時:  2022年1月29日(土曜日)14:00~

 

落札総額:  338,980,000円(落札手数料含まず)

落札率:    84.56%

作品数:    259点(落札219点、 不落札40点)

 

今回は、1月29日(土)に開催されたシンワオークションについてレポートする。
本セールでは、近代美術/近代美術PartⅡ203点、コンテンポラリーアート50点の出品に加え、イセコレクションより6点の出品があった。イセコレクションは、2021年9月に同オークション会社の親会社であるShinwa Wise Holdings株式会社がアイアート株式会社をグループ化した記念に特別開催されたオークション。Shinwa Wise Holdings株式会社取締役会長、伊勢彦信氏のコレクションより、ベルナール・ビュッフェ、マリー・ローランサンなどの優品が出品された。259作品の落札総額は3億3898万円、落札率は84.56%となっている。

全出品作品の中で最高落札額を記録したのは、ベルナール・ビュッフェのLOT.1005 《ボードゲームのある静物》(100×195㎝、キャンバス・油彩)。ベルナールの作品は直線的な太い輪郭線と原色を多用した筆遣いが特徴的だが、本作はその作風になる以前の作品。モノトーンの落ち着いた色合いに繊細な輪郭線が印象的な静物画は、落札予想価格2000~3000万円に対し、3800万円の高値で競り落とされた。
次点となったのは、松本竣介の作品LOT.256《夕方》(31.5×40.8㎝、板・油彩)。落札予想価格2500~3500万円のところ、2500万円で落札された。第二次世界大戦を挟む過酷な時代を、自らのスタイルで描き続け36歳の若さで亡くなった画家の貴重なオリジナル作品に注目が集まった。
以降、高額落札記録には、イセコレクションからベルナール・ビュッフェ、ラウル・デュフィ、マリー・ローランサンのオリジナル作品が続く。名作が揃ったセールで、10点もの作品が落札額1000万円を超える好結果となった。

コンテンポラリーアートの出品から最高落札額となったのは、バンクシーの作品。ドーナツを乗せた移動販売車が警備隊に護衛され、不必要なまでに保護された消費文化を批判する社会的メッセージが込められたLOT.148《Donuts Strawberry》(シート55.6×75.7cm、スクリーンプリント)で、落札予想価格1350~1800万円のところ、1350万円で落札された。バンクシーの作品は、全20点の出品があった。その内、18点はアフターやアフターの複数点組みでの出品となっている。ほとんどの作品が予想価格上限を上回る価格で落札されており、堅調が続いている。

今回は、オノサト・トシノブをクローズアップする。オノサト・トシノブ(小野里・利信、1912‐1986)は、幾何学的構成による作品を追求した、日本を代表する抽象画家である。グッゲンハイム国際美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレなど、数多くの海外展にも積極的に出品しており、国際的にも高い評価を得ている。
本セールでは、2点のオリジナル作品が連続して出品された。いずれも正方形に円を配置した色鮮やかな幾何学パターンの作品である。LOT.145 《四角と同心円》(50.0×50.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格40~60万円に対し、40万円で落札された。LOT.146《斜めの星》(170.0×170.0㎝、油彩・キャンバス)の大型作品は、落札予想価格200~300万円のところ、320万円で落札された。コンテンポラリーアートの出品だけでみると、先のバンクシーに次ぐ高額落札となっている。
オノサトの油彩・キャンバス、100×100㎝サイズの作品を抽出したACF美術品パフォーマンス指標注で動向を読み解く。2015年、落札予想価格平均150~200万円に対し、落札価格平均は170万となっている。落札予想価格平均は2020年まで下降をみせ、2021年は横ばい推移し、80~120万程度で落ち着く。落札価格平均は、2016年に落札予想価格上限超えを記録しているが170万程度で、2020年には100万程度まで下降を見せた。軟調傾向にはあるが、落札価格上限平均付近で推移している。以降、復調を見せるのか今後の動向が注目される。

2203ACF美術品パフォーマンス指標

2203ACF美術品時価指数

注:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、2015年から2022年2月までのオークションデータからグラフ化している。2017~2019年は、該当作品の出品がなかった為、グラフからは除外している。

 

●次回のシンワオークション開催予定●
2022年3月30日(水)
United Asian Auctioneers
Shinwa Auction× LARASATI Auctioneers × iART auction
×KUANGSHI × A|A|A|A × ISE COLLECTION
Day Sale (LOT. 001~183 近代美術PartⅡ、コンテンポラリーアート、近代美術)14:00~
Evening Sale (LOT. 301~356 NFT、ISE COLLECTION#2 etc.)18:00~
会場:羽田空港第1ターミナル内 6F ギャラクシーホール
下見会:下見会は銀座会場・羽田会場の2カ所で開催いたします。
各会場・日程で展示内容が異なります。
詳細はShinwa Auctionサイトよりご確認ください。

【お問合せ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032   E-mail:info@shinwa-auction.com

2022.02.24

会場: 代官山ヒルサイドフォーラム

セール: LIVE STREAM + Modern and Contemporary Art

日時: 2022年1月28日(金曜日)13:00~  2022年1月29日(土曜日)12:30~

落札総額: 1,089,216,750円(落札手数料含む)

落札率: 99.8%

作品数: 492点(落札491点、不落札1点)

 

今回は、1月28日(金)・29日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。1日目は、会場を使用しないライブ配信型のオークション。2日目は、コロナウイルスまん延防止等重点措置の実施を受け、一部の入場を予約制にし、代官山の会場での開催された。落札総額は、10億8921万6750円(落札手数料含む・以下同)。落札率99.8%と、驚異的な記録を残した。

1日目は、マルチプル作品を中心に、245点の出品があった。版画作品だけでなく、KAWSや空山基などによるBE@RBRICKも多く出品され、コレクターの注目を集めた。この日の落札予想価格平均は17~28万円程度。手ごろな価格帯だったこともあり、終始活発な競りが行われ、落札率は100%を記録した。単日の落札総額は、1億1000万9000円となっている。最高額を記録したのは、セール終盤に出品された村上隆のLOT.237ドラえもんシリーズ(オフセットプリント、ed.300)の11点セット。落札予想価格60~90万円のところ、276万円で落札された。村上作品は、この日だけでも全44点の出品があり、落札総額は2885万3500円となっている。

2日目は、オリジナル作品を中心に、落札予想価格平均120~195万円程度の作品が247点出品された。単日の札落総額は9億7920万7750円、落札率は99.5%だった。最高額を記録したのは、草間彌生のLOT.343《蝶[TWWEN]》(38.0×45.5㎝、アクリル・キャンバス)。落札予想価格4000~7000万円のところ、1億5525万円で落札された。2日間での最高落札額作品となっている。以前のセールでも、草間作品は最高落札を記録しており、不動の人気を誇っている。次いで、ロッカクアヤコ、アンディ・ウォーホル、バンクシー、村上隆らが続き、高額落札常連アーティストが名を連ねる結果となった。

今回は、花井祐介(はない・ゆうすけ、1978‐)をピックアップし、レポートする。花井は、1950~1960年代のカウンターカルチャーの影響を受けた作風で知られ、日本の美的感覚とアメリカのレトロなイラストを合わせた独自のスタイルを形成している。海外での作品発表や、グローバルブランドなどへのアートワーク提供など、国内外問わず活動の幅を広げている。
今回のセールでは、2日目に、オリジナル3点、マルチプル3点、合計6点の作品が出品された。セール序盤で出品された作品が2点。LOT.274《Untitled》(91.0×91.0㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格400~700万円のところ、1380万円で落札された。先の高額落札常連の顔ぶれに交じり、高額落札8位にランクインしている。続く、LOT.275《Untitled》(91.0×91.0㎝、アクリル・キャンバス)は、100~150万円のところ、414万円での落札となった。いずれも単調な色合いを背景に、風刺画に出てきそうな独特な顔つきの男性を描いた花井らしい作品である。
セール終盤LOT482~485まで続けて出品された4点も、落札予想価格を大きく上回る価格で落札され活気のあるセールとなった。中でも、LOT.484 《Untitled》(40.2×27.8㎝、シルクスクリーン、Ed.50)は、落札予想価格20~30万のところ、115万円で落札されており、落札予想価格上限の3倍を超える価格での落札となっている。

花井の代表的なモチーフである男性をモチーフとしたオリジナル作品(アクリル・キャンバス、15~30号)の出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。2018年の出品では、落札予想価格平均が30~50万円のところ、落札予想価格上限を超える97万円ほどで落札されている。作品が8号と小さい為、本グラフには反映していないが、2019年に出品があった2点の作品は100万円を超える落札となった。2020年には、落札予想価格上下平均、落札価格平均ともに2~3倍程度上昇している。2021年は更に上昇を見せ、落札予想価格平均180~280万のところ、予想を大きく上回る678万円ほどで落札されている。今回の落札結果からも、高騰傾向にあることがうかがえる。今後、更に上昇をみせるのか、動向が注目される。

2202ACF美術品パフォーマンス指標

2202ACF美術品時価指数

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第49回SBIアートオークション|Tokyo Contemporary : Redefined
2022年3 月12日(土)15:00~
場所 :東京国際フォーラム ホールD5 〒100‐0005 東京都千代田区丸の内3-5-1

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2022.01.27

会場: マレットジャパン オークションハウス

セール: SALE#211209  Modern and Contemporary Art

日時: 2021年12月9日(木曜日)14:00~

落札総額: 195,050,000円(落札手数料含まず)

落札率: 79.3%

作品数: 241点(落札191点、不落札50点)

 

12月9日(木)に開催されたマレットジャパンの近現代美術のオークションをレポートする。今回のオークションでは、絵画作品57点、版画作品(写真含む)148点、その他、陶芸作品や樹脂などによる立体作品36点、合計241点が出品された。落札率79.3%、落札総額1億9505万円(落札手数料含まず・以下同)だった。

セール冒頭では、「プリント・リバイバル(版画復興)」と呼ばれた動向(概念)をクローズアップし、1960~1990年代のアメリカの版画市場に貢献したフランク・ステラやサム・フランシスら名だたる作家の版画の名品を22点取り揃え、盛り上がりをみせた。
中でも、5点の作品が出品されたデイヴィット・ホックニーは、いずれも活発な入札が行われ、熱い視線が注がれた。本セールでの高額落札ランキング上位3位まで、ホックニーが占める結果となった。最高額で落札されたのは、ホックニーの代表的なモチーフであるプールを描いた作品LOT.014 《リトグラフの水(線、クレヨンと2種類のブルーの淡彩)》(54.5×73.0㎝、リトグラフ、ed.85)で、落札予想価格400~600万円のところ、1250万円で落札された。次点となったのは、明るい色彩と独特な視点描写によるパノラマの様なスケール感が印象的な作品LOT.012《ホテル・アカトラン、2週間後;「ムーヴィング・フォーカス」より》(73.0×188.0㎝、リトグラフ、ed.98)で、落札予想価格600~800万円のところ、1050万円で落札されている。3番目は、LOT.013《ブルー・ギター(版画集)》で、落札予想価格200~300万円のところ、760万円での落札となった。本作は、詩人ウォレス・スティーブンがピカソの絵にインスパイアされて制作した詩集にホックニーが挿絵を手掛けた詩画集で、エッチング、アクアチントなどの銅版画作品20点が収められている。1点もしくは数点セットでの出品は見かけるものの、20点全てが揃ったコンプリートセットが出品される機会は少なく、希少な出品だった。

落札価格上限を大幅に上回る落札金額で注目を集めたのは、細川真希によるヨハネス・フェルメールの《天文学者》のオマージュ作品、LOT.105《天文学者のように》(27.3×27.3㎝、キャンバス・アクリル)。落札予想価格30~40万円のところ、落札予想価格上限の約4.8倍となる195万円で落札された。細川は、近年のオークションでも熱を帯びた入札が展開される作家で、今後の動向も注目される。

今回は、中国(北京)を拠点に活躍する中国人画家、劉野(リュウ・イエ、1964-)をレポートする。劉野は、美や感情、希望など、主に内面的な世界観をテーマにした作品を制作している。また、ピエト・モンドリアンやポール・クレーなどの西洋の抽象画をオマージュする作品も多く描いている。中国だけでなく、ヨーロッパやアメリカなどでも広く作品を展示しており、国際的に活躍する現代美術家である。

今回のセールでは、LOT.63 《Chorus of Angels》(60.0×70.0㎝、シルクスクリーン・キャンバス)1点の出品があった。天使のコーラス隊を描いた作品は落札予想価格60~80万円のところ、落札予想価格を大幅に上回る300万円で落札された。
同一作品の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。2017年、落札予想価格平均は72~100万円程度で設定され、落札予想価格を上回る116万円程度で落札されている。その後2018年、落札予想価格平均、落札価格平均ともに若干下降をみせ、2019年には横ばいで推移となる。2020年は、2017年と同等程度の落札予想価格平均にも関わらず、落札価格平均は倍近く上昇する。2019年10月、香港のオークションで《Smoke》(178×356.5㎝、キャンバス・アクリル)という作品が高額落札(665万ドル)されたことが、上昇の後押しとなっているのかもれない。2021年には更に上昇し、落札予想価格上限平均の2.66倍となった。近年、高騰傾向にある人気作品の今後の動向を注視していきたい。

2201ACF美術品パフォーマンス指標

2201ACF美術品時価指数

※1ドルは、115円で換算

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2022年3月3日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

2021.12.28

会場: 代官山ヒルサイドフォーラム

セール: Modern and Contemporary Art + NFT

日時: 2021年10月29日(金曜日)15:00~

2021年10月30日(土曜日)13:00~

落札総額: 1,668,943,250円(落札手数料含む)

落札率: 97.1%

作品数: 377点(落札366点、不落札11点)

 

今回は、10月29日(金)・30日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。落札率97.1%、落札総額16億6894万3250円(落札手数料含む・以下同)。200点近くの作品が落札予想価格上限を超える価格で落札され、盛況なセールとなった。
1日目は、落札予想価格平均88~138万円程度の作品が出品された。マルチプル作品を中心に147点の出品があった。単日の落札総額は、2億5356万9250円、落札率は97.3%を記録している。最高額で落札されたのは、草間彌生のカボチャモチーフの立体作品LOT.020 《カボチャ》(27.0×27.0×25.5㎝、ブロンズ、ed.100)だった。落札予想価格650~950万円のところ、1437万5000円で落札されている。草間作品は、この日だけでも全23点の出品があったが、落札総額は1億567万3500円となっており、圧倒的な勢いをみせた。

2日目には、オリジナル作品を中心に、作品落札予想価格平均250~407万円程度の作品が230点出品された。単日の札落総額は14億1537万4000円、落札率は97.0%だった。最高額を記録したのは、1日目と同じ草間彌生による作品LOT.259《花》(45.8×38.0㎝、アクリル・キャンバス)で、落札予想価格3500~5500万円のところ、1億4950万円で落札された。2日間での最高落札額作品となっている。草間作品は、他に5点のオリジナル作品の出品があったが、いずれも高額落札となっており、落札総額は、2億9934万5000円に達した。2日間の草間だけの落札総額は、4億501万8500円となっている。国内の現代アートを牽引し、国際的にも評価が確立されている草間の人気は留まることを知らない。

また、2日目には国内のアートオークションでは初となるNFTアートのセールの開催もあり、関心を集めた。NFTは、「Non-Fungible Token:非代替性トークン」の略。データ管理にブロックチェーン技術を活用し、真証性を証明することができるようになったデジタルアートがNFTアートである。今回、NFTアートは8点の出品があったが、いずれも落札されている。今後、NFTアートがどこまで発展し、定着するものとなるのか、今後の展開が注目される。

今回は、日本にアンフォルメル絵画を紹介した画家、今井俊満(いまい としみつ、1928-2002)をピックアップし、レポートする。今井は、紺綬褒章、レジオンドヌール勲章、フランス文化勲章など受章歴も多く、国際的にも評価が高い日本を代表する作家のひとりである。抽象画から具象画まで、年代に応じて大きく異なる画風の作品を発表し、晩年まで独自の世界観を表現し続けた。
今回のセールでは、2点の作品が出品されている。LOT.288 《赤い太陽》(130.3×162.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格400~700万円のところ、1897万5000円で落札された。もう1点は、LOT.284《「マン・レイ」シリーズより「レイヨグラム黄 No;6」》(72.7×53.0㎝、エナメル・コラージュ・キャンバス)の作品で、落札予想価格15~25万円のところ、60万9500円で落札。いずれも落札予想価格上限を大きく上回る価格での落札となっている。

出品作品のうち、今井がマン・レイをオマージュした作品シリーズである《「マン・レイ」シリーズより「レイヨグラム黄 No;6」》について、同一シリーズ、同一サイズの出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。 2016年、落札予想価格平均は40~60万円程度で設定され、落札予想価格内の48万円程度で落札されている。その後、落札予想価格平均は2018年にやや右肩下がりとなる。2019年には2016年と同等程度まで上昇し、2020年には横ばいとなっている。2021年前半に不落札が続いた為、落札予想価格平均は大きく下降しており、合わせて落札価格平均も下降している。直近の国内オークションの出品では落札予想価格20~30万円のところ、23万円での落札となっており、落札価格の振り幅が大きい。

2112ACF美術品パフォーマンス指標

2112ACF美術品時価指数

先にも紹介した通り、今井は様々な画風の作品を手掛けている。作品シリーズによって、その価値も異なる。購入予算と照らし、お好みの作品を選出するのも楽しみのひとつかもしれない。

 

※2017年は、出品がなかった為2017年を除いてグラフ化している。
※2021年は12月10日までのデータを含め、グラフ化している。

  • 次回のSBIアートオークション開催予定●
    第48回SBIアートオークション|モダン&コンテンポラリーアートセール
    2022年1月28日(金)/ LIVE STREAM
    2022年1月29日(土)/ Modern and Contemporary Art

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社

〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F

TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777

E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

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