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オークションレポート

2021.09.28

落札総額:  181,050,000円(落札手数料含まず)

落札率:    76.7%

作品数:    241点(落札185点、 不落札56点)

 

7月22日(木)に開催されたマレットジャパンの近現代美術のオークションをレポートする。
現代美術の絵画を中心に、国内作家55名、海外作家47名による作品がセールにかけられた。出来高は、落札総額 1億8105万0000円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は76.7%だった。

落札予想価格を大幅に上回る落札で盛り上がりを見せたのは、細川真希の作品LOT.225《武者修行饂飩》(116.7×91.0㎝、キャンバス・アクリル)。落札予想価格70~100万円のところ、落札予想価格上限の4.2倍となる420万円で落札された。もう1点、LOT.223《相対建設の巻》(60.6×91.0㎝、キャンバス・アクリル)も競り上がり、落札予想価格上限の3.96倍で落札されている。細川は、最近のオークションで急激な人気の高まりを見せており、今後も活躍が期待される若手作家でのひとりである。

最高額での落札となったのは、今回のオークションカタログで表紙を飾った李禹煥のオリジナル作品LOT.103《Untitled》(57.0×76.5㎝、紙・グワッシュ)で、落札予想価格500~700万円のところ、950万円で落札された。他にも、紙・黒鉛作品1点、版画作品8点の出品があったが、全ての作品が落札予想価格内もしくは落札予想価格上限超えで落札されている。10点の落札総額は、2073万円で、本セール内の落札総額ランキングで2位を記録している。
次いで、高額落札となったのは奈良美智のオリジナル作品LOT.111《Look》(13.5×48.4㎝、封筒・色鉛筆・インク)は、落札予想価格500~700万円のところ、820万円で落札された。今回のセールでは、出品点数が3点だったにも関わらず、落札総額ランキングは4位となっている。国際的にも活躍する奈良の作品は常に注目度が高く、他のオークションにおいても高額落札が目立つ。

 

今回は、ドイツ・ベルリンを拠点に国際的に活動している現代美術家、塩田千春(しおた・ちはる、1972-)にスポットを当てる。空間に黒や赤の細い毛糸を張り巡らしたインスタレーションが代表的な作品として知られている。2019年に森美術館(東京・六本木)で開催された大規模な個展「塩田千春展:魂がふるえる」では、66万人を超える来場者数を記録し、話題となった作家である。

本セールでは、水彩作品1点と版画作品6点が出品された。4点が落札予想価格上限越えで落札され、2点は落札予想価格下限、落札予想価格上限と同額での落札されている。
中でも、落札予想価格20~30万円のところ、34万円で落札されたLOT.141《Between two hands》(シート30×40㎝、リトグラフ、Ed.40)をピックアップし、動向を読み解く。

2109ACF美術品パフォーマンス指標

2109ACF美術品時価指数

同サイズ、同技法を抽出したACFパフォーマンス指標注*をみると2019年から2021年まで落札価格上限を超えて落札されている。 2019年の落札データは、海外オークションの出品データで、落札予想価格平均は25万円前後となっている。2020年より国内オークションでの出品がみられるが、落札予想価格平均は10~15万円と低目の設定であった。しかしながら、落札予想価格上限平均の2倍以上の価格で落札される好結果を残している。2021年には、更なる上昇を見せ、右肩上がりの推移となり、時価指数も同様に上昇している。

現在、先に紹介した個展「塩田千春展:魂がふるえる」が台北市美術館(台湾)で開催されている。この後、アジア、太平洋地域を回る予定となっている。既にグローバルで活躍する作家がどこまでの上昇をみせるのか、推移を見守りたい。

 

注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、国内外主要オークションの2019年から2021年9月までのデータからグラフ化している。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2021年10月7日(木) 14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

2021.08.27

会場: インターネット配信

セール: LIVE STREAM
     2021年7月3日(土曜日)13:00~
     2021年7月4日(日曜日)13:00~

落札総額: 442,387,750円(落札手数料含む)

落札率: 94.4%

作品数: 408点(落札385点、不落札23点)

 

7月3日(土)・4日(日)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションのライブ配信型オークション「LIVE STREAM」についてレポートする。
出来高は、落札総額4億4238万7750円(落札手数料含む・以下同)、落札率は、94.4%に達した。落札予想価格上限を超えて落札された作品は全体の65%を占め、大いに盛り上がるセールとなった。SBIアートオークションでは、2021年に入り既に3回のセールが開催されているが、いずれも落札率90%越えの結果を残しており、活況が続いている。

1日目は、国内外で既に高い評価を得ている、草間彌生、アンディ・ウォーホル、ロッカクアヤコなどの作品を中心に、落札予想価格平均79~126万円程度の作品が201点出品された。落札187点、不落札14点、落札率93%。単日の落札総額は、3億7605万5750円だった。
LOT.088、KYNEのオリジナル作品《Untitled》(116.7×91.3㎝、アクリル/キャンバス)が、落札予想価格600~900万円のところ、2070万円で落札され、本セール最高額での落札となった。次に高額落札となったのは、バンクシーのLOT.051《Soup Can: Original》(55.0×35.0㎝、シルクスクリーン)で、落札予想価格500~800万円のところ、2012万5000円で落札された。いずれも落札予想価格上限を大幅に上回る落札結果となり、エキサイティングな競りとなった。

2日目には、高騰傾向にあるTIDE、花井祐介、ミスター・ドゥードゥルなどの版画作品を中心に、作品落札予想価格平均12~21万円程度の作品が207点出品された。国内外の新進作家の絵画や写真作品だけでなく、バンクシーやKAWSのアート系フィギュアも多く出品され、その価格帯からもオークションビギナーも楽しめるセール内容となっていた。落札198点、不落札9点、落札率95.6%。単日の札落総額は6633万2000円だった。 細川真希のLOT.281《聞こえるのは水》(130.5×97.5、アクリル/キャンバス)が、落札予想価格30~60万円のところ310万5000円で落札され、2日目の最高落札となっている。

アクセス数が最多となったのは、LOT.054インベーダー《LOW RES MONA LISA》(50.0×35.0㎝、シルクスクリーン)、LOT.118青島千穂《Untitled》(17.0×9.5×14.0㎝、セラミック)だった。次点に、KYNE、バンクシー、愛☆まどんな、三島 喜美代、イサム・ノグチ、小松美羽、ロッカク、バックサイドワークス、下田ひかり、Mr. Doodle、マサキ、TIIDE、松山智一、李禹煥、草間彌生、奈良美智、花井祐介が並ぶ。オークション出品歴が浅い作家も多くランクインしており、新しい流れを感じさせる結果となった。

今回は、イギリス生まれの現代美術家ダミアン・ハースト(1965-)に焦点を当て、レポートする。
ハーストは、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(1990年代の若手コンテンポラリー系アーティストの総称)の先駆け的な存在で、イギリスのアートシーンに最も貢献した存在と言われている。生と死を主なテーマとし、多くの作品を手掛けている。中でも、死んだ動物(サメ、牛など)をホルマリン漬けにしたシリーズ《自然史》が、代表作となっている。

今回のセールでは、5点の出品があった。いずれの作品も、落札予想価格内もしくは落札予想価格上限超えで落札されており、安定したセール結果となっている。5点のうち最高額での落札となったのは、ピンクのグリッター(ラメ)を背景にミニーマウスを大きさの異なるドットを組み合わせ、色と形だけでシンプルにリメイクした作品LOT.036《Minnie(Pink Glitter)》(87.5×70.0㎝、シルクスクリーン・グリッター、ed.150)で、落札予想価格150~250万円のところ、276万円で落札された。
本作と同一シリーズでブルーのグリッターを背景にミッキーマウスを描いた《Mickey(Blue Glitter)》の出品データを抽出したACF指標より、その動向を読み解く。2017年から2021年まで、落札予想価格平均は150~250万円で設定されている。落札価格平均は、2017年に約270万円を記録して以降2019年まで右肩下がりに推移し、2021年には上昇に転じている。上下動があるものの落札予想価格上限平均付近で推移している。推移時価指数も250万円前後で、大幅な上下動はなく推移している。総じて安定した銘柄といえよう。

2108ACF美術品パフォーマンス指標

2108ACF美術品時価指数

現在、ハースト初のフランス開催となる個展がカルティエ財団現代美術館(パリ)で開かれている。コロナ禍で生まれた新シリーズ『Cherry Blossoms』の全107点が展示され、注目を集めている。国際的にも評価が高い存命アーティストの今後の活躍が期待される。

 

※2020年は、該当作品の出品が無かった為、2020年を除いてグラフ化している。
※《Mickey》《Minnie》2点セットで出品されていた場合は、1点当たりを算出し、データ化している。

 

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第46回SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2021年9月17日(金)15:00~
2021年9月18日(土)13:00~

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

2021.07.28

会場:  マレットジャパン オークションハウス

セール: SALE#210520

日時:  2021年5月20日(木曜日)14:00~

 

落札総額:  159,355,000円(落札手数料含まず)

落札率:    80.7%

作品数:    234点(落札189点、 不落札45点)

 

5月20日(木)に開催されたマレットジャパンの近現代美術のオークションをレポートする。
国内作家68名、海外作家57名による作品がセールにかけられ、その内訳は、絵画作品67点、版画作品(写真含む)149点、その他、陶芸やブロンズなどによる立体作品18点、合計234点となっている。出来高は、落札総額1億5935万5000円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は80.7%だった。

最高額での落札となったのは、花を投げる暴徒を描いたバンクシーの作品LOT.145《Love is in the Air》(46.8×67.0㎝、シルクスクリーン)で、落札予想価格1000~1500万円のところ、1800万円で落札された。本作は、パレスチナのベツレヘムにある建物に描かれたステンシル作品を版画にしたもので、バンクシーを代表する作品の1つである。
次いで、高額落札となったのもバンクシーの作品で、爆弾を抱きしめる少女が描かれたLOT.023《Bomb Love(Bomb Hugger)》(66.8×45.8㎝、シルクスクリーン)は、落札予想価格350~450万円のところ、落札予想価格上限の2.4倍となる1080万円での落札となった。
バンクシーの作品は他にも、防弾チョッキを着た子どもたちが笑顔でかけてくる様子を描いたLOT.018 《Jack and Jill》(45.0×65.0㎝、シルクスクリーン)が、落札予想価格350~450万円のところ820万円で落札されるなど、活気ある競りでの高額落札が目立ち、バンクシーの人気の高さを強く印象付けるセールとなった。

今回は、韓国で生まれ日本で活動する現代美術家、李禹煥(リ・ウーファン,1936-)にスポットを当てる。李禹煥は、1960年代後半に起こった芸術運動「もの派」の中心となり活躍した作家の一人で、日本国内はもとより海外からも高い評価を得ている。
本セールでは、6点の版画作品が出品された。5点が落札予想価格上限越えで落札され、1点は落札予想価格下限と同額での落札となった。中でも、好調な競りをみせたLOT.028~030《ある黙示録より》シリーズをピックアップし、ACF美術品パフォーマンス指標(注*)で読み解く。
《ある黙示録より》シリーズは、エディション数50部のリトグラフによる8点1組の版画集で、太い刷毛を使いワンストロークで描かれたようなモノクロの線や点と、描かないことによって生み出された余白が表現されている。落札予想価格はいずれも1点あたり60~80万円だった。LOT.030 《ある黙示録より 3》が100万円、LOT.028 《ある黙示録より 8》とLOT.029《ある黙示録より 7》が95万円で落札された。いずれも落札予想価格上限を上回る価格で落札された。

2107ACF美術品パフォーマンス指標

2107ACF美術品時価指数

ACFパフォーマンス指標をみると2016年と2017年では落札予想価格下限近く20万円前後で落札されている。2019年になると落札予想価格は若干下降をみせるが、落札価格平均は落札予想価格上限平均を上回り、2017年よりも落札価格平均が上昇していることがわかる。1年空けて2021年には、落札予想価格も落札価格平均も高騰している。今回のセールでも落札価格は95~100万円となっており、グラフと同等の価格となっている。
高騰をみせた現在の落札価格ベースで今後も推移することになるのか、これからも動向を注視していきたい。

注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、2018年と2020年は国内で同作品の出品がなかった為、該当年を除いた2016~2021年4月までの4年間のデータからグラフ化している。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2021年10月上旬
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

2021.06.28

会場: 代官山ヒルサイドフォーラム

セール: MODERN AND CONTEMPORARY ART

日時: 2021年4月23日(金曜日)15:00~

2021年4月24日(土曜日)13:00~

落札総額: 1,038,570,750円(落札手数料含む)

落札率: 96.9%

作品数: 319点(落札309点、不落札10点)

 

今回は、4月23日(金)・24日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。前回のオークションはライブ配信型のオークションだったが、今回は、代官山のヒルサイドフォーラムを会場とし、従来通り、観衆の中で開催された。出来高は、落札総額10億3857万750円(落札手数料含む・以下同)、落札率は、96.9%に達した。落札予想価格上限を超えて落札された作品が、全体の63%を占め、非常に活気に満ちたオークションとなった。

1日目は、落札予想価格平均75~116万円程度の作品が149点出品された。草間彌生や奈良美智の版画作品、李禹煥や関根伸夫など“もの派”として知られる作家の作品を中心に勢いのある若手作家作品がセールにかけられた。落札139点、不落札10点、落札率93.3%。単日の落札総額は、2億3005万7500円だった。初日、最高額で落札されたのは草間の富士山を描いた7点組の木版画LOT.083《七色の富士》で、落札予想価格2000~3000万円のところ3450万円で落札された。草間は、他にも代表的なモチーフとなる《かぼちゃ》を含む10点にも及ぶ版画作品の出品があったが、いずれも落札予想価格を上回る価格で落札され、変わらぬ人気をみせた。

2日目には、アンディウォーホル、バンクシーなどの海外作家やオークションではお馴染みとなったロッカクアヤコ、山口歴などの作家を中心に、落札予想価格平均168~278万円程度の作品が170点出品された。落札総額は8億851万3250円まで伸び、不落札は0点、落札率100%と記録的なセールとなった。最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙に採用されていた奈良美智のオリジナル作品LOT.217 《Lollipop》(41.5×35.5cm、アクリル/紙)。ロリポップキャンディを咥えている三白眼の大きな目の少女を描いた本作は、自身の画集第2弾「Slash with a knife」の表紙を飾った作品で、注目度も高く、白熱した競りを見せた。落札予想価格1500~2500万円のところ、7705万円まで競り上がり、落札予想価格上限の約3倍まで高騰した。

アクセス数が最多となったのは、奈良美智、くらやえみ、大谷工作室、LYとなっており、次点に、Haroshi、金昌烈(キム・チャンギョル)、平子雄一、ロッカクアヤコ、花井祐介、朴栖甫(パク・ソボ)、KYNE、ジュリアン・オピー、ダミアン・ハーストが名を連ねた。国内の新進作家や韓国の作家のランクインが目立った。近年、韓国ではアートシーンが活気づいており、2022年には世界的なアートフェア「フリーズ」がソウルで開催されることが決まっている。韓国のアートマーケットへの注目が集まっているようだ。

今回のセールで、最高額での落札となった奈良美智(なら・よしとも、1959‐)にスポットを当て、レポートをする。奈良は、少女や動物などをモチーフとした作品を絵画、彫刻、インスタレーションなど多彩な表現方法で発表している。ネオポップアートを代表する作家のひとりして、世界的にも高い評価を得ている。

本セールでは、18点(杉戸洋とのコラボレーション作品2点を含む)の出品があった。いずれの作品も、落札予想価格内もしくは落札予想価格上限超えて落札されており、安定銘柄となっている。
奈良については、2018年2月にシルクスクリーン作品「Star Island」に焦点を当て、レポートしているが、今回は、LOT.073《Broken Treasures》(42×29.5㎝、木版画、ed.50)をピックアップし、同一作品の出品データを抽出した2017~2021年(※1)のACF美術品パフォーマンス指標より、その動向を読み解く。

2106ACF美術品パフォーマンス指標

2106ACF美術品時価指数

落札予想価格は、2017年に130~210万円でスタートし、以降2021年まで、落札予想価格200~300万円で設定されている。2018年のみ落札予想価格内での落札となるが、2019年以降は落札予想価格上限を超えて落札され、全体的に右肩上がりで推移している。2021年では460万円までの高騰がみられた。今回の落札結果(落札予想価格250~350万円、落札価格552万円)を踏まえても、上昇傾向にあることがわかる。

6月20日には、台湾で初開催された個展「奈良美智特展」が閉幕したばかりである。盛況を博した展示は、台湾各地の美術館を巡回することも決まっている。グローバルで活躍する作家の活動、活動から広がるマーケットの動向を今後も注視していきたい。

※1:2021年は、1月までのオークションデータを用いてグラフ化している。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第45回SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2021年7月3日(土)13:00~
2021年7月4日(日)13:00~

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社

〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F

TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777

E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

 

2021.05.27

会場 : インターネット配信

セール: LIVE STREAM / 2021年4月2日(金曜日)13:00~

          2021年4月3日(土曜日)13:00~

 

落札総額:  177,289,750円(落札手数料込み)

落札率:    92.6%

作品数:    378点(落札350点、 不落札28点)

 

4月2日(金)・3日(土)に開催されたSBIアートオークション「Live Stream」についてレポートする。会場を使用せず、インターネットでライブ配信されるオークションは、コロナ禍を機に始まった新しいオークションの形式で、本セールで4回目の開催となる。過去3回の開催における落札率はいずれも90%越えを記録しており、活況を呈している。今回も、落札率は92.6%と非常に好調な結果となった。

1日目は、Mr doodle、BANKSY、KAWS、村上隆などの作家を中心に、落札予想価格平均18~30万円程度の作品が175点出品された。落札160点・不落札15点、落札率91.4%。単日の落札総額は、5904万6750円(落札手数料込み・以下同)だった。
最高額で落札されたのは、KAWSとラグジュアリーブランドであるディオールが、2019年の春夏コレクションでコラボレーションした際に500体限定で制作したぬいぐるみ、LOT.019 《BFF Dior Plush Pink and Black》だった。黒とピンクの2色展開されていたこのぬいぐるみは1色で出品されることもあるが、今回は2色セットでの出品となっている。希少なアイテムと人気が高く、2020年に入り高騰傾向にある。その好調は続き、落札予想価格150~250万円に対し、529万円まで上昇し、盛り上がる競りとなった。

2日目には、草間彌生、奈良美智、TIDEなどの作家を中心に、落札予想価格平均23~38万円程度の作品が203点出品された。落札190点・不落札13点で、落札率は94.4%だった。落札総額は1億1824万3000円まで伸び、初日と合わせると1億7728万9750円となった。
最高額で落札されたのは、TIDEの猫をモチーフとしたキャラクターのモノクロ作品LOT.268《ZONE OUT》(80×100㎝、アクリル・キャンバス)で、落札予想価格200~300万円のところ、885万5000円で落札された。TIDEは、他にもCATシリーズを中心に6点の出品があったが、いずれも落札予想価格上限の2~4倍程度の金額で落札されており、注目の高さがうかがえる結果となった。

本セールで最多となる68作品の出品があった村上隆(むらかみ・たかし、1962‐)にスポットを当て、レポートをする。村上については、2021年2月のレポートで「ドラえもん」シリーズをレポートしたが、今回は、出品作品の中からLOT.134《727》(67×100㎝、シルクスクリーン、ed.100)をピックアップし、その動向を読み解く。

《727》は、村上が描くキャラクターの中でも有名な「DOB君」をモチーフにした作品。日本画のような平面的な背景の中にDOB君がアニメのように描かれている。村上が提言する伝統的な日本美術と現代のアニメや漫画などにみられる二次元的な絵画空間や余白の使い方などに類似点を見出した “スーパーフラット”という概念が巧に表現された作品で、オリジナル作品はMoMAに収蔵されており、MoMAコレクションに選出されていることでも知られている。
落札予想価格40~70万のところ、83万9500円で落札された。同一作品の出品データより、2016~2019年の指標(ACF美術品パフォーマンス指標)を見てみると、2016~2018年まで、落札予想価格40~60万円前後、落札価格70万円前後とほぼ横ばいで推移している。2019年には落札予想価格に上昇が見られるも、落札予想価格内に収まり、やや右肩下がりの結果となっている。2020年には出品がなく、本セールの出品で再び調子を戻した。時価指数から50~70万円がだいたいの目安と見てとれる。

出品された68作品の中には、《727》のシリーズ作品もあった。LOT.165《727×777》(65.7×98㎝、オフセット印刷、ed.300)は、落札予想価格10~15万円のところ、32万2000円で落札されている。同一のシリーズでも、技法やエディション数が異なる場合がある。それにより落札価格帯が変わってくる為、シリーズで出ている作品を購入する際は、いろいろ比べて検討してみるのもよいだろう。

2105ACF美術品パフォーマンス指標

2105ACF美術品時価指数

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第45回SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2021年7月3日(土)
2021年7月4日(日)

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
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