セール: Modern and Contemporary Art
日時: 2022年10月28日(金曜日)13:00~・29日(土曜日)13:00~
落札総額:1,458,625,500円(落札手数料含む)
落札率:95.1%
作品数:308点(落札293点、不落札15点)
10月28日(金)・29日(土)の2日間、代官山のヒルサイドフォーラムにて、SBIアートオークションによるモダン&コンテンポラリーアートの今年最後のオークションが開催された。本セールでは、国内外で活躍する現代美術家による作品が308点出品された。落札総額は14億5862万5500円(落札手数料含む・以下同)、落札率は95.1%と高記録を達成している。落札作品の半数以上が落札予想価格上限を超えて落札されており、落札予想価格上限に対し3~5倍程度の伸びをみせた作品もあった。国内外のアートコレクターから多くの入札が集まり、2022年のラストを飾るにふさわしい活気に満ちたセールとなった。
1日目は、落札予想価格平均77~125万円程度のマルチプル作品を中心に148点の出品があった。単日の落札総額は2億3623万3000円。不落札はわずか3点で落札率は97.9%となっている。2日目は、落札予想価格平均399~638万円程度のオリジナル作品を中心に160点の出品があった。単日の落札総額は、12億2239万2500円で、落札率は92.5%となっている。2日間通しての高額落札ランキングには、草間彌生、ロッカクアヤコ、村上隆などお馴染みの名前が並んだ。中でも、注目を集めたのは、ペインティング作品オークション初出品(毎日オークションでは2020~2022年に5点のポスターの出品があったが、いずれも不落札)となった武田鉄平の作品。本セールのカタログ表紙にもなっていた抽象的な肖像画LOT.153《絵画のための絵画012》(91.0×72.7㎝、アクリル・油彩・紙・パネル)が、落札予想価格150~250万円のところ、4830万円で落札され、本セールでの高額落札ランキング5位に入った。新進気鋭の若手作家の作品が驚異の伸びをみせ、会場を沸かせた。
今回は、岡﨑乾二郎(おかざき・けんじろう、1955-)をピックアップし、レポートする。岡﨑は、造形作家で数多くの国際展にも出品し、国内外で名を馳せる作家の一人である。抽象表現を基礎とした絵画を中心に、彫刻、建築、映像など幅広いジャンルで作品を展開しているほか、美術批評を主に執筆活動も行っており、美術批評家としても知られている。
今回のセールでは、オリジナル作品が2点出品された。LOT.200《恥ずべきことを恥じず恥ずかしくないことを恥じる、石ではなく体は、その上で消えていった雪のことを決して忘れない。立派な大理石はぼろぼろになるまで何百年もかかる(その間、あたまの上に広がっているのは空だけ)。石像として立つより(どうにもならぬ)体をあずかり、ひょっこり斃れるまで(わずかの年月)波と空のあはひにいて、戯れる。》(91.0×72.5×5.5㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格150~250万円のところ、575万円で落札されている。大型のキャンバスに数色の絵具を厚めに擦り付けるように描かれた抽象絵画は、落札予想価格上限の2倍の伸びをみせた。岡﨑の作品は、タイトルが詩的である点もスタイルのひとつで、大型作品になるとLOT.200 の作品のように非常に長いタイトルがつけられている。視覚と言語の両面から奥深く岡﨑の世界観を感じることができる。
続いて出品されたLOT.201《依怙贔屓(えこひいき)/気を揉む樅の木》(23.0×16.5×3.0㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格50~100万円のところ、126万5000円で落札された。小さいキャンバスにダークカラーの絵具をしっかり塗りつけた本作は、“ゼロ・サムネイル”シリーズという0号やサムホールサイズの抽象画を削り出しの木枠にはめ込んだ作品シリーズの1点である。
今回は、ゼロ・サムネイルシリーズの動向をACFパフォーマンス指標で読み解く。
2016年の出品では、落札予想価格平均20~30万円のところ、落札予想価格内の25万円程度で落札されている。以降の3年間は出品が見られず、久しぶりの出品となった2020年では、落札価格が100万円近くまで上昇した。翌2021年は、作品1点のみの落札データになるが、落札価格は前年の2倍近くまで上昇している。大幅な上昇を見せた2021年の作品は、ライトカラーの数色による大らかな印象の抽象画が木枠にはめ込まれた作品だった。今回の出品作品のようなダークカラーの作品より、評価が高い傾向にあるのかもしれない。同じシリーズでも、作風によって人気や評価の違いが出てくることがある。2022年では、落札予想価格平均が50~95万円まで上昇している。それに対し、落札価格平均は112万円程度まで下降を見せた。しかしながら、落札予想価格上限は超えて落札されており、安定している。作風の違いによる上下動はあるかもしれないが、現状では100万円前後がひとつの目安というところであろう。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第55回SBIアートオークション
LIVE STREAM:2023年1月27日(金)
Modern and Contemporary Art:2023年1月28日(土)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: インターネット配信
セール: LIVE STREAM
日時: 2022年9月16日(金曜日)13:00~ ・9月17日(土曜日)13:00~
落札総額: 488,347,500円(落札手数料含む)
落札率: 96.4%
作品数: 422点(落札407点、不落札15点)
9月16日(金)・17日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションのライブ配信型オークション「LIVE STREAM」についてレポートする。本セールでは、20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、絵画・写真・工芸などの良品が422点され、407点の作品が落札された。オンライン上で活発な競りが展開され250点近くの作品が、落札予想価格上限を超えて落札された。落札総額は4億8834万7500円(落札手数料含む・以下同)、落札率96.4%の好結果となった。
1日目は、マルチプル作品を中心に、落札予想価格平均21~34万円程度の作品が215点出品された。落札204点、不落札11点、落札率94.9%。単日の落札総額は、1億354万250円となっている。アート初心者でも気軽に参加できるお手頃な価格帯の作品が目立った。落札予想価格が5~10万円程度の作品で、3万円程度で落札される作品などもみられた。
価格に大幅な伸びを見せたのは、清家冨夫のモノクロのデジタルプリント作品。英国人女性ゾイの20歳から25歳までの成長と変化を撮影した“Portrait of ZOE”シリーズから、2点の出品があった。落札予想価格は、各10~15万円のところ、LOT.209は115万円、LOT.210は60万9500円で落札された。本作は、80年代に制作された清家の代表作でもある。世界で活躍する日本の写真家の優れた作品に注目が集まった。
2日目は、オリジナル作品を中心に、落札予想価格平均34~137万円程度の作品が207点出品された。落札203点、不落札4点、落札率98%と、前日を上回る盛り上がりをみせた。単日の落札総額は、3億8480万7250円となった。セール終盤では、多作家とのコラボレーション作品なども含む村上隆のマルチプル作品が66点続いた。ドラえもん、お花、DOB君など様々なシリーズが、絵画・立体・スケートボードなど豊富な作品種で揃い、村上ワールドを存分に楽しめる構成となっていた。
2日間を通じ、トップロットとなったのは、ロッカクアヤコのオリジナル作品LOT.273《Untitled》(100.5×100.0㎝、アクリル/キャンバス)。落札予想価格3000~5000万円のところ、7245万円で落札されている。ロッカクの勢いは止まらず、次点にもロッカク作品がランクイン。前述の作品とほぼ同サイズ、同技法の作品が、5060万円で落札された。ロッカク作品は全5点の出品があり、その落札総額は、1億4587万7500円を記録し、1日目の単日落札総額を上回る驚異の結果となっている。ロッカクの評価は高まる一方だ。
今回は、イギリス出身のグラフィティアーティスト、Mr. Doodle(ミスター・ドゥードゥル1994-)に焦点を当て、レポートする。Mr. Doodleは、Instagramのフォロワー数が274万人越えという、人気の若手作家。作家名の「Doodle」は、落書きを意味している。その名の通り、独自のペンを使った太い線でキャラクターやシンボルなどを下書きもなく落書きのように描かれた作品は、POPでわかりやすく鑑賞する者を魅了する。有名なアパレルブランドとコラボレーションしたコレクションも発表しており、ファッション界などでも認知度も高い作家である。今回のセールでは2日間でオリジナル3点、マルチプル13点、合計16点の出品があった。いずれの作品も落札予想価格内もしくは落札予想価格上限を超えて落札されており、堅調な結果を残している。
2日目に出品されたLOT.259《A Piece of ‘Rainbow Doodle’》とLOT.260《Rainbow》、2点のオリジナル作品をピックアップする。《Rainbow》シリーズは、背景を1色で塗った30㎝角のキャンバス全体に落書きを書き上げているシリーズ。落札予想価格は各100~150万円で、LOT.259は178万2500円、LOT.260 は184万円で落札されている。
同シリーズのオークション結果を抽出分析したACFパフォーマンス指標より作品の動向をみる。
落札予想価格平均は、2020年70~113万円程度から始まり、2022年まで緩やかに上昇を見せている。落札価格平均は、常に落札予想価格を大きく上回り推移している。2021年に若干の下降を見せるものの、2022年には回復、200万円前後で推移している。時価指数も大幅な上下動はなく170~200万円程度で、安定した推移を見せている。
10月28日から開催されるSBIアートオークションでも《Rainbow》シリーズが2点出品されている。落札予想価格は、今回の出品と同じ100~150万円で設定された。どこまで伸びを見せることになるか注目される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第54回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
2022年10月28日(金)13:00~
2022年10月29日(土)13:00~
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: SALE#2200908 Modern and Contemporary Art
日時: 2022年9月8日(木曜日)14:00~
落札総額: 236,020,000円(落札手数料含まず)
落札率: 76.23%
作品数: 244点(落札186点、不落札58点)
2022年6月に江東区から千代田区半蔵門へオフィスを移転したマレットジャパンの移転後初となるオークションが9月8日(木)に開催された。国内作家82名、海外作家61名による近現代美術の作品が244点出品された。洋画、日本画などの絵画作品の他、立体、陶芸、写真など作品種も豊富に揃ったセールだった。会場だけでなく、オンラインからのビッドも活発に展開され、落札総額は2億3602万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は76.23%を記録した。
勢いのある競りで注目を集めたのは、3点のオリジナル作品の出品があった今津景。今津は、作品のコンセプトに基づいて収集した画像データをコンピューターに落とし込み、それらを画像編集ソフトで画面構成し、独自の仮想空間を構築。その仮想空間を元に、キャンバスに油彩で描きあげるという独自のスタイルで作品を手掛けている。最近のオークションで値動きが目立つ作家のひとりである。LOT.237《Green Relax》(72.5×90.6㎝、キャンバス・油彩)は、落札予想価格30~40万円のところ、280万円で落札され、落札予想価格上限の7倍と大幅な伸びをみせた。続く2点も順当に落札され、LOT.238《作品》(145.0×97.0㎝、キャンバス・油彩)は400万円、LOT.239《Broadcaster》(130.3×162.1cm、キャンバス・油彩)は、410万円での落札を記録し、いずれも落札予想価格上限の約3~4倍という大きな競り上がりを見せた。次世代を担う注目の若手作家の今後の活躍に期待が高まる。
トップロットを飾ったのは、最終LOTで出品されたロッカクアヤコの作品。LOT.245《Untitled》(105.5×100.0㎝、キャンバス・アクリル)は、落札予想価格2500~3500万円のところ、上限を大きく上回る4800万円で落札された。ロッカクは、他にセラミックの立体作品やラグなど、全4点が出品されている。トップロットを記録した作品以外は、落札予想価格内に留まった。ロッカクの出品だけで落札総額は6450万円を記録し、今回の全落札総額の27.3%を占める結果となった。ロッカクの堅調は続く。以降の高額落札には、カシニョール、草間彌生、ユトリロ、今井麗が名を連ね、600~800万円台での落札となっている。今回のセールでは、フランス人作家の優品が多く出品され、好結果を残している。
今回は、匿名をテーマに日本で活躍するアーティスト AUTO MOAI(おーともあい、1990年~)に焦点を当てる。AUTO MOAIは、デザイン系の専門学校でグラフィックなどを学び、2015年より作品制作を開始。現在に至るまで、ミュージシャンのCDジャケットや人気アパレルブランドへのアートワーク提供、イベントフライヤーも多数手掛けており、イラストレーターとしても認知度が高い。2021年には、香港や韓国でも個展を開催し、国際的にも活躍の場を広げている。
“消費される匿名の20代の女性”をメインモチーフにしたAUTO MOAIの作品には、表情を持たない人物が多く存在する。社会における個人の希薄さをテーマに、他人と自分、夢と現実など全ての境界線を取り払ったフラットな世界を表現するため、人物には表情を描かないという。
本セールには2点が出品された。1点は、表情を持たない女性の全身像をモノクロで描いた版画作品のLOT.084《作品》(9.3-13.2×3.7-13.3㎝、シルクスクリーン、5点セット)で、落札予想価格10~15万円のところ、21万円で落札された。もう1点のLOT.241《ルビールーム》(72.5×60.5cm、キャンバス・油彩)は近年手掛けるようになった油彩作品で落札予想価格70~100万円で出品されたが、不落札に終わった。過去数回の出品があったLOT.084《作品》をピックアップし、ACF指標より動向を読み解く。
2021年2月の初出品から今回まで、落札予想価格は変わらず10~15万円で出品されている。初出品時の落札価格は30万円で、予想価格上限の2倍を記録した。2021年4月、9月と右肩下がりで16万円まで下降するが、1年後となる今回のセールで21万円まで上昇し、調子を戻している。下降はみられたものの、常に落札予想価格上限を超えて推移しているのは高い支持を得ているからであろう。AUTO MOAIの象徴的な作品に人気が集まっている。今後、更なる上昇を見せるのか動向を注視していきたい。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2022年12月1日(木)
会場:マレットジャパン オークションハウス
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン (6月20日より住所が変わりました)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-1 ニッセイ半蔵門ビル1F
TEL:03-5216-2480 FAX:03-5216-2481
E-mail:info@mallet.co.jp
セール: BID FOR SUMMER
日時: 2022年7月15日(金曜日)13:00~・16日(土曜日)13:00~
落札総額:851,701,500円(落札手数料含む)
落札率:93.9%
作品数:329点(落札309点、不落札20点)
7月15日(金)・16日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。両日とも、会場を設けないとして開催された。開催前の2 日間、通常のオークションと同様に下見会も行われ、作品の状態などを実際に確認できる機会も設けられた。本セールでは、国内外で活躍する現代美術の作品が329点出品され、落札総額8億5170万1500円(落札手数料含む・以下同)、落札率は93.9%を記録している。落札作品の70%ほどが、落札予想価格上限を超えて落札されており、活気のあるセールとなった。
1日目は、落札予想価格平均27~43万円と、購入しやすい価格帯のマルチプル作品を中心に163点の出品があった。単日の落札総額は1億889万9250円、落札率は95.7%と盛況なセールとなった。わずか7点の不落札には、セール終盤に多く出品された写真作品が目立った。最高落札額を記録したのは、LOT.050小松美羽《干支神獣》(I.53.0×53.0、シルクスクリーン、Ed.50)。お馴染みの十二支の各モチーフに、小松独自の解釈による「猫」のモチーフを加えた13点の《干支神獣》コンプリート版は、落札予想価格500~800万円のところ、1380万円で落札された。次点には、ロッカクアヤコのLOT.045《早生まれ行進曲》(S.44.5×59.5㎝、シルクスクリーン、Ed.66)が続く。落札予想価格150~250万円のところ、575万円で落札されている。
2日目は、落札予想価格平均158~248万円程度のオリジナル作品を中心に166点の出品があった。単日の落札総額は7億4280万2250円で、落札率は92.2%だった。マルチプル作品で好結果を残していたロッカクアヤコが、オリジナル作品でも金額を伸ばし、今回のオークションのトップロットとなった。ロッカクらしい色鮮やかな色彩の中につり目の少女を描いた作品LOT.194《Untitled》(100.0×150.0㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格4000~7000万円のところ、上限の倍以上となる1億8400万円で落札された。2022年5月にクリスティーズ(香港)において、約1億4000万円の落札で自身のオークションレコードを更新したばかりだったが、本作でその記録を更新している。ロッカクの勢いは止まらず、次点もロッカクアヤコの作品が続く。LOT.193《Untitled》(90.0×60.0㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格2500~3500万円のところ、8395万円で落札された。ロッカクアヤコの作品は2日間で5点の出品があったが、いずれも落札予想価格を上回る価格で落札されている。安定した人気の高さがうかがえる結果となった。
両日にわたり出品があったKYNE(キネ、1988-)をクローズアップする。2006年頃から地元である福岡を拠点にグラフィティアーティストとして活動を開始したKYNE。ストリートアートから注目を集め、現在では、ファインアート界においても知名度が高いアーティストのひとりである。余計な表現をそぎ落とし、平面にモノクロでクールな表情の女性をシンプルに描く表現が特徴的で、1980年代の大衆文化の影響を受けた作風に多くのファンが魅了されている。
今回のセールでは、合計6点(山口歴とのコラボレート作品1点を含む)の出品があった。いずれも落札予想価格上限を超えて落札されており、評価を高める結果となっている。中でも、コーヒーカップを手に持つ女性を描いたLOT.009《Untitled》(S.48.0×60.0㎝、シルクスクリーン、Ed.100)の動向をACF指標により読み解く。本作は、2018年に雑誌『Casa BRUTUS』 のカフェとロースター特集号で表紙を飾った作品で、KYNE作品の中でも人気が高い作品である。落札予想価格150~250万円のところ、460万円で落札されている。
2019年の出品では、落札予想価格平均10~20万円のところ90万円近くで落札され、落札予想価格上限平均の4倍を超える価格での落札となっている。以降、落札予想価格平均、落札価格平均ともに右肩上がりで推移し、2022年には落札予想価格平均が、落札価格平均は330万円程度まで上昇する。時価指数中央値も年毎に100万円単位で順調に価格を上昇させている。この好調がどこまで続くか、今後の動向が期待される。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第53回SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2022年9月16日(金)・17日(土)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: Shinwa Auction(シンワオークション) 銀座メディカルビル1F・2F・B1F
セール: マンガ/近代美術/近代美術PartⅡ/コンテンポラリーアート
日時: 2022年7月9日(土曜日)13:00~
落札総額: 586,555,000円(落札手数料含まず)
落札率: 81.04%
作品数: 480点(落札389点、 不落札91点)
7月9日(土)にシンワオークションのMANGA、近代美術、近代美術PartⅡ、コンテンポラリーアートのセールが、銀座メディカルビルにて開催された。落札総額は、5億8655万5000円(手数料含まず・以下同)、落札率は81.04%となっている。ジャンルそれぞれの点数内訳は、マンガ作品92点、近代美術127点、近代美術PartⅡ187点、コンテンポラリーアート74点で、合計480点もの美術品が出品された。絵画、彫刻だけでなく、陶芸、小判、碁盤・碁石セットなどバラエティに富んだ内容で、多くのコレクターを楽しませるセールとなった。
全作品の中でトップロットを記録したのは、近代美術より出品されていた佐藤玄々のLOT.410《大慈大悲救世観世音菩薩》(H83.3×W26.2×D26.2cm、木彫・彩色)。高い技術力による緻密な彫刻と装飾性に富んだ色彩で仕上げられた菩薩像は、落札予想価格1000~2000万円に対して1億1500万円で落札された。落札価格上限の5.75倍の大きな伸びで、会場を沸かせた。佐藤は、日本橋三越本店1F中央ホールに展示されている《天女像 まごころ》や竹橋駅2番出口そばにあるブロンズ《和気清麻呂像》などの作者として知られている。日本を代表する彫刻家の希少な優品に注目が集まった。
コンテンポラリーアートでは、27名の作家による作品が74点出品された。他のジャンルよりも、出品数は少なかったものの、落札総額は1億3499万円を記録している。落札率は80.08%だった。コンテンポラリーアート内で、トップロットとなったのは、草間彌生のLOT.485《蝶》(14.1×17.8㎝、キャンバス・アクリル)で、落札予想価格2000~3000万円のところ、2800万円で落札された。小さい作品にも関わらず、最終ロットにふさわしい好結果を残した。次いで、アンディ・ウォーホルの作品(LOT.479~482)が、4点が続く。1983年当時、世界で絶滅危惧種とされていた10の動物をモチーフにしたシルクスクリーン作品(96.5×96.5㎝、Ed.150)の中から、カエル、蝶、オラウータン、白頭ワシの出品があった。いずれも落札予想価格300~500万円のところ、落札予想価格上限に対し、3~5倍程度の1600~2700万円で落札され、4点の落札総額は8500万円となっている。ウォーホルの作品は、上昇傾向を見せており、好調が続いている。
今回は、小松美羽(こまつ・みわ、1984-)をクローズアップし、レポートする。小松は、迫力ある構図やサイケデリックな色合いで、目力の強い狛犬や龍などの神獣を独創的に描く作風で知られ、国内外で高い評価を得ている若手現代作家。自身の個展会場などで行うライブペインティングが人気が高く、躍動感あふれるパフォーマンスではたくさんの観客を魅了している。“美しすぎるアーティスト”としてテレビなどメディアへの出演も多く、知名度も高い作家のひとりである。
本セールでは、お馴染みの十二支の各モチーフに、小松独自の解釈による「猫」のモチーフを加えた13点の《干支神獣》シリーズより、2点の出品があった。LOT.452《干支神獣 子》、LOT.453《干支神獣 酉》(各イメージ52.9×53.0㎝、シルクスクリーン、ed.50 )は、落札予想価格50~80万円のところ、落札予想価格内の74万円で落札されている。
同一シリーズの落札データを抽出したACF指標により、その動向を読み解く。
初出品の2020年では、落札予想価格平均が約20~30万円に対し、200万円程度で落札されており、驚異的な落札結果となった。その結果を受け2021年には、落札予想価格平均は若干上昇するが、落札価格平均は100万円程度まで下降する。2022年7月10日までのデータでは、落札予想価格平均は横ばい、落札価格平均は90万程度となる。出品当初の過度な跳ね上がりにより、右肩下がりのグラフになっているが、常に落札予想価格上限を上回る落札価格で推移してきた。また、15日(金)に開催されたSBIアートオークションでは、《干支神獣》13点のコンプリート版が出品され、落札予想価格500~800万円のところ、1200万円で落札された。コンプリートの希少性もある為、比較は難しいが、単純に点数で換算すると1点あたり92万円程度となり、今回の落札額より高値での落札となっている。2022年、最終的に落札予想価格上限付近での堅調推移となるか、これからの展開が期待される。
●次回のシンワオークション開催予定●
2022年9月17日(土)
近代美術/近代美術PartⅡ/コンテンポラリーアート オークション
近代陶芸/近代陶芸PartⅡ
Shinwa Auction|シンワオークション (shinwa-auction.com)
【お問合せ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032 E-mail:info@shinwa-auction.com