会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: SALE#210128
日時: 2021年1月28日(木曜日)14:00~
落札総額: 140,020,000円(落札手数料含まず)
落札率: 85.32%
作品数: 259点(落札221点、 不落札38点)
1月28日(木)に開催されたマレットオークションについてレポートする。全体の出来高は、1億4002万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は85.32%だった。絵画作品だけでなく、ガレやドームの芸術性の高いガラス工芸作品やパリを拠点に活動する写真家・オノデラユキのポートレート作品など、世界各国から集められた多様な美術品259点がセールにかけられた。
最高額で落札されたのは、具体美術作家として知られている松谷武判の作品LOT.72《流動-89》(117×89㎝)で、落札予想価格400~600万円のところ、落札予想価格上限と同額の600万円で落札された。白いキャンバスに漆黒の合成ボンドを垂らしたモノクロの世界で、存在感のある躍動が表現された本作は、松谷の世界観が強く感じられる作品であり、高額での落札となった。松谷は、他にも3点の出品があったが、内2点は不落札で、作品によって評価が分かれる結果となった。
次に高額落札となったのは、アクリル絵の具を使い、手で直接段ボールに少女を描き上げたロッカクアヤコのオリジナル作品LOT.79《無題》(81×33㎝)で、落札予想価格200~300万円のところ530万円で落札された。ロッカクは、他にもオリジナル1点、マルチプル3点の出品があったが、いずれも落札予想価格上限を上回る金額での落札となり、安定した人気を誇っている。
今回は、日本を代表する現代美術家のひとりである村上隆(むらかみ・たかし、1962-)にスポットを当てる。村上は、海外で開催されたオークションで、美少女や青年の等身大フィギュアが高額落札されたことで世界的にもその名を知られている。村上が描く「DOB君」「かいかい」「きき」「お花」などのキャラクターは、若者を中心に人気があり、有名ブランドやアーティストとコレボレーションすることも多く、国内においてもその認知度は高い。
本セールでは、「DOB君」「お花」「ドラえもん」シリーズ等14点の出品があった。
中でも、LOT.110~113の「ドラえもん」をモチーフとしたオフセットプリント作品4LOTをピックアップし、動向を読み解く。「ドラえもん」をモチーフとした作品は、2002年に開催された『THEドラえもん展』で藤子・F・不二雄に制作を依頼されたことに始まり、後の『THEドラえもん展』でも展開されたシリーズである。
LOT.110《藤子・F・不二雄先生とドラえもんがお花畑に居る/ドラえもんの日常/お花畑の中のドラえもん》の3点セットは、落札予想価格15~20万円のところ、15万円で落札された。LOT.111《ドラえもん ありがとう/さぁ!いくぞ!/えいえいおー!》の3点セットは、LOT.110と同じ落札予想価格だったが、不落札だった。続く、LOT.112《お花畑の中の「どこでもドア」/「どこでもドア」でお花畑にやってきた!》の2点セットは、落札予想価格10~15万円のところ、11万円で落札、LOT.113《藤子・F・不二雄先生とタイムマシンで何処までも!/どこでもドア いろいろあるよ》の2点セットは、落札予想価格12~17万円のところ、13万円での落札となった。1点の不落札を除き、落札予想価格内で落札された。
同一条件(ドラえもんシリーズ・オフセットプリント・エディション1000)の作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、オークション市場に登場した2017年には、落札予想価格上限を超えて落札され、2019年では、落札予想価格上限に近い価格での落札となっている。2020年に全体的に上昇したように見受けられるが、これは今回のような複数セットでの出品によるもので、1点当たりでみるとほぼ横ばい傾向にある。ドラえもんシリーズは、複数で出品されることが多く、2020年10月には、11点で出品されたこともあった。この安定した値動きが、上昇と下降どちらに推移していくのか、その動向を今後も注視していきたい。
注*:選出の作品は2017年からオークション市場に登場している為、ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、2017年からのデータをグラフ化している。また、2018年には出品が無かった為、2018年を除いたグラフとなっている。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2021年3月18日(木)14:00~ Modern and Contemporary Art
2021年3月20日(土・祝) 14:00~ 特別セール
「村上春樹氏の草稿・署名本(黒河内コレクションより)」
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp
会場: Shinwa Auction(シンワオークション) 銀座メディカルビル1F・B1F
セール: 近代美術 / 戦後美術&CONTEMPORARY ART / 近代美術PartⅡ / MANGA
日時: 2020年11月21日(土曜日)15:00~
落札総額:191,060,000円(落札手数料含まず)
落札率: 75.23%
作品数: 436点(落札328点、 不落札108点)
今回は昨年の11月21日(土)に開催されたシンワオークションについてレポートする。全体の出来高は、1億9106万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は75.23%だった。
分野別の内訳は、MANGAから78点、近代美術PartⅡから184点、戦後美術&CONTEMPORARY ARTから39点、近代美術から135点で、合計436点もの作品がセールにかけられた。
近代美術のジャンルでは、棟方志功と彼末宏の両作家で特集が組まれ、棟方が19作品、彼末が11作品と優品が多数出品され、コレクターを惹きつけた。それぞれの作家全ての出品作品が、落札予想価格を下回ることなく落札され、活気のあるセールとなった。
戦後美術&CONTEMPORYARY ARTのジャンルは、出品数が最も少なかったものの、39点中33点の作品が落札され、84.62%と高い落札率をみせた。落札予想価格上限を大きく上回る高値で落札される作品も多く、活発な競りが展開された。
最高額で落札されたのは、モーリス・ユトリロの作品LOT.440《クリニャンクールのノートル=ダム教会、モンマルトル》(57.8×74.0㎝、パネル・油彩)で、落札予想価格1800~2800万円のところ2100万円で落札された。ユトリロの作品の中でも評価が高い「白の時代」と呼ばれた時期の教会のある風景を描いた作品である。最終LOTで、最高額での落札は、名画の出品の印象が強く残る競りとなった。
次いで、高額落札となったのは、LOT.77手塚治虫の《鉄腕アトム扉絵原画》。落札予想価格1000~2000万円のところ、1000万円で落札された。日本のポップカルチャーのひとつとして、圧倒的な支持を得ているマンガやアニメは、海外では美術品のように取引される一面を持ち、多くの取引実績を残している。その影響を受けて、2018年頃から、シンワオークションを先駆けとし、国内の美術品市場においてもマンガやアニメの取り扱う動きがあり、今では定期的に作品が出品されるようになっている。今後、マンガやアニメが美術品として認知されるようになるのか、国内の市場動向が注目される。
今回は、ストリートアートをゲリラ的に描くことで知られているイギリス出身のグラフィティアーティスト、Banksy(バンクシー、1974-)をピックアップし、レポートする。バンクシーは、社会的メッセージを盛り込んだ作品を多く手掛けることで知られている。 何より、2018年のロンドンのオークションで起きた落札と同時に作品がシュレッダーにかけられたハプニングで記憶している人が多いのではないだろうか。
今回のセールでは、シルクスクリーン4LOT、フィギュア(スタチュー)4LOTの出品があった。以前(2018年12月)のオークションレポートで版画作品を分析しているので、今回はフィギュアに焦点を当て、分析を行う。
フィギュアは、BRANDALISM(Banksy) MEDICOM TOY/Sync.の作家名で出品されている。トイメーカーであるMEDICOM TOY(メディコム・トイ)の「Sync.」は、アーティストとのコラボ専門プロダクトである。バンクシーの代表作をフィギュア化した LOT.295《FLOWER BOMBER(White Ver.)》、LOT.296《FLOWER BOMBER(Black Ver.)》(H39.4×W34.0cm)は、武器の代わりに花束を投げようとしている暴徒の少年像で、白と黒の色違いで出品され、それぞれ落札予想価格5~10万円のところ16万円で落札された。
LOT.298とLOT.299《BOMB HUGGER(Red Bomb Ver.)》(H38.4×W15.2cm)は、少女が赤い爆弾を抱えた作品。同一作品の出品だった。落札予想価格が5~10万円のところ、LOT.298は、16万円、LOT.299は、11万円で落札された。
《FLOWE BOMBER》の過去3年間のパフォーマンス指標をみてみると、2018年、落札予想価格上限の2倍の価格で落札されたことに始まり、2019年も落札予想価格上限を超えて落札されている。2020年に小幅に下落を見せるが、落札予想価格内に収まる価格で落札されている。大幅な下落はなく、堅調な推移といえよう。期間限定受注生産となっている貴重なフィギュアは、ネットオークションなどでも多く取引されている。今後の生産状況なども考慮すると大幅な上昇は期待できないように推察されるが、人気のある作品といえるのではないだろうか。
2020年春、横浜を皮切りに開催された「バンクシー展・天才か反逆者か」が、大阪へ巡回し1月24日に幕を閉じた。今後は、名古屋、福岡での開催が予定されている。注目が集まる中、今後の動向を注視していきたい。
●次回のシンワオークション開催予定●
2021年1月30日(土)15:00~
会場:銀座メディカルビルB1F・1F・2F
※オークション当日の来場は予約制となります。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
Shinwa Auction株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル2F
TEL:03-3569-0032 E-mail:info@shinwa-auction.com
会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: SALE#201119
日時: 2020年11月19日(木曜日)14:00~
落札総額: 180,595,000円(落札手数料含まず)
落札率: 87.8%
作品数: 作品数:279点(落札245点、 不落札34点)
今回は11月19日(木)に開催されたマレットオークションをレポートする。
近現代絵画・陶芸(Paintings and Pottery Works)から65点、近現代美術(Modern and Contemporary Art)から214点、合計279点の作品がセールにかけられた。絵画だけでなく、書や陶芸品、石像の出品もあり、バラエティ豊かで見ごたえのある構成であった。出来高は、落札総額1億8059万5000円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は87.8%。落札された作品の半数近くが落札予想価格上限を超える価格で落札されており、活発な競りが展開された。
最高額で落札されたのは、アンディ・ウォーホルのポートレート作品LOT.86《ミック・ジャガー》(111.5×73.7㎝、シルクスクリーン)で、落札予想価格500~700万円のところ、落札予想価格上限を超える760万円で落札された。ウォーホルは、他にもポートレート作品を含む3点のシルクスクリーン作品の出品があったが、いずれも落札予想価格内で落札されている。
次いで高額落札となったのは、幻想的な作風が特徴的な日本画家・高山辰雄のLOT.31《日輪》(61.4×81.1cm<25号>、絹本・彩色)。落札予想価格150~250万円のところ、落札予想価格上限の2.24倍、560万円の高値がついた。オリジナル作品がセールにかけられることは珍しく、注目を集めた。
高額かつ落札予想価格を大幅に上回った作品がLOT.43 《ガンダーラ仏坐像》(H86.5×W49.5×D16.0cm)。波型の頭髪や両肩に袈裟をかけて覆う(通肩)姿など、ギリシャ彫刻の影響を多く受けたといわれているガンダーラの仏像彫刻の流れを汲んだ坐像は、落札予想価格15~25万のところ、落札予想価格上限の19.2倍となる480万円の高値がつき、会場を沸かせた。
「もの派」を代表する作家として活躍した現代美術家、彫刻家である関根伸夫(せきね・のぶお、1942-2019)にスポットを当てる。
関根は、1968年に開催された野外彫刻展に出品した《位相-大地》が、国内外で高い評価を受け、その名が知られるようになった作家で、以降も「位相」の概念をテーマに平面や立体、インスタレーションなど様々なスタイルで作品を発表している。中でも、1978年から発表された「位相絵画」という絵画シリーズは、関根の画業を象徴する代表的な作品シリーズとなっている。
「位相絵画」は、和紙などを重ね合わせた支持体にキズや切れ目、しわなどをつけて、その上に金箔や黒銀箔でコーティングする手法で制作され、「位相」の概念を空間としての絵画に表現した作品である。
本セールでは、6、15、25、30号とサイズが異なる5点の「位相絵画」の出品があった。
落札予想価格内で落札された作品が3点、落札予想価格上限を超えて落札された作品が2点だった。その中から、落札予想価格35~45万円のところ、54万円で落札された6号サイズの「位相絵画」、LOT.128《G6-91 One Page》に焦点を当て、分析する。
関根の位相絵画6号サイズの最近の5年間のパフォーマンス指標をみてみると、2016~2019年までの落札価格平均は、多少の上下動がありつつも、落札予想価格内で推移していることがわかる。2020年に顕著な上昇があり高騰しているようにも見受けられるが、これは、多色使いの珍しい作品の出品があった為と推察される。
今回の出品でも、色を使った作品LOT.124《G15-313四つの場所》(15号)が、落札予想価格60~80万円のところ、115万円で落札という好結果を残している。作品の特異性により、大きな上昇をみせることを考慮しても、落札予想価格内で順当に推移しており、安定した銘柄であることがわかる。
●次回のマレットオークション開催予定●
2021年1月28日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp
会場: SBI Art Auction / ライブ配信型オークション
セール: LIVE STREAM
日時: 2020年10月3日(土曜日)13:00~
落札総額: 231,040,750円(落札手数料込み)
落札率: 92.8%
作品数: 作品数:346点(落札321点、 不落札25点)
今回は10月3日(土)に開催された「SBI Art Auction Live Stream」をレポートする。Live Streamは、会場を使用しないライブ配信型のオークションで、同形式の開催は8月に続き2回目となる。PCやスマホの画面越しにオンラインもしくは電話でオークションに参加ができる気軽さで、前回のオークションでの全体落札率は、94.1%と好記録を残している。
本セールでは、国内外作家101名、346作品がセールにかけられた。出来高は、全体落札総額2億3104万750円(落札手数料込み・以下同)、全体落札率は92.8%であり、前回同様90%越えの活況なセールとなった。
当日のアクセス数が最も多かった作家は、TIDE(LOT.039-041)、小松美羽(LOT.068-070)、Mr. Doodle (LOT.047-049)だった。次いで、KYNE、MADSAKI、山口歴、Backside works.、井田幸昌、Kaws、ロッカクアヤコ(版画)と続く。いずれも活発な競りが行われ、落札予想価格上限を超えた金額での落札となっている。
最高額で落札されたのは、TIDE(IDETATSUHIRO)のLOT.040《TWO OF US》(F100号、アクリル・キャンヴァス)。ネコをモチーフとしたキャラクターのモノクロ作品(CATシリーズ)で、落札予想価格100~150万円のところ、5060万円で落札された。TIDEのCATシリーズは、LOT.041《STRANGER IN BED》(F30号、アクリル・キャンヴァス)、LOT.039《ANGRY CAT》(45×45㎝、シルクスクリーン)と、連続で出品されたが、全て落札予想価格上限を大幅に上回る金額で落札され、セールは大いに盛り上がった。
TIDEは、以前IDETATSUHIROの名前で活動を行っていたが、TIDE(タイド)と名義を変えている。オークション開催日前日からは、名義変更後初となる個展を神宮前で開催していた。作品に対しての注目度も高く、その勢いはセールにも反映される結果となった。
今回は、ロンドン生まれのストリート・グラフィティアーティストSTIK(スティック、1979-)にスポットを当てレポートする。
スティックは、6本のラインと2つの点だけで構成された人物像(棒人間)を代表的なキャラクターとして描き、ロンドンの街の壁やビルに多くの作品を残している。性別や人種、年齢の概念を持たないその人物像は、メッセージを含み持ち、鑑賞者の心を惹きつける。
本セールでは、赤、青、黄色、オレンジを背景に棒人間が描かれた作品LOT.192《Sassy》(各55×20.5cm、オフセット印刷)が出品され、落札予想価格15~25万円のところ、39万1000円で落札された。落札予想価格上限を超える好結果となった。
同作家の同一作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、2017年にオークション市場に登場して以来、ほとんどの作品が落札予想価格上限より高い価格で落札され、落札価格の平均も緩やかなペースで右肩上がりに推移している。落札中央値の推移を示す落札価格による時価指数でも同様の動きを見せている。スティックの作品の中でも、手堅い作品銘柄といえるだろう。更なる上昇をみせるのか、動向を注視していきたい。
注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、該当作品は2017年からオークション市場に登場している為、2017年~2020年のデータをグラフ化している。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
2021年1月29日(金) 1月30日(土)
会場:ヒルサイドフォーラム
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F
TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777
E-mail:artauction@sbigroup.co.jp
会場: マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)
セール: SALE#200910
日時: 2020年9月10日(木曜日)15:00~
落札総額: 124,970,000円(落札手数料含まず)
落札率: 77.5%
作品数: 作品数:209点(落札162点、 不落札48点)
今回は9月10日(木)に開催されたマレットジャパンのオークションについてレポートする。
マレットジャパンは、ジャンルにとらわれることなく、国内作家の高額作品および、国際市場性のある海外作家の高額作品を重点的に取り扱う、国内の主要なオークションハウスのひとつである。
本セールでは、国内外作家118名(国内:65名、海外:53名)209作品がセールにかけられた。出来高は、落札総額1億2,497万円(落札手数料含まず、以下同)、落札率は77.5%だった。
ロッカク アヤコ(1982年~)のキャンバス作品LOT145(180.0×140.6㎝)が、落札予想価格1,200~1,700万円のところ、2,000万円で落札された。今回のオークションでは最高額での落札となり、安定した人気である。
また前回のレポートでもコメントしたミスター・ドゥードゥル(1994年~)のキャンバス作品が2点出品され、LOT142「A Piece of ‘Rainbow Doodle’」(30.0×30.0㎝)は落札予想価格40~60万円のところ255万円、もう一点のLOT143「Doodling」(15.0×15.0㎝)が落札予想価格10~15万円のところ60万で落札された。ミスター・ドゥードゥルはイギリス出身のアーティストで2019年東京アートフェアに登場し、ハローキティとコラボレーションした作品は即完売、市場で話題の作家である。
今回は現代アートのマーケットでも高く評価されている陶芸家 桑田卓郎(くわた たくろう・1981年~)についてレポートする。
本セールでは、「ろくろ」を用いず制作した大ぶりの楽茶椀1点が出品された。LOT167「金彩垸」(高9.0cm 径12.1cm)で、落札予想価格10~15万円のところ、26万円で落札された。
桑田卓郎は1981年広島に生まれ2002年より陶芸家・財満進に師事、現在は岐阜県土岐市に工房を構えて活動している。古来の技法に独創性とポップな色彩表現を加え、伝統的な技術と美しさを蘇らせる作品を数多く制作しており、釉薬が粒状や縮れ状になる技法をデフォルメしつつわかりやすく伝える作風を特徴としている。
同作家の陶芸作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、2017年にオークション市場に登場して以来、ほとんどの作品が落札予想価格上限より高く落札されている現在活躍中であり、未だオークション市場での出品作品数はさほど多くない。手にとりやすい「ぐい呑み」などの小品に比べ、大振りの「茶碗」は制作に時間を要し、作家本来の持ち味が楽しめるため、人気度を測る上で参考になる。高額な大型作品が出品された時に、落札平均や中央値が大幅に左右されてしまうことがあるが(2020年はぐい吞みなどの低価格の小ぶりな作品の出品が多い)、今後も価格上昇が見込める作家と考えられる。
注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、桑田卓郎の作品は2017年からオークション市場に登場している為、2017年~2020年のデータをグラフ化している。
次回のマレットオークション開催予定
2020年11月19日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777 FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp