セール:第81回 SBIアートオークション
A Passage from the Important Japanese Collection
日 時: 2026年5月30日(土)12:00~
会 場: 代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
落札総額: 182,326,750円(落札手数料を含む)
落札率: 100.0%
作品数: 251点(落札251点、不落札0点)
SBIアートオークションは5月後半、2週にわたり大規模なセールを開催した。初週の22日(金)・23日(土)に行われた「Modern and contemporary Art」では、国内外の近現代アートが多彩に紹介された。翌週30日(土)開催の「A Passage from the Important Japanese Collection」は、
ひとりのコレクターが集めた作品を公開する特別セールである。そのコレクションには、伝統的な浮世絵や日本画をはじめ、現代美術、写真作品、立体表現など、幅広いジャンルの作品が含まれており、コレクターの審美眼と選択の傾向がそのまま反映された、まとまりと奥行が感じられる構成となっていた。
ここからは、特別セール「A Passage from the Important Japanese Collection」に注目し、レポートする。本セールの落札総額は1億8232万6750円(落札手数料を含む)を記録。落札予想価格下限~中間帯の価格で落札される作品も多く見られたが、全ロットが落札され、落札率100%という極めて高い結果を示した。トップロットとなったのは、セール終盤で出品されたLOT.227ジョルジョ・デ・キリコの《イタリア広場》(油彩・キャンバス、39.9×49.7㎝)である。落札予想価格2000~3000万円に対し、3600万円で落札された。デ・キリコは、20世紀美術の流れを変えた「形而上絵画(メタフィジック・アート)」の創始者として知られる。本作は、彼が繰り返し描いた代表的モチーフであり、形而上絵画を象徴する作品群のひとつである。国際的なブルーチップ作家である一方、国内オークションへの出品自体が極めて稀であり、希少性の高い優品の登場に大きな注目が集まった。次いで、加山又造、棟方志功、鴨居玲といった国内の著名作家による作品が500万円前後で落札され、ミドルレンジでも堅調な動きがみられた。こうした動きの中で、浅野弥衛10点、浜口陽三22点というまとまった点数の出品もあり、両者の作品群はセール内で存在感を示した。いずれの作品も予想価格を超えて落札され、セール盛会の後押しとなった。
今回は、香月泰男(かづき・やすお、1911~1974)にスポットを当てる。香月は、戦争体験を深く作品に反映させた昭和を代表する洋画家の一人である。シベリア抑留の体験をもとに描いた《シベリア・シリーズ》は、香月の画業を象徴する作品として広く知られている。
本セールでは、中盤に2点の出品が見られた。LOT.094《木版画集「タヒチ」》(木版画8点・オリジナルケース、ed.100)は、落札予想価格内の20万円で落札された。続くLOT.095《菊花》(油彩・キャンバス、33.5×21.4㎝)は、落札予想価格200~300万円に対し、400万円で落札されている。香月は晩年に静物画を集中的に制作しており、本作もその流れに位置づけられる。暗い背景と黄土色の下地に黄色い一輪の菊を配置した簡潔な構図で、静けさが宿る一作である。
本作と類似する作品の落札結果を抽出したACFパフォーマンス指標から、市場動向を確認する。
落札予想価格は、2019年・2020年の両年で225~325万円の価格帯が設定され、2021年には300~400万円へと引き上げられ、2024年も同水準で推移した。2026年に入ると予想価格は200~300万円へと下方修正されている。一方、落札価格は、2019年から2024年まで325万円前後で推移しており、市場の底堅さがうかがえる。2026年には落札予想価格が下方修正されたにもかかわらず、落札価格は400万円に達し、予想上限を大きく上回る結果となった。落札の推移からは、香月への安定した評価がうかがえ、今後の動向にも関心が寄せられる。
※本レポートに記載の落札価格は、手数料を含まないハンマープライスです。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第83回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2026年9月11日(金)・12日(土)
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
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