セール: 第73回 SBIアートオークション Modern and Contemporary Art
日 時: 2025年7月12日(土)・13日(日)両日12:00~
会 場: ヒルサイドフォーラム(東京・代官山)
落札総額: 637,531,250円(落札手数料含む)
落札率: 91.1%
作品数: 369点(落札336点、不落札33点)
2025年7月12日(土)・13日(日)の2日間にわたり、SBIアートオークションによる現代アートのオークション「Modern and Contemporary Art」が東京・代官山のヒルサイドフォーラムで開催された。
絵画や版画、彫刻、インスタレーションなど、多彩なジャンルの作品が計369点出品され、そのうち336点が落札された。2日間の総落札額は6億3753万1250円(落札手数料含む・以下同)に達し、落札率は91.1%という好成績を記録した。
初日は高額作品を中心に195点が出品され、落札総額は5億5809万5000円、落札率は89.2%を記録。これに対し2日目は、比較的手頃な価格帯の作品を中心となり、174点が出品された。落札総額は7943万6250円、落札率93.1%と、こちらも高い成果を上げた。
2日間にわたるセールで最高額を記録したのは、草間による代表的なモチーフである黄色い南瓜を描いた作品、LOT.079《南瓜(FPZ)》(アクリル・キャンバス、15.8 × 22.7㎝)で、落札予想価格内の7245万円で落札された。次いで、アンディ・ウォーホルによるLOT.039《CHANEL, from Ads (F. & S. Ⅱ.354)》(シルクスクリーン、96.5 × 96.5 ㎝)が3680万円で落札され、高額取引となった。これにさらに、ロッカクアヤコ、松山智一、KYNEといった現代アーティストの作品も大きな関心を集め、いずれも1000万円を超える価格で落札されるなど、セール全体に活気をもたらした。
中でもひときわ脚光を浴びたのは、小松美羽の代表的な神獣シリーズの立体作品である。LOT.108《1. 山犬様 和になる ユニコーン/2. 山犬様 和になる パイコーン》(金箔・アクリル・FR、各約50㎝前後)は、落札予想価格250~350万円を大きく上回る1322万5000円で落札され、作品の霊的な存在感と芸術的価値の高さを印象付ける結果となった。
今回は、ヤノベ ケンジ(1965-)に焦点を当てる。ヤノベは、SF的世界観と社会批判を融合させた造形作品を展開している現代美術作家である。京都芸術大学の教授として教育にも携わり、創造工房「ウルトラファクトリー」のディレクターも務めている。代表作には、《アトムスーツ》《SHIP’S CAT》《サン・チャイルド》などがあり、国内外で高い評価を受けている。
本セールでは、2日目に2点の立体作品が出品され、どちらも落札予想価格上限を超えて落札された。中でもLOT.298《ミニ・ジャイアント・トらやん》(ミクストメディア・ソフトビニール、71.0×42.0×35.0㎝、Ed.100)は、落札予想価格10~15万円に対し、60万9500円で落札され、落札予想価格に対し、最も際立つ伸びを見せた作品となった。
同作品の過去の落札データをもとにしたACF美術品指標で動向を分析すると、2020年以降、落札予想価格は平均して10~15万円前後でほぼ横ばい推移している。それに対し、落札価格は年ごとに変動が見られ、2020年の45万円を起点に、25万、35万、31万、そして今回の60万円と、上下に揺れながら幅のある推移を見せている。落札価格には変動がみられるものの、常に落札予想価格を上回っており、市場において根強い支持を集めていることがうかがえる。
ヤノベの作品は、芸術祭や公共空間での展示も多く、今後も幅広い層から関心を寄せられるだろう。さらなる活躍と共に、その動向にも一層の期待が高まる。
●次回のSBIアートオークション開催予定●
第75回 SBIアートオークション Modern and Contemporary Art
2025年10月25日(土)・26日(日) 会場(予定):ヒルサイドフォーラム
【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社
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