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オークションレポート

2021.06.28
【4/23・24】SBIアートオークション

会場: 代官山ヒルサイドフォーラム

セール: MODERN AND CONTEMPORARY ART

日時: 2021年4月23日(金曜日)15:00~

2021年4月24日(土曜日)13:00~

落札総額: 1,038,570,750円(落札手数料含む)

落札率: 96.9%

作品数: 319点(落札309点、不落札10点)

 

今回は、4月23日(金)・24日(土)の2日間に渡って開催されたSBIアートオークションについてレポートする。前回のオークションはライブ配信型のオークションだったが、今回は、代官山のヒルサイドフォーラムを会場とし、従来通り、観衆の中で開催された。出来高は、落札総額10億3857万750円(落札手数料含む・以下同)、落札率は、96.9%に達した。落札予想価格上限を超えて落札された作品が、全体の63%を占め、非常に活気に満ちたオークションとなった。

1日目は、落札予想価格平均75~116万円程度の作品が149点出品された。草間彌生や奈良美智の版画作品、李禹煥や関根伸夫など“もの派”として知られる作家の作品を中心に勢いのある若手作家作品がセールにかけられた。落札139点、不落札10点、落札率93.3%。単日の落札総額は、2億3005万7500円だった。初日、最高額で落札されたのは草間の富士山を描いた7点組の木版画LOT.083《七色の富士》で、落札予想価格2000~3000万円のところ3450万円で落札された。草間は、他にも代表的なモチーフとなる《かぼちゃ》を含む10点にも及ぶ版画作品の出品があったが、いずれも落札予想価格を上回る価格で落札され、変わらぬ人気をみせた。

2日目には、アンディウォーホル、バンクシーなどの海外作家やオークションではお馴染みとなったロッカクアヤコ、山口歴などの作家を中心に、落札予想価格平均168~278万円程度の作品が170点出品された。落札総額は8億851万3250円まで伸び、不落札は0点、落札率100%と記録的なセールとなった。最高額で落札されたのは、オークションカタログの表紙に採用されていた奈良美智のオリジナル作品LOT.217 《Lollipop》(41.5×35.5cm、アクリル/紙)。ロリポップキャンディを咥えている三白眼の大きな目の少女を描いた本作は、自身の画集第2弾「Slash with a knife」の表紙を飾った作品で、注目度も高く、白熱した競りを見せた。落札予想価格1500~2500万円のところ、7705万円まで競り上がり、落札予想価格上限の約3倍まで高騰した。

アクセス数が最多となったのは、奈良美智、くらやえみ、大谷工作室、LYとなっており、次点に、Haroshi、金昌烈(キム・チャンギョル)、平子雄一、ロッカクアヤコ、花井祐介、朴栖甫(パク・ソボ)、KYNE、ジュリアン・オピー、ダミアン・ハーストが名を連ねた。国内の新進作家や韓国の作家のランクインが目立った。近年、韓国ではアートシーンが活気づいており、2022年には世界的なアートフェア「フリーズ」がソウルで開催されることが決まっている。韓国のアートマーケットへの注目が集まっているようだ。

今回のセールで、最高額での落札となった奈良美智(なら・よしとも、1959‐)にスポットを当て、レポートをする。奈良は、少女や動物などをモチーフとした作品を絵画、彫刻、インスタレーションなど多彩な表現方法で発表している。ネオポップアートを代表する作家のひとりして、世界的にも高い評価を得ている。

本セールでは、18点(杉戸洋とのコラボレーション作品2点を含む)の出品があった。いずれの作品も、落札予想価格内もしくは落札予想価格上限超えて落札されており、安定銘柄となっている。
奈良については、2018年2月にシルクスクリーン作品「Star Island」に焦点を当て、レポートしているが、今回は、LOT.073《Broken Treasures》(42×29.5㎝、木版画、ed.50)をピックアップし、同一作品の出品データを抽出した2017~2021年(※1)のACF美術品パフォーマンス指標より、その動向を読み解く。

2106ACF美術品パフォーマンス指標

2106ACF美術品時価指数

落札予想価格は、2017年に130~210万円でスタートし、以降2021年まで、落札予想価格200~300万円で設定されている。2018年のみ落札予想価格内での落札となるが、2019年以降は落札予想価格上限を超えて落札され、全体的に右肩上がりで推移している。2021年では460万円までの高騰がみられた。今回の落札結果(落札予想価格250~350万円、落札価格552万円)を踏まえても、上昇傾向にあることがわかる。

6月20日には、台湾で初開催された個展「奈良美智特展」が閉幕したばかりである。盛況を博した展示は、台湾各地の美術館を巡回することも決まっている。グローバルで活躍する作家の活動、活動から広がるマーケットの動向を今後も注視していきたい。

※1:2021年は、1月までのオークションデータを用いてグラフ化している。

●次回のSBIアートオークション開催予定●
第45回SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
2021年7月3日(土)13:00~
2021年7月4日(日)13:00~

【お問合せ先】SBIアートオークション株式会社

〒135-0063 東京都江東区有明3-6-1 TFTビル東館7F

TEL:03-3527-6692  FAX:03-3529-0777

E-mail:artauction@sbigroup.co.jp

 

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