会場: マレットジャパン オークションハウス
セール: SALE#221201 Modern and Contemporary Art
日時: 2022年12月1日(木曜日)14:00~
落札総額: 158,940,000円(落札手数料含まず)
落札率: 73.57%
作品数: 227点(落札167点、不落札60点)
マレットジャパンのオークションが2022年12月1日(木)に開催された。国内外136名の作家による作品が227点出品された。近現代美術から幅広いジャンルの作品を取り揃えた本セールの出来高は、落札総額1億5894万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率73.57%を記録している。
最も注目を集めたのは、1920年代に活躍した東欧前衛派の幾何学的抽象画家ヘンリク・ベルレウィの作品LOT.218《Méditerranée Opus II》(89.0×115.5㎝、キャンバス・油彩)。落札予想価格30~40万円のところ、960万円で落札された。落札予想価格上限の24倍となる大幅な伸びで会場を沸かせた本作は、今回のセールの最高落札額作品にもなっている。
次いで高い伸び率を見せた作品は、インド出身の現代美術家サクティ・ボーマンの作品LOT.216《音楽家》(油彩・キャンバス、40.0×32.0㎝)で、落札予想価格60~80万円のところ、落札予想価格上限の約4倍の325万円で落札された。国内オークションでの出品が希少な海外作家によるユニーク作品の騰勢が目立つセールとなった。他、次世代を担う注目の若手作家のひとりである中村桃子の女性と花をモチーフにしたユニーク作品LOT.150 《静かなからだ》、LOT.151《消せない女》や、重要無形文化財「型絵染」の保持者(人間国宝)である工芸家芹沢銈介のLOT.133《法然上人絵傳》などが好調だった。いずれも落札予想価格上限の2.5~3倍程度の価格で落札されている。
日本を代表するコンセプチュアル・アーティスト、河原温(かわら・おん、1932-2014)に焦点を当てレポートする。時間や空間などを主題とし文字や数字を用いて制作された河原の作品は、国際的にも高い評価を受けている。代表作のひとつに1966年から描き始めた「Today」シリーズがある。単色平塗りの地に白い文字で制作日の日付を、その時に滞在していた場所の言語で表記した作品は「日付絵画」とも呼ばれ、3000点以上の作品が残されている。
今回出品されたのは「I Got Up」シリーズからの1点である。「I Got Up」は、日付、その日の起床時間、受取人、差出人である河原の名前と滞在場所をスタンプで記したポストカードを1960年代後半から約10年間にわたり知人や関係者である特定の人物に送り続けた連作で、ポストカード1枚そのものが作品となっている。
LOT181《「I Got Up」シリーズより》(8.9×14.0㎝、ポストカード・スタンプ)は、落札予想価格50~80万円のところ、190万円で落札された。同一シリーズ作品の2014~2022年のオークションデータを抽出したACFパフォーマンス指標*で動向を読み解く。
落札予想価格は、2014年30~40万円程度から始まり、2017年には30~50万円程度に推移する2018年には上昇するが、以降2022年までは50~80万円の横ばい推移となっている。落札価格は、2014年の40万円で始まり、2年ぶりの出品となった2017年では、110万円程度まで上昇を見せる。以降2018年と2019年は、100万円前後で上下動する。そして、また2年ぶりの出品となった2022年では2019年の倍となる200万円程度まで落札価格を伸ばした。久しぶりの出品の都度大きく落札価格を上昇させている。不落札も無く、常に落札予想価格上限を上回る価格で落札されている人気の作品である。2022年の伸びがそのまま続き200万円台で推移するのか、落札予想価格付近の100万円台に転じることになるのか、今後の動向を注視していきたい。
*: 2015、2016、2020、2021年は出品データが無かった為、除いてグラフ化している。
●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2023年3月2日(木)11:00~ M-Live(オンライン)オークション
2023年3月2日(木)15:00~ マレットオークション
会場:マレットジャパン オークションハウス
※YouTubeのライブ配信やオンラインによる同時入札も行っています。
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