いかなる投資にも、リスクはつきものです。美術品投資の場合でも例外ではありません。ここでは、美術品投資で気をつけるべき4つのリスクについて説明します。
リスク 1換金性リスク
資産として美術品を見た場合、①換金性のある美術品と、②換金性の無い美術品の2つに分類されます。減価償却制度を利用して残価を期待する場合、資産の換金性の有無が一番大切なポイントになります。
美術品を換金する場合、保有する美術品を美術品市場で売却することになります。そのため、保有する美術品が、美術品市場で売却が可能な作品銘柄であることが大切です。あるいは換金しやすい作品銘柄であるか否かが重要になってきます。
換金性が低かったり無かったりした場合、美術品投資でのメリットは、展示と節税だけに制限されてしまいます。
リスク 2信用リスク
美術品の市場価値は、それを制作した作家の市場での人気度という信用に支えられているといっても過言ではありません。市場での作家の人気度ですが、時の経過により大きく変動することがあります。
かつて、人気があった作家が、その没後に市場での人気が落ちてしてしまう例は枚挙にいとまがありません。しかし、その知名度だけは巷間に残っていたりもします。その知名度だけで判断して、人気があった頃の価格で作品を購入してしまうと、実際の市場価格よりも高値買いをすることになり、減損のリスクを抱えてしまうことになります。
リスク 3価格変動リスク(値下がりリスク)
美術品投資の醍醐味は、作品価格の値上がりにあるとも言えます。一方で、常に値下がりのリスクも覚悟しておかなければなりません。
いくら事前に作品の資産性について十分な調査をしても、国内外の経済情勢による影響により、価格の値下がりを防ぐことができない場合もあります。しかし、美術品は基本的に長期保有に向いたアセットクラスでもあり、長期保有により値下がりのリスクをヘッジすることもできます。長期保有を可能にするのが、8年間あるいは15年間の償却期間による減価償却制度なのです。
リスク 4高価買いリスク(安値売りリスク)
作品を時価よりも割高な価格で購入してしまった場合、その購入時点で既に大きなキャピタルロスの原因を作ってしまうことになります。同様に、作品の売却時に、時価よりも割安に売却してしまった場合にもリスクがあります。それらのリスクを回避するためには、作品の購入、売却時での、綿密な調査が必要になります。