会場: SBIアートオークション(代官山ヒルサイドフォーラム)
セール: Modern and Contemporary Art
日時: 2019年7月27日(土曜日)13:00~
落札総額: 584,786,500円(落札手数料含む)
落札率: 88.1%
作品数: 落札422点、 不落札57点
8月は、アートオークション(メインセール)の開催が無かった為、前回のレポートに引続き、7月27日(土)に代官山ヒルサイドフォーラムで開催されたSBIアートオークションをレポートする。SBIアートオークションは、主に国内外作家の現代美術作品を取り扱う、国内で主要なオークションハウスである。
まず、前回からの繰り返しになるが、オークションの出品情報の詳細をまとめる。
国内外作家216名(多作家・共作出品は1名でカウント)、479作品がセールにかけられ、その内訳は 絵画・版画・写真作品325点、立体・彫刻・その他(グッズ含む)154点となっている。出来高は、落札総額5億8478万6500円(落札手数料含む、以下同)、 落札率は88.1%に達した。落札予想価格の上限を超えて落札された作品は、全体の40%を占め、総じて活況なセールとなった。
今回は、1960年代末から70年代初めにかけて起きた芸術運動「もの派」の中心人物として知られている菅木志雄(1944-)をクローズアップする。
菅は、木や石、紙、金属、布など身近でシンプルな「もの」を素材とし、空間・物の在り方・事柄など本質的な問いを主題に多くのインスタレーションを発表している。
国内だけでなく、海外でもその評価は高く、ポンピドゥー・センター、グッゲンハイム美術館、サンフランシスコ近代美術館などで開催された展覧会でも、数多くの作品が出展されている他、ダラス美術館、スコットランド国立美術館などの美術館にも作品が収蔵されている。
今年の6月には、東京・六本木の小山登美夫ギャラリーで個展『測られた区体』が開かれるなど、75歳を迎えた現在も、自身の世界観に満ちた作品を生み出し続けており、現在もその活動が注目されている。
今回のセールでは、5点のオリジナル作品が出品された。
1975年に制作された光沢紙による平面作品の「〈依界〉シリーズ」は、落札予想価格30~50万円のところ、36万8000円で落札された。1999年に制作された木と塗料を使ったレリーフ状の平面作品「耕識」「耤置」の2作品は、落札予想価格25~35万円に対し、落札予想価格上限越えの39万1000円で落札。1988年制作の水彩ドローイング作品「満ちる周囲」は、落札予想価格10~15万円のところ、12万6500円で落札された。
1979年に制作されたアクリル、紙、板を使った平面作品の「界入差」は、落札予想価格40~70万円のところ、落札予想価格上限の約2.14倍の149万5000円で落札され、予想を大きく上回る結果となった。
2014~2019年までの国内主要オークションに出品された、今回の出品作品と形状が比較的近いオリジナル平面作品(サイズ80㎝未満)を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、2014年の落札価格の平均が30万円台だったのに対し、2015年には68万円台まで急激に高騰している。
高騰を後押しした作品のひとつに今回も出品があった「〈依界〉シリーズ」が挙げられ、同オークション10月に開催されたセールでは、落札予想価格80~120万円のところ、落札予想価格上限の約2倍の247万2500円で落札されていた。その当時の注目の高さがうかがえる。
以降2016年~2018年までパフォーマンスは下降傾向に転じるが、2019年に入り、落札価格平均が落札価格上限平均を上回るなど、再び上昇している。落札価格平均は、落札予想価格上限ラインを上下動しながら推移しており、落札予想価格下限を下回ることはなく、安定している。
2019年の上昇傾向がどこまで続いていくのか、今後の動向を期待したい。
次回のSBIオークション開催予定
2019年10月26日(土)HARAJUKU Auction
2019年11月2日(土) Modern and Contemporary Art
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
【お問い合わせ先】
SBIアートオークション株式会社
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