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オークションレポート

2021.04.28
【3/18】マレットジャパン(マレットジャパンオークションハウス)

会場:  マレットジャパン オークションハウス

セール: SALE#210318

日時:  2021年3月18日(木曜日)14:00~

 

落札総額:  163,010,000円(落札手数料含まず)

落札率:    78.7%

作品数:    226点(落札178点、 不落札48点)

 

3月18日(木)に開催されたマレットジャパンの近現代美術のオークションをレポートする。
国内作家63名、海外作家54名による作品がセールにかけられ、その内訳は、絵画作品62点、版画作品(写真含む)151点、その他、陶芸やブロンズなどの立体作品13点、合計226点となっている。出来高は、落札総額1億6301万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は78.7%。落札された作品の半数近くが、落札予想価格上限を超える価格で落札された。

最高額で落札されたのは、ロッカクアヤコの少女と猫を描いたオリジナル作品LOT.93《作品》(100.4×100.2㎝、キャンバス・アクリル)で、落札予想価格800~1300万円のところ、落札予想価格上限の約1.7倍となる2200万円の高値で落札された。ロッカクアヤコは他にも4点1組の版画集《早生まれ行進曲》が1点ずつ個別で出品されていたが、いずれも落札予想価格100~150万円のところ、落札予想価格上限を超えて落札されている。国内外での評価も高く、市場で安定した人気を誇る作家となった。
次いで高額落札となったのは、バンクシーが、「硫黄島の星条旗」という報道写真をモチーフに制作した作品LOT.32《Flag(Silver)》(46.9×66.7㎝、シルクスクリーン)で、落札予想価格300~400万円のところ、落札予想価格上限の約1.6倍となる640万円で競り落とされた。バンクシーはロッカクアヤコ同様、継続的に支持を得ており、国内外のオークションでお馴染みの作家である。

今回は、イギリス出身の現代美術家ジュリアン・オピー(1958-)にスポットを当てる。
オピーは、絵画だけでなく、立体、映像、インスタレーションなど様々な表現方法で作品を発表している。人物や風景を点や太線で簡略化し描いたピクトグラムのような作品が特徴的で、シンプルな描画と色彩からなる確立された作風は評価も高く、世界中の主要美術館に作品が所蔵されている。

本セールでは、4点の出品があった。一番高額で落札されたのは、見る角度によって絵柄が立体的になり、動いて見える表現が可能となるレンチキュラーパネルに点と太線で抽象化された女性が描かれた作品LOT.33《Sara Dancing in Sparkly Top》(レンチキュラーアクリルパネル、インクジェット)で、落札予想価格250~350万円のところ、290万円で落札された。オークションの事前情報でも、絶え間なく変化する図が興味深い注目作品として取り上げられた1点で、関心度は高かったと思われる。
他、LOT.30《Watching Suzanne(back)No.2》(アクリルパネル、シルクスクリーン)は、落札予想価格100~150万円のところ、150万円で落札。続くLOT.31《New York Couple 2:「New York Couples」より》(シルクスクリーン、コラージュ)は150~200万円のところ、160万円と、いずれも落札予想価格内で落札された。オークションの後半でセールにかけられたLOT.173《Woman taking off man’s shirt, 2003》(シルクスクリーン)は、落札予想価格15~25万円のところ、落札予想価格下限に届かない10万円での落札となった。本作は、無限定の版画作品であり、希少性が低いため、予想価格設定も低めである。

LOT.30《Watching Suzanne》の価格の推移を分析する。
《Watching Suzanne》は、女性の身体を力強い線で描いた作品で、後ろ姿(back)と前からの姿(front)の2種類あり、それぞれ10点セットで発表されている。オークションでは今回のように1点で出品されることが多い為、1点での出品を基に、近年最後の出品となった2018年から5年間遡り2014年までのデータをグラフ化した。ACFパフォーマンス指標をみてみると2016年に下降をみせるも、常に落札予想価格上限を上回り推移している。2017年には、2015年と並ぶまでに回復し、2018年には、更に右肩上がりの推移となっている。今回の落札結果からも上昇トレンドであることがわかる。

2104ACF美術品パフォーマンス指標

2104ACF美術品時価指数

好調な作品がある一方でLOT.173《Woman taking off man’s shirt, 2003》のように落札予想価格に届かない低調な作品もある。LOT.173は、ここ最近の出品では不落札が続いていた為、落札予想価格も下降傾向にあった。
作家の人気動向だけではなく、作品の種類や技法、希少性を把握したうえで、動向を細かく注視していくことが重要であると考えられる。

●次回のマレットジャパンオークション開催予定●
2021年5月20日(木)14:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。

【お問合せ先】
株式会社マレットジャパン
〒135-0016 東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F
TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778
E-mail:info@mallet.co.jp

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