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オークションレポート

2018.12.26
【12/26】SBIアートオークション(原宿オークション The Flat)

会場:          SBIアートオークション(原宿オークション The Flat)

セール:        Harajuku Auction: Pop-life/Pop-ism

日時:          平成30年11月3日(土曜日) 17:00~

 

落札総額:   367,356,000円 (Premium込み)

落札率:     87.8%

作品数:     落札137点、不落札19点

 

今回は、前回のレポートでお伝えしたSBIオークションの翌週に、2週にわたり同オークションで開催された後編セールとして、原宿で開催されたオークション「Harajuku Auction: Pop-life/pop-ism」についてレポートする。

SBIオークションは現代アートを取り扱うオークションハウスであるが、今回はグラフィティ・アートからデザイン、ポップ・アートも含めたライフスタイルとしてのアートを特集したオークション開催となっており、大変注目を集めた。会場は、用意された1階フロアーは満席で、会場2階、また外にまで人があふれ盛況な中でのオークション開催となっていた。

 

今回は国内作家作品36点、海外作家作品120点の合計156点がセールにかけられ、その内訳は絵画作品(写真等含む)121点、立体彫刻作品その他(グッズ等も含む)35点となっている。

 

出来高は、落札総額が367,356,000円(落札手数料15%含む)、落札率は87.8%であり、前週に開催された同オークション時より3%ほど上回っている。平均落札単価は前週開催時より、67万円アップのおよそ268万1000円となり、良品や注目作品の出品が多かったことをうかがわせる。また出品落札予想価格の上限を超えて落札された作品は全体の66.4%にのぼり、前週開催時の36.0%を大きく上回っている。また、落札価格総額は落札予想価格上値の総額に対し158.2%という好結果を残した。

これらの数字を見てみると、今回、新たな試みとして開催されたSBIオークションの「原宿オークション」は成功に終わったとみてよいだろう。

 

今回のセールで印象的だったのが、オープニングから前半にかけて、新鋭の作家たちの作品が出品され、予想を超える高値で落札されていたことだ。

 

オープニングには福岡を拠点に活動するイラストレーターKyneの作品3点出品された。Kyneの作品はオークション市場にはほとんど出品されたことがない。主なモチーフはモノクロの女性の肖像画で、大手企業の広告に使用されたり、アパレルメーカーとのコラボ、CDジャケット等を多く手掛けたりしている。また、都内などの繁華街の電柱や街頭ポール、壁面にステッカーが多数貼られていたりもする。

2017年制作、H116.5×W91.0、キャンバスにアクリルの作品「Untitled」は落札予想価格40~60万円に対し506万円で落札。2013年制作、H23.5×W23.5cm、木製ボードにアクリルの作品「Work」は落札予想価格10~15万円のところ126万5千円で落札。2017年制作、H40.6×W30.3cmの、Kyneと山口 歴のコラボ作品「”STAY GOLD”LIMITED100」については落札予想価格5~15万円のところ120万7500円で落札された。どの作品も会場からのビットが多く入り、かなり白熱した様相であった。どの作品も、予想をはるかに超える高値での落札となったが、今後オークション市場にも出品されると予想される中で今後の値動きに注目したい。

 

スケートボードデッキの廃材を使いオブジェ制作を行っている彫刻家のHaroshi。近年ではニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンでも個展を開くなど注目を浴びている。そのHaroshiの作品が3点出品された。2010年制作のD10.3×H8.0×W8.0の作品「Apple」が落札予想価格50~80万円のところ253万円で落札。2009年制作のD30.5×H20.1×W16.0cm、HaroshiとT9Gのコラボ作品「CAT」は80~150万円の落札予想価格に対し287万5千円で落札。2010年制作、D24.5×H13.5×W13.0cmの作品「SCREMING LEFT HAND」は落札予想価格80~150万円のところ391万円で落札された。今までオークション市場に出品がほとんど無い彼の作品だが、Kyne同様に会場からの多くのビットが入り盛り上がりを見せていた。この作家の作品も今後のオークション市場での動向が大変気になるところだ。

 

過去の当オークションレポートでも紹介した五木田智央の作品も5点出品され注目を浴びていた。2008年制作のともにH60.5×W45.7cmのピグメントプリントの版画作品「Uncovering method」「Weight sensation」の2点組は落札予想価格60~90万円に対し322万円で落札。2016年制作の、ともにH55.5×W46.0cmのステンシルパルプペインティング、ポショワールの版画作品「The Madmen#1」「Dance Party」の2点組は、落札予想価格100~180万円のところ391万円で落札。2007年制作、H41.2×W32.0cmの紙にアクリル、グアッシュの作品「I’m pooped」は落札予想価格80~120万円に対し201万2500円で落札。2007年制作のH41.2×W32.0cm,紙にアクリル、グアッシュの作品「Double Negative」は、落札予想価格80~120万円のところ207万円で落札。2009年制作の194.0×162.0cm、キャンバスにアクリルの大型作品「Stable Mates」は落札予想価格600~900万円のところ1552万5千円で落札。出品されたすべての作品が落札予想価格上限を大きく超える落札価格となっていて、評価が上がっていることを裏付ける結果となっていた。

 

今回のセールに出品された作品の中からピックアップしたいのがイギリスの作家、Banksyだ。ストリートアートをゲリラ的に描くという手法からか、プロフィールを明かさない、謎の多い作家である。作風は政治的なメッセージ色が強く、多くの作品が街中の壁面に描かれている。また、有名美術館に勝手に作品を展示するなどもしており「芸術テロリスト」とも呼ばれている。

そんなBanksyの作品が、今回のセールでシルクスクリーン版画6点が出品された。

2003年制作、H35.0×W100.0cm(シートサイズ)「Weston Super mare」は落札予想価格80~120万円のところ111万5500円で落札。2004年制作、H69.5×W49.5cm(シートサイズ)の「Toxic Mary」は落札予想価格70~120万円のところ161万円で落札。2005年制作のH50.0×W35.0cmの「Soup Can」は落札予想価格80~120万円のところ264万5千円で落札。2005年制作、H45×W64.7cmの「Jack and jill(Police kids)は落札予想価格150~250万円のところ345万円で落札。2003年制作、H67.3×W46.9cmの「Happy Chopper」は、落札予想価格250~350万円に対し747万5000円で落札。2006年制作、H48.0×W68.0cmの「Grannies」は落札予想価格60~90万円に対し212万7500円で落札された。出品6点中5点が落札予想価格上値を大きく超えての落札であり、うち3点が落札予想価格上値の2倍以上での落札となった。

2006年制作の「Grannies」を例に指標(ACF 美術品パフォーマンス指標)を見てみる。この「Grannies」にはエディション500部制作と150部制作の2種類があるが、今回出品されていたのは500部制作の作品である。

この作品の過去5年間の値動きを見てみると、2014年から2016年については、およそ50万円前後の落札価格で横ばいに推移しているが、2017年以降は上昇傾向となり、そのトレンドが2018年も継続したことになる。落札価格中央値(ACF 美術品時価指数)でみると、この2年間で約2倍に上昇しているのが見て取れる。Banksyは2017年に世界一眺めの悪いホテルをパレスチナ側分断壁の前でオープンし注目され、2018そうした話題性も、少なからず最近2年間の落札価格、相場動向に影響したとみてもいいだろう。注目を浴びることで評価が上がった例だが、話題性からの相場上昇トレンドがどこまで続いていくか、今後も注視していきたい。

 

 

次回SBIアートオークションは

2019年2月2日 土曜日 13:00~

代官山ヒルサイドフォーラム

※開催日時、出品作品は事前の告知なしで変更になる可能性があります。

 

【お問い合わせ先】

SBIアートオークション株式会社

〒135-0063 江東区有明3-6-11 TFTビル東館7階

TEL:03-3527-6692 FAX:03-3529-0777  Email:artauction@sbigroup.co.jp

担当:加賀美、塚田

 

Banksy パフォーマンス指標181217

 

Banksy 美術品時価指数181217

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