会場: マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)
セール: SALE 2019.9.27
日時: 2019年9月27日(金曜日)15:00~
落札総額: 116,970,000円(落札手数料含まず)
落札率: 75.8%
作品数: 落札138点、 不落札44点
今回は9月27日(金)に開催されたマレットジャパンのオークションについてレポートする。
マレットジャパンは、国内外作家の市場性のある美術作品をジャンルにとらわれることなく取り扱う、国内の主要なオークションハウスのひとつである。
本セールでは、国内外作家116名(国内:66名、海外:50名)182作品がセールにかけられ、その内訳は 絵画作品71点、版画作品(写真含む)97点、立体・彫刻・その他(グッズ含む)14点となっている。出来高は、落札総額1億1697万円(落札手数料含まず)、落札率は75.8%だった。
ディヴィッド・ホックニーのリトグラフ作品「水のリトグラフ(線、2種類のライトブルーの淡彩)」が、落札予想価格400~500万円のところ、850万円で落札され、今回のオークションでは最高額での落札となった。次いで草間彌生のシルクスクリーン作品「ブドウ」が落札予想価格200~300万円のところ530万円、「黄色かぼちゃ」が予想価格300~400万円のところ480万円という結果で、いずれも落札予想価格上限を超える高額での落札となった。草間彌生は合計5点の出品があったが、うち4点は300万円を越える金額で落札されており、変わらぬ活況を見せている。特に高額落札の「ブドウ」は、ラメを施す制作工程の複雑さから、予定50部の内10部しか制作されなかったというエピソードを持ち、その希少性が結果に反映されたといえよう。
今回は、1955年から具体美術協会に参加し、具体の理念と活動を体現した女性作家田中敦子(1951-2005)に注目し、レポートする。
田中の代表的な作品に、合成樹脂エナメル塗料で塗り分けられた数多くの電球・管球を組み合わせて制作された「電気服」が挙げられる。本人が「電気服」を実際に着用し、舞台上で行ったパフォーマンスなどでも話題を集めた。
1950年代後半からは「電気服」からの展開で、電球や電気配線のデッサンから大小さまざまな大きさの円や曲線・複雑に絡み合う線をモチーフに自身の世界観を描き続けている。主に合成樹脂エナメル塗料を多用し描く、色彩豊かな作品は鑑賞者を魅了する。
2012年には、東京都現代美術館とイギリスのアイコンギャラリー、スペインのカスティジョン現代美術センターとの共同企画で、大規模な回顧展が開催されるなど、国内外での評価も高い。
本セールでは、2002年に制作されたキャンバス・合成樹脂エナメルの12号サイズ作品「02g」が出品された。落札予想価格400~600万円のところ、470万円で落札された。落札予想価格下限に近い落札額ではあったが、470万円の落札金額は、先に紹介した草間彌生の「黄色かぼちゃ」に次ぐ高額落札となっている。
同作家の類似作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標(注1)を見てみると、2014年から2016年にかけての落札価格の平均は右肩上がりに推移している。
2014年の落札平均価格が約617万円に対し、2016年には約799万円にまで上昇している。グラフのデータ外となるが、2015年7月には、同オークションハウスで、2m近い大型作品が1億2000万円(落札予想価格5000~7000万円)の高値で落札されており、他作品においても高評価を印象付けるような機運の高まりがあったかもしれない。
2017年には、落札価格の平均が561万まで下落するが、2019年には約742万円となり、再び上昇している。各年ともに落札予想価格下限を下回ることなく推移しており、時価指数もほぼ横ばいで安定した推移をみせている。今後の動向も注視していきたい。
注1:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、2018年は類似作品の出品が
なかった為、2014~2017年+2019年の5年間のデータからグラフ化している。
次回のマレットオークション開催予定
2019年12月5日(木)15:00~
会場:マレットジャパン オークションハウス
※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。
※YouTubeにて、ライブ配信も行っています。
【お問い合わせ先】
株式会社マレットジャパン
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