美術を社会・文化の発展に結びつけます

MENU

オークションレポート

2019.01.30
【1/11】マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)

会場:   マレットジャパン(マレットジャパン オークションハウス)

セール:  SALE 2018.12.7

日時:   平成30年12月7日(金曜日)15:00~

 

落札総額:  136,855,000円(手数料含まず)

落札率:    75.3%

作品数:    落札177点、不落札58点

 

今回は12月7日(金)に開催されたマレットジャパンのアートオークションについてレポートする。マレットジャパンは主に国内外の近現代アートを取り扱うオークションハウスである。

 

今回は国内作家作品139点、海外作家作品95点、その他1点 合計235点がセールにかけられその内訳は 絵画作品(油彩・水彩)124点、版画作品(写真含)102点、立体彫刻その他9点となっている。

 

出来高は落札総額1億3685万5千円(落札手数料含まず)、落札率75.3%であり昨年9月に同会場にて行われた前回のオークションと比較すると出品数で30点増加し、落札総額も5102万円増加している。

 

マレットジャパンの特徴としては近現代の中堅作家作品にフォーカスをあて、まとまった点数で出品されることが多い。今回はギャラリー島田コレクションと題し、神戸のギャラリー島田より出品された46点の作品を特集している。元永定正、浮田要三、堀尾貞治、松谷武判といった具体美術協会メンバーの作品や、関西出身の津高和一の作品が出品されていた。

目立ったところでは松谷武判の27.0×35.0cm、キャンバスにボンドと鉛筆で2002年に制作された作品「波動9-1」が落札予想価格80~120万円のところ、120万円で落札。元永定正の1990年制作、60.8×73.0cmのキャンバスにアクリルで制作された作品「ぴんくとぶるうはながれてる」は落札予想価格200~300万円のところ270万円で落札。津高和一の作品は7点出品され、内6点が落札されていた。戦後現代美術をけん引してきた作家たちの評価が安定して高値で落札されていることが伺える。

 

若手作家の中で、ここ2~3年で評価が大きく上がってきているロッカクアヤコの作品も6点(内油彩作品5点)が出品されていた。油彩作品の落札結果を見てみると

・2008年制作 ダンボール・アクリル(67.8×100.0cm)「無題」

落札予想価格150~250万円 落札価格360万円

 

・2014年制作 ダンボール・アクリル(67.0×47.0cm)「無題」

落札予想価格 150~250万円 落札価格340万円

 

・2008年制作 ダンボール・アクリル(33.5×87.0cm)「作品」

落札予想価格 150~200万円 落札価格310万円

 

・2007年制作 ダンボール・アクリル(55.0×35.0cm)「anger」

落札予想価格 100~150万円 落札予想価格200万円

 

・2007年制作 キャンバス・アクリル(91.0×72.7cm)「無題」

落札予想価格300~500万円 落札価格700万円

 

となっている。すべての作品が落札予想価格上限を大きく超えての落札となっている。この流れはおよそ2年前から続いており、どこまで相場上昇を続けていくのか注目される。

 

今回のマレットオークションで注目したいのが昭和を代表する洋画家、香月泰男の作品である。香月は戦後シベリアに抑留され、収容所で強制労働に従事した。この原体験が、その後の作品制作の主題・背景となっており、1969年「シベリア・シリーズ」で第1回日本芸術大賞を受賞している。

今回のオークションに出品されたのは45.5×27.0cmのキャンバスに油彩の作品「トレド」である。香月は1956年秋ごろヨーロッパに旅行に出かけ、その風景や建物を主題にした作品を残しており、今回出品された作品も、年記はないが、そういった作品の一連の作品として考えられる。

「トレド」のオークション結果は、落札予想価格70~100万円に対し上値の1.8倍の180万円で落札された。このシリーズの作品が市場に出ることが珍しいという点も、高額での落札の一つの要因になったのかもしれない。香月の作品は、そのほとんどが国内オークション市場のみでの出品ではあるが、2014年以降の国内オークションに出品された68点を分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、上下動はあるものの、2014年から2018年にかけて、右肩上がりに推移している。2014年の香月作品油彩画全体の落札平均価格が約248万円に対し、2018年には約620万円にまで上昇している。各年の落札価格も平均も、落札予想価格上限平均付近か、それを超えており、香月作品のパフォーマンスの高さを証明している。海外からの日本人作家へのオファーの増加傾向も高パフォーマンスの一因かもしれない。今年、没後45年を迎える中、美術品市場での再評価が進む香月泰男。今後もこの状況が続いていくのか注視していきたい。

 

 

次回のマレットオークションは2019年2月28日 15時~マレットジャパンオークションハウスでの開催を予定しております。

※開催日時は事前の告知なしに変更になる場合がございます。

【お問い合わせ先】

株式会社マレットジャパン

〒135-0016東京都江東区東陽3-22-6 東陽町AXISビル1F

TEL:03-5635-1777  FAX:03-5635-1778  E-mail:info@mallet.co.jp

 

香月泰男 ACFパフォーマンス指標190122

 

香月泰男 ACF美術品時価指数190122

 

ページの上へ
無料相談の流れ
無料相談フォーム